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元彼と「バイバイ」した朝に

少し前のことだ。

元彼のことを思い出していたら、
夜中の3時に電話がかかってきた。

本人からだ。びっくりした。

2人とも1限があるというのに、
1時間半ほど電話したあと
彼は始発でうちに来た。

久しぶりに、彼とした。
知らない間に少しうまくなっていて
私の知らない部分があることが
少し嫌だった。
勿論、そんなことを言う権利は無いのだが。

戻って欲しいと言う彼に
これ以上会うのはお互いに辛いし
私はもうあの頃に戻れないと
分かっているので
ちゃんと「バイバイ」と告げた。

私は付き合っているときは、
「またね」としか言ったことがない。
彼もそれに気付いていて、
「バイバイ」と返してきた。

彼の目は少し潤んでいた。
彼はいつも、改札に入ってから
絶対にこっちを振り向かない。
でも私は毎回懲りずに、
見えなくなるまで見届けていた。
帰ってしまう彼の背中を見届けるのが
1番嫌いな時間だった。
振り向かない彼のことも嫌いだった。

学校に行くには少し早いので
駅の近くのマックに寄って、
1番安いセットを頼んだ。

友人らしきお年寄りが楽しそうに話していたり
出勤前のサラリーマンが読書をしていたりと
ゆるやかで、にぎやかな空間だった。

彼との鮮明な時間をぼかすには
朝のマックはちょうどよかった。

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