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「ご当地」を味わう~秋田、酒讃家の骨酒

全国にいる私の「友達」。

ご当地キャラクターのファンをしていると、全国各地に縁ができる。「友達」ができる。
彼らは自身の所属する町、地域の活性化や企業の販促を役割として担っているが、その活動のベースはファンとのコミュニケーションにある。ファンは、キャラクターとの親和を通してその母体である土地への親和も醸成していく。
経済効果とかなんとか数値で目に見えるところまでたどり着けるケースは少ないけれども(くまモン、ひこにゃん、ふなっしー、しんじょう君などなど…)、「ご当地キャラクター界」と呼べるくらいにはイベントをやれば集客はあるし、グッズ販売はどこも盛んである。

各地で行われるキャラクターイベントや物産展に、キャラクターとの触れ合いを目的に訪れつつも、大抵の人はその土地への親近感を高めて帰る。もっと進めば「帰属感」につながっていく。住んだこともない土地なのに推しのふるさとは「私のふるさと」のように大切になっていく。

アニメファンにおける「聖地巡礼」のような特別な行動が、キャラファンの場合は特別ではなくむしろベースなのである。そのキャラの地元で行われるキャラクターイベントに参加すること。キャラの地元での飲食や観光でお金を落とすこと。キャラクターグッズを身に着け、キャラだけでなくその土地について周囲に喧伝すること。ただ好きで逢いに行くだけではなく、そのキャラの暮らす街のためになることをしたい。それこそが彼らの使命を果たす手助けだから。

残念ながらCOVID19禍でキャラクターイベントがなかなか行われないこの1~2年は、自治体にはふるさと納税という形で、民間キャラには配信への「投げ銭」やグッズ購入という形で支えているファンがほとんどだろうと思う。
自治体キャラの場合は自治体の首長の判断で活動できなくなってしまうような儚さも持っているし、民間キャラでもコストがまかなえなければ続けていくのは非常に困難だ。そういう事情をファンはよく知っている。

私自身、熱心なご当地キャラファンとはいいがたい部分は多いのだが、それでも全国に「友達」はたくさんいる。全国に好きな土地、縁のできた土地がたくさんある。

その一つでもある「秋田」との縁は「ニャジロウ」が結んでくれた。猫のニャジロウとなまはげの合体で「なまはげ仮面ニャッパゲ」だ。


ニャッパゲ(ニャジロウ)公式サイト
http://nyappage.nekoyanagi.info/

秋田市内を中心に活動していて、秋田のおいしいものを教えてくれたり、仲間達のかわいいイラストを描いてくれたり。今はSNSに限られてしまってはいるけれど、ファンとの交流も毎日、続いている。あ、Youtubeチャンネルもあるよ。

同じく秋田市に、ニャジロウと同じ、デザイナーのやなぎはらともみさんが産みの母のキャラクターで「与次郎」という飛脚狐がいる。秋田の方ならおそらくはおわかりだろう「エリアなかいち」のシンボルキャラクターだ。
なかいち近くの与次郎稲荷神社に祭られている与次郎狐(悲しい伝説があるのでぜひ由来も読んでみてほしい)がモチーフになっている。

エリアなかいち

彼の誕生日が7月ということで2013年から2018年まで、毎年7月に「ナカイチ祭」というエリアなかいちの周年記念イベントとともに「ヨジロック」というご当地キャラクターイベントが開催されてきた(初年度は「ご当地キャラフェスティバルin秋田」)。
私がそのヨジロックに行くために初めて秋田を訪れたのは2015年。そこから5年連続で夏の秋田に訪れてきた。

秋田の夏は空気が美しい。47都道府県の40くらいは訪れた経験があるが、あんなに街中でも夏の光が澄んで感じられる土地は多くはないと思う。

東北だから涼しいかと思いきやめちゃくちゃ暑い。かんかん照りの陽射しの中で「おばあ」達が作ってくれるババヘラアイスをあっという間に溶けていく前に超スピードで食べる。
朝早く、なかいち前の千秋公園に向かうと堀の大量の蓮の花が開いて圧巻の美しさ。竿燈まつりの会場あたりには古い明治期の建物が並ぶ。シックな味わいがある。

秋田駅のモダンな造り。エキナカの日本酒バーで秋田の地酒をゆっくり味わう。夏は岩牡蠣、じゅんさい。鰰(ハタハタ)の旬は秋冬だが、夏の干物も卵のプリプリした歯ごたえを噛み締めて味わうことができる。

冬の秋田は未体験だ。男鹿半島にも田沢湖にも角館にも行ってみたい。そう思っているうちにこんな状況になってしまった。「鉄は熱いうちに打て」、行きたいと思うところには行きたいと思ったときに行かなくてはいけない、と改めて思う。




「ご当地」を味わう~秋田、酒讃家の骨酒

そんな秋田に一軒の居酒屋がある。

「酒讃家」(しゅさんか)
https://www.facebook.com/syusanka/


instagram
https://www.instagram.com/syu_sanka/

ご当地キャラ関係者の皆様も御用達だそうなのでヨジロックで訪れたときにはなかなか行きづらく、実はまだ店舗にお邪魔したことはない。今度、秋田に行ったときには…なんて思ってるうちにCOVID19禍突入だ。
お店どころか、秋田に行くこともできなくなってしまった。


酒讃家さんでは秋田の食材を使った料理、地酒を楽しむことができるそうだが、その中でも「骨酒」の評判がとても高い。
昨年夏にこの「骨酒」のテイクアウトや地方発送を受け付けてくれていたのだが、今年も受け付けてくれるとのこと。昨年はうっかり申込そびれたので、今年は案内が出たところでオーダー!

初めてなので酒器つきセット(10000円。肴だけだと7000円)。

この魚の形の酒器にまずワクワク。
肴は綺麗に梱包されて、のし紙に綺麗な和紙の風呂敷に包まれて同封されていた。ひとつひとつ、ご主人が吟味くださったとか。

中には、
・鰰 焼き干し(2尾)
・岩魚 焼き干し、燻り焼き干し
・鮎 焼き干し、燻り焼き干し
・椎茸 焼き干し、燻り焼き干し
が真空パックされてずらり陳列!
もともとは虹鱒が入る予定だったのが、虹鱒が切れて鰰に。私は鰰が大好きなのでむしろラッキー!

昨年は日本酒も含めてのセットだったとのこと(酒類販売には本来は免許が必要だが、昨年は特例で飲食店でのテイクアウト販売がOKだった)。
今年は肴のみなので、日本酒は自分で調達。
ご主人によれば、秋田の地酒・大平山辛口がオススメだそうなのだが、こちらではなかなか秋田の地酒が見つからない…大平山は後日、取り寄せるとして、まずは一般的に手に入りやすい、大吟醸 北秋田で。

北鹿酒造
https://www.hokushika.jp/

鰰を軽くあぶり、酒も一回に2合入るそうなので、2合を沸騰しない程度にとろ火でフツフツと温める。
焼き干しを入れた酒器に酒を注ぐ。ふわん、といい香り。

1~2分蒸らして、さあ、いただきます!

塩とチーズトマトをつまみにゆっくりと3時間くらいかけて味わってみた。

いい色。
肴からの塩味が自然に移るようで、ツマミなしでもいける。
最後は魚を取り出して、身までいただく。
胃にしみるぜ。


別日には蕎麦のおともに。
この蕎麦は福島県白河市の老久保そば。
これも私の全国の「友達」のひとり…いや1匹?である、白河市のしらかわんから、とある企画でいただいたもの。白河は白河ラーメンが有名だが、米も蕎麦もおいしい。水が豊かなんだろうな。

しらかわん公式サイト

新駒本店(老久保そば)


そばそのものに塩味がついていて、そのままでもうまい。一本がすごく長いおそばで面白かった。

今回は、手軽に買える秋田のお酒、高清水。ワンカップでもおなじみ。でかでか書いてあるとおり、辛口!

鮎の焼き干しと椎茸で。

椎茸が入ると香りがまた変わる。あれもしかして椎茸はそのまま食べればよかったんかな、まあ、いいや(笑)

白河・秋田のいわば、東北コラボ
鮎は頭からバリバリ食べた。おいしかった…!!!

COVID19禍の中でもできること

秋田は東京ほどの感染爆発はないが、それでも感染者が増加傾向なのには変わりはない。現在も県外への往来自粛要請、「新しい生活様式」に基づく飲食店利用時の制限要請などは行われている。
重症者向け病床数は刻一刻、圧迫されている(ダッシュボードが日々濃くなっていく)。

当然、市内の各飲食店も苦しい状況とのこと。
酒讃家さんがこの骨酒セットの販売を始めたのも、コロナ禍で集客が落ち、販売数が落ちた取引先支援のためだったという。
無事に完売はしたが、利益はほぼないそうだ。その心意気に感服する。いつかまた秋田へ訪れたときには、そのときこそはお店でおいしいお酒と料理を堪能したい。何かお返しをしたい。そう願っている。


政府は簡単に「酒類提供を止めろ」と言うが、飲食店の自粛は結句、仕入先、各種取引先、もっといえば、一次産業まで連鎖を重ねて広い範囲でのダメージにつながっていく。
酒類だけの話ではない。
何についても同じことだ。すべて繋がっていて、何かひとつだけで完結するものなどない。そんなこと、子どもだってわかるだろう。

必要なのは大きな補償だと誰にでもわかることをいまだに政府も自治体も見ないふりしたままだ。日本ってこんな国だったっけ、と呆然とする日々がこの2年、続いている。

市井の私達には大きな補償はできないけれど、せめてものできる中での手助けとして、これまで同様これからもこうした「ご当地のもの」を応援し続けたいと思う。

高知県安田町のお野菜、くだものはうまい!


浜松のうなぎいももとっても甘い!


北海道の魚はめっちゃうまい!


「友達」とまた再会できる日まで、ロスオフ掲示板、ふるさと納税など足を運ばなくても応援できるやり方でこれからも応援し続けようと思いながら、各地の味を堪能する日々である。

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