見出し画像

独りじゃない-10”感情は無いまま”

ホテルに戻ると、対応してくれた日本人のホテルスタッフの方が、出迎えてくれました。
「先週もこのホテルで日本人が盗難被害に遭っていて、ホテル側としても責任を感じているので、帰国ができるまで滞在していただて構わないですし、電話も外部との連絡は普段は出来ないのですが必要な方とだけは連絡取れるように対応させていただき、食事も提供させていただきます、と支配人からの伝言です」と説明を受けました。
泊まる所が無いので滞在させて欲しい、付き添ってくれていた人と友達の2人とは連絡を取れるようにして欲しい、と伝えて、手配してもらいました。

付き添ってくれていた人は、引き続き帰りの飛行機を探すために会社に戻って見つかればすぐ連絡するから、と言い残して帰っていきました。
私は用意してもらった部屋に荷物を持っていき、そして心配しているであろう友達に電話を掛けました。
電話を切ったあと、すぐホテルの日本人のスタッフから電話が掛かってきて、「地元の警察が今からホテルに来るので、被害の状況を伝えて下さい。私は帰るけど、大丈夫ですか?」と。友達も来てくれるから大丈夫な事とお礼を伝えました。
ロビーに行くと、友達が到着していて、駆け寄ってきてくれました。
と同時に地元の警察も。
全て英語でしたが、最初にゆっくり話して欲しいと伝えたので、中学生レベルのやり取りで、なんとか理解してもらえました(^_^;)

友達は、思っていたより私が元気だったので、安心してくれました。
帰りの飛行機がまだ見つかっていないので連絡に備えて電話の傍に居たかったのと、被害に遭ったホテルの、しかも現場であるロビーに居ることが怖かった、ということで、帰りの飛行機が決まったら連絡する、と告げて友達とは別れ、部屋に戻りました。

部屋に戻って、ベッドに横たわり、ぼーっと天井を眺めました。
どれだけの時間が流れたのかわかりませんが、電話が鳴るまで、ぼーっと天井を見つめ続けていました。
感情は、相変わらず”無し”のままで。

”独りじゃないー11”へ続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?