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独りじゃないー11”帰れる!”

電話の音で、とっくに窓の外が暗くなっている事に気づきました。
”飛行機が見つかりました!怖いかもしれないけど、これからオフィスまで来れますか?途中まで迎えに行くので!”と。
昼間の景色と夜の景色はガラリと変わるので、目印の建物がわかりにくく、すれ違う人が全員犯人に見えてくる恐怖もありましたが、言われた通りの道を歩き、待ち合わせ場所まで行きました。

オフィスに到着し、最初に言われたのが、「バンクーバーからの直行便じゃないんだけど」
どんな経路でも帰れるなら!とにかく日本にかえりたい!
海外に出かけて、いつもなら、帰りたくないっ!と思っていたのに、こんなにも帰りたくて仕方ない気持ちになったのは初めてでした。

伝えられた帰り方は、”なるほど!!”というもの。
渡航書ではカナダと日本以外の国に立ち寄ることはできませんが、国内での移動なら可能、というのを利用して、バンクーバーから1度トロントに行き、そこから直行便で日本に帰る、という経路でした。トロント行きは明日の最終便に空きがあり、トロントから東京行きも空席があったそうです。時間はかかりますが、その経路で帰ることを決めました。
でも、まだ終わりではありません。
日本には帰れますが、東京に着いてから、大阪までの移動の手段が無い。クレジットカードも日本円も盗られたので、東京から家までの帰る旅費がありません。

領事館での電話以来、数時間ぶりに日本の家族に連絡を入れました。
帰りの飛行機が決まったこと、東京から大阪まで帰る手段を確保して欲しいこと、そして仕事を1日休まなければいけないことを職場に連絡して欲しいことを伝えました。
東京ー大阪間の飛行機を予約してくれて、これでようやく帰るために必要な事が全て決まりました。

何も出来ない私を励まし元気づけ、日本に帰ることが出来るように一生懸命に動いて下さった、そばで付き添い続けてくれたこの人に、「ありがとうございました」だけでは伝えることなんて出来ないほどの感謝いっぱいで、その日は別れました。

部屋に戻り、友達に帰りの飛行機が決まったことを伝える電話をし終えた途端、今日半日無くしていた”恐怖、不安、心配、怒り、安心”の感情が一気に吹き出してきました。
もう感情はぐちゃぐちゃ、と同時に涙が溢れ出て、バスタオルを顔に押し当てて、声を上げて泣きました(T_T)

感情がある、ってスゴイことです。
涙が出る、ってスゴイことです。

”独りじゃないー12”へ続く


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