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短編

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空山非金の短編をまとめたものです。
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2024年7月の記事一覧

詩「太陽の餓獣」

詩「太陽の餓獣」

  太陽の餓獣

 血肉を浴び飽きた獣は地獄を出た。己だけを頼りに。
 世界を狩らなければ。確固たる意志を抱き、不敗の爪牙を立てる。
 憤怒の赴く儘に鏖殺す。引き千切り、叩き潰し、命を断つ罪悪が、獣の心を揺さぶる。
 ――生きる。力ある者は、他者を統率する知恵者は、全に尽くさなければならない。
 ――殺す。力無き者は、他者を貶める愚者は、全の前に首を差し出さなければならない。
 身内から湧き出す感

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詩「蒼月の孤狼」

詩「蒼月の孤狼」

  蒼月の孤狼

 意志薄弱な狼は群れを逐われた。歳若い獣と共に。
 彼らを守らなければ。不透明な義務を抱き、研いだ牙を剥く。
 獲物の首筋に歯を突き付けて、皮を裂き、肉を切り、骨を砕く食感が、狼の脳を揺さぶる。
 ――甘い。強さは、力を誇示する事は、余りにも甘美。
 ――苦い。強さは、命を冒涜する事は、余りにも苦渋。
 身内から湧き出す感情は平行線を辿り、自己を二分した。
 周囲が前者を望むのな

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