詩「太陽の餓獣」
太陽の餓獣
血肉を浴び飽きた獣は地獄を出た。己だけを頼りに。
世界を狩らなければ。確固たる意志を抱き、不敗の爪牙を立てる。
憤怒の赴く儘に鏖殺す。引き千切り、叩き潰し、命を断つ罪悪が、獣の心を揺さぶる。
――生きる。力ある者は、他者を統率する知恵者は、全に尽くさなければならない。
――殺す。力無き者は、他者を貶める愚者は、全の前に首を差し出さなければならない。
身内から湧き出す感情は絡まり合い、自己を確立させた。
周囲が愚者ならば、その暴虐に涙を流す者が在れば、代わってでも報復を果たそう。
周囲が知恵者ならば、その恩恵で世が澄み渡れば、最後の報復を果たそう。
確立した己が誤りであれば。その時には、然るべき裁きが下るのだろう。
いずれ、いずれ分かる。確信を貫いた先に。
孰れにせよ、獣の意志は決まっていた。
知恵者を貶め、愚者を殺し、己が理想を鳴り渡らせるまで殺し続ける。
愚かな知恵者であると、自戒して。
あとがき
本作「太陽の餓獣」は、noteに公開している小説「パラレルジョーカー」を元にした文章作品です。
他の作品に興味を持たれた方は、小説や短編なども楽しんでいただけると幸いです。
マガジン
小説「パラレルジョーカー」
https://note.com/unmetal968/m/mb7a613c9dd02
短編
https://note.com/unmetal968/m/mec91a59c594e
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?