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歩き出したら止まらない


あまりにも運動不足で、さすがに命の危険を感じはじめた。
今住んでいる部屋は駅近であることをとにかく最優先で決めたので、平日出社しても歩くのはせいぜい4000歩ちょっと。iPhoneのデータなので正確かどうかは不明。さらに3割くらいはリモート勤務をしているので、全く歩かない日もある。この10年の間同じサイズの服を着続けているが、着た感じ、もうあとちょっとで入らなくなりそうな予感がある。

そういうわけで、決定的な何かがあったわけではないけれど、多少は運動をしよう、と決めた。ただわたしはスポーツが嫌いだ。なにひとつ楽しくない。自宅で筋トレをするにしてもすぐにへばる。それでここ1か月くらい、休日に電車を使わないターンをもうけることにした。
観劇が好きなのもあって、休日に外に出はする。行きは時間がないから普通に電車やら何やらの交通機関を使うが、帰りはとにかく歩くことにしたのだ。

まずは神保町のよしもと漫才劇場からはじめた。ある程度書いてしまうと、わたしは東京23区のかなり中心部あたりに住んでいる。神保町ならまあいけるだろう、と思った。そのときの記事がこれだ。桜がきれいでよかった。


神保町が余裕でいけたので、池袋で「鴨川ホルモー、ワンスモア」を見た帰りも歩いてみた。感覚としてはだいぶ距離は伸びた気がする。時間が遅めだったので人通りの多い道を選んで遠回りしたのもあるが、それもまあ、なんだかんだで歩けた。鬼子母神のあたりは歩いていてなかなか楽しかった。

このあたりでどこまでならいけるのか試したくなってきて、築地に用事があった帰り道も歩いてみた。皇居のあたりを歩いているとランニングをしている人とかなりたくさんすれ違った。これもなんだかんだで歩けた。いけるじゃん、と思った。いけるのだ。東京23区というのは何か色々建っているだけで、実はそんなに広くない。

ということで、今日は観劇帰りに品川から歩いた。
羽田が近いから、品川で顔を上げると頻繁に飛行機の白い腹が見える。かなり大きめに見える。そんなエリアからしばらく歩き続けていると、急に坂道が増える。麻布は坂が多いのだ。しかも勾配が急だ。しかし坂道の名前はいちいちかっこいい。必死でのぼってそのうち六本木に出ると、今度は笑えるほど高級焼肉店ばかりになる。こんなに分かりやすいもんかねと思うくらい。
まあ、このあたりまでは余裕だった。体力的にもだし、疲れたらどこかでカフェにでも入るか、最悪地下鉄に乗ってしまおうとも思っていたから気持ちにも余裕があった。しかしそれから青山墓地、明治神宮、と、あまり店もなくただただ緑の中を歩くターンに入ってからが正念場だった。まじで、本当に、とにかく前に向かって歩くしかないのだ。青山墓地のどまんなかで日が落ちたらこわい、というのもあってかなり歩行スピードも上げた。このへんで足がかなり疲れてきて、明治神宮外苑のベンチで30分くらいぼんやりした。逃げ場がない。あまりにぼんやりして無になっていたせいか、気づいたら座っていたベンチの背もたれ、すぐ横にでっかいカラスが止まっていた。
まあ、一応これは自分的な狙いでもあって、いくらジョギングなり筋トレなりをしても最悪諦めてしまえばいい。ただ、近くに駅もバス停もない道では、どうしたって歩かなければならない。だからあえて大通りなどを使わずGoogleマップの最短ルートで歩くのだ。知っている街と街の位置関係が体感できるのもいい。ふつうなら車で体感する感覚のような気がするけど。外苑東通りは徒歩で突っ切る道ではない。ふと暗くなってきた空を見上げると、飛行機が、自分が来た方角へと飛んでいくのが見えた。機影はずいぶん小さくて、ああ、結構な距離を歩いてきたんだなあ、と思った。

ということで、本日は19000歩。自分としては最高記録だ。


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