邦楽の日によせて

6月6日は邦楽の日

 もう日付が変わってしまったけど、6月6日は邦楽の日です。また、6歳のこの日に習い事を始めると上達するのだとか。
 指を折って6を数えたときに小指だけが立つことから「子が立つ」とかけているらしいです。

私が和楽器をはじめたきっかけ

 私が箏(世間では「琴」と表記する楽器)と出会ったのは高校入学の頃でした。
 中学までは美術部の幽霊部員で、ほぼ毎日勉強に時間を費やしていたので、高校では何か主体的に部活動をしてみたいと思っていました。
 でも運動はさっぱりだし、吹奏楽は中学からやってた子たちが優位だし…と考えていた頃に新入生歓迎会がありました。
 そこで先輩たちのお箏の音色を聴きました。素人が聴いても決して上手とは思えないものでしたが、それが逆に親近感が湧くというか。とにかく体験に行ってみようと思い部室に伺いました。
 お箏の楽譜は五線譜ではなくて独特の縦譜で、五線譜が読めなかった私には好都合でした。
 ↓お箏の楽譜はこんな感じ。お箏は絃が13本あって、自分から遠い方から一.二.三…11番目が斗(と)、12番目が為(い)、13番目が(巾)と番号?名前がついています。

 暗号のようですが、私は五線譜よりこちらの縦譜のほうが読みやすく、これならできそうだなーと思って楽しくお箏の世界に入門させていただきました。

 その後、高2の秋から17絃という、ベースのような低音のお箏を始め、そのまま大学でもお箏を部活動として続けて、社会人になってから三絃(三味線)を始め、26歳で准師範資格を取得しました。お箏を始めてから丸10年経ってのことでした。

楽器店や職人が減っている現実

 お箏や三絃は日本の伝統文化であるのに、習う人があまりいなくて市民権を失っている状態が続いています。楽器もあまり売れないと聞きます。それに伴って楽器店や職人さんたちもどんどん減っているようです。

 楽器そのものだけではなく、小物ひとつとっても奏者には必要不可欠なものです。箏は爪をはめて弾きますが、はめるための爪輪。三絃を弾く時に胴を膝に乗せますが、滑り落ちていかないようにするための膝ゴム。どれも大切な小物ですが、これを作る人が減っているようなのです。

 私はたまたま邦楽の世界に身を置いているので、職人さんを含めた邦楽人口の減少が気になっていますが、どの業界でもありうることなのだろうと思います。

無理のない範囲で何か始めてみる

 私は経済的にはかなり無理をして今の演奏活動を続けていますが、皆さまどうぞ無理のない範囲で何か習い事をされてみてはいかがでしょうか。

 仕事以外に自己肯定感が上がるようなことがあれば自分にとっても良いことだし、それがその業界の誰かの仕事を支えていたり、将来子供たちが興味をもってくれたりするきっかけになるかもしれません。
 私自身はそこまで恵まれた才能があるわけではなく、先生のご指導や良い楽器に助けられたりしてここまで努力してきたので、将来すごい才能を持った人が現れるまでのつなぎの人間だと思って演奏しています。
 きっかけが6月6日でも良い、皆さまがなにか習い事に一歩踏み出す日になればいいなと思っております。
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