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用もないのにトー横行くやつwww

10月最後の土曜日に明治神宮で催される従兄弟の結婚式に参列するため、金曜から東京へ行ってきた。折角三重の片田舎から上京するので以前から気になっていた場所へも訪れようと決めた。

鬱を患っていることは前にも述べたが、担当のドクターもリハビリに丁度良いとのことで背中を押してくれた。

感動的な儀式の後、当日と翌日で九段下の「しょうけい館」、清瀬の「ハンセン病資料館」、新大久保の「高麗歴史博物館」を見学した。

やや「重め」の施設だったので硬くなったアタマを解すように「トー横」に出かけた。こちらも以前から伺ってみたいと思っていた場所である。

「トー横」といえば「ストゼロ」だろうとの勝手な思い込みから、コンビニで「ストゼロ」を買い、適当な場所に陣取って呑りはじめる。手持ち無沙汰なので煙草ものみはじめた。

海外からの旅行者も多かった。

ボーっとしていると、最近街でよく見る地雷系?とかいうファッションに身を纏った少女が2人。コンカフェ嬢にも見える。こちらの方へ歩いてきたと思ったらビルの看板の僅かな出っ張りにスマホを置き、適度な距離をとって踊りはじめた。いつか行きつけのメイドカフェのメイドさんに教えてもらった、ナントカ言う動画を投稿するアプリだろう。

いかにも歩きにくそうな厚底の靴で実に器用に踊る。でも、ちょっぴり恥ずかしそう。途中でケラケラ笑ってしまって上手く撮れていない模様。何度もリトライする。
バッチリメイクもして綺麗な顔をしたまだあどけなさの残る少女、可愛らしいお顔でまたしてもケラケラ笑いながら
「うわーキモ‼️www」
「うっせぇ、殺すぞwww」
などと過激な言葉を使う。
その可愛らしい顔で一体何を考えているのだろう。

同じような少女達が各所で踊っていた。威勢のよい金髪のチャラい男に絡まれていた。金髪が後から来た友人達と一緒に去ると、少女らは「ウザいのがくるねー、場所変えよ」と遠くへ行ってしまった。

ここには老若男女あらゆる人が集まってくるよう。
スーツ姿のホスト、ナンパ男性、段ボールを呉座代わりにして酒をあおっている謎の集団、ゴミ箱から酒缶を探すホームレスのじいさん、広場のど真ん中で眠るおじさん、ウロウロしてるだけのピカチュウを頭に被った謎のメガネ中年、女性と見紛う長髪を束ねた白皙の美少年、小学生でないのにパステルカラーのランドセルを背負った右脚に包帯を巻いた少女。

老若男女問わず多くの人が集まる広場。


まさに、カオスといった風情である。
全てが過剰、否、余剰というべきか。
仲間がいる?あるいは、お互い面識はなくともここにいても良いんだというある種の共同体的連帯があるのだろうか?

ともかく、ここには何か引き寄せられる魅力があるのだろう。

それにしても、ゴミは散乱し、混沌としているのに何故か不快ではない。むしろ不思議な居心地の良さがある。この居心地の良さは一体なんだろうか?

ど真ん中で寝るおじさん。1番目立っていた。

帰宅してからもそんなことを考えていると、偶然にもYoutubeで社会学者の宮台真司先生と歌舞伎町の社会学を研究するライター、佐々木チワワ氏の対談が投稿されていた。

以下、抜粋。

  • 「居場所がない若者たち」というレッテルはいかにもマスコミによるテンプレであり、だいたい、そう言っている大人たちは「居場所」はあるのか、あると言える大人はどれほどいるのか。

  • オタクがエロゲーに没頭するのも少女がホストにハマるのも現実がつまらなさすぎるからである。我々大人側にも問題があるのだ。

トー横は行き場所がない少年少女が仕方なく集まってできた消極的な場所では決してなく、面白さや楽しさを求めて自然に集まった積極的な場である。

筆者も「冷やかし」や「社会見学」に来たのではないつもりであったが、それはあくまで主観であって、実際そうしたつまらない大人と変わらないだろう。

社会学では、

1、ファーストプレイス
地域や家族等のコミュニティ。

2、セカンドプレイス   
会社や学校、マーケット、NGO等
自宅以外で長い時間過ごす場所。

3、サードプレイス
コミュニティ(ファーストプレイス)の窮屈さや競争原理(セカンドプレイス)の緊張から解放された居心地の良い「逃げ場所」。
損得勘定なく、参入離脱も自由で期待できるものがあると思える場所。

と区別される。

トー横は無論、サードプレイスに該る。著者でいえば、まさに行きつけのメイドカフェということになるだろうか。

サードプレイスは「我々感覚・我々意識」ある場所であり、そのような場では「孤独」にはならないと言う(宮台)。同じような意識を共有する独自の連帯が生まれるからだ。それ故、情報共有(ヤバい奴いるから気をつけろ)も可能となる。

トー横が「界隈」と言うのもそのためだ。


さて、小一時間ほど経ち、ぼーっとしつつも、想いを寄せる。

便利・安全・快適な合理的社会からかけ離れた者たち。端的に社会不適合者と言ってもよかろう。
こちとら一切政治に関わらないし、あんたらも放っておいてくれ、好きにさせてもらう、という強い意志。

皆、寂しいのかもしれない、と思いつつ同じ社会不適合者として共感を覚えた。サードプレイス。あの妙な居心地の良さはこの点にあったのか。

強くて(ストロング)無力(ゼロ)の適応しえぬ者たち。
なるほど、ストゼロの似合う街だと思った。


帰り際、すれ違った二人組の少女。最初は自分のことだと分からなかったが、振り返ると目が合う。「お兄さーん❗️バイバーイ‼️」(お兄さんと呼ばれる年齢ではないが)と少女たち。明らかに酔っていた。




翌日、上野で「すじこ」と「たらこ」と「鮭とば」を買って帰った。

以上。

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