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秘密の部屋へ、さあどうぞ

11月4日。小田急線、柿生駅からすこしあるいたところで開催されている、Vege&Fork Marketに行きました。ベジフォーク。いい天気。ひなたにいると暑いくらいでしたが、日陰にいるとちょっとひんやりする。

暑いのか寒いのか、変化の途上で着るものに困るような、そんな季節。昼と夜の寒暖差が激しくて、そのぶん木々の葉緑素は分解され、葉はその下層に秘めていた黄色や、赤色に染まってゆく。

ちょうど紅葉もきれいで、ふらーっとおさんぽするだけでもじゅうぶん楽しめる、そんな場所でした。こどもたちがザリガニを釣っていて、なんだかなつかしい気持ち。家族連れが多く、ちいさな子たちの声が途切れることがない。縁石に座ってビール片手に通りを横切るこどもの顔を眺めているだけでたのしい。やわらかそうなつるんつるんたちがぼてぼて走り回る。

あんまりひとりで来てるような男性は見受けられなかった。わたしがぷらぷらベジフォークへ向かったのは、ワルイコさんがライブをやるっていう告知をみて。10時~と13時~のライブ、2回みました。10時過ぎに到着したので正確には1回と半分くらいか。

Vo.山崎ルキノさん。

これは13時のライブ。あたまに巻いているアイテムは、ベジフォークのお店で購入したそうです。その場で装着してステージに立ち、お店の宣伝もするルキノさん。ご自身のステージだけではなくて、イベント全体をたのしんでるなって感じが素敵でした。

Gt.&Cho.石川烈さん。

“片腕まくりの石川”でおなじみ。ってわけでもなく、たまたまの片腕まくり。袖が邪魔になりますものね。石川さんのライブフォトは撮るのがむずかしいです。目をひらく瞬間がなかなか……。

この写真は、40年~50年にいちど花ひらくといわれるリュウゼツランと同じくらい貴重なショットです。いい流し目。まるで全盛期の井端弘和が、ライナー性の打球をダイビングキャッチし、体勢を崩しつつもすぐさまサードへドンピシャの送球をぶん投げた瞬間のような、仕事人の流し目です。

このおふたりが、ワルイコ。


光るギターをはじく、石川さんがまぶしい。秋らしく澄んだ陽射しに照らされ、緑色を落として黄色く繁る木々を背に、流れるワルイコの音色、歌声。バックのパーカッションの方は、ワルイコではなく良い子です。



厳かな表情で宙空をまなざす。威厳を感じます。

午前10時台の山崎ルキノさんは、立ち上がってニット帽姿。


午後は座ってうたうスタイル。アイコンタクト。息を合わせるおふたり。なんとなく、2回目のほうが歌声が伸びやかで、リラックスしておられたような。笑顔が多かった。午前中にみられた固さはなくなり、すっかりイベントそのものやステージにも馴染んで、ここちよくやっている感じが伝わってきました。お客さんも増える。こどもたちが「ぼくは5さい」という曲に乗って、ゆさゆさ踊る。


アーティスト写真に採用していただけるくらいの出来の写真を撮ろうと、めずらしく志を高くして、ばしばし撮りました。でもライブフォトってむずかしい。なんせ止まってくれない(笑)。50枚くらい撮りましたが、8割はボツです。ここに載せた写真も、どうかな、不安。

2回聴いた「フツウの人間」という曲、それから新しい曲も披露されていて「カーテン」だったかな。そのほかの曲もよくて、たのしい、いいライブでした。みてたこどもの手拍子がかわいらしくて微笑んでしまった。石川さんはギターのチューニングが日本一苦手だそうですが、なんであれ、日本ランキング1位は凄いと思います。

その場でCDを無料配布しておられたので、もらっちゃう。
ありがとうございます。

ワルイコの仕立てる音楽が好き。日常、目の前に生起する出来事は、ゆっくりとその日にだけゆるされた曲線を、縫うようにえがいては、消えてゆく。ワルイコはその消えた曲線の縫い目をあとからていねいにたどり、やわらな糸で楽曲に仕立てあげる。つま弾く。うたう。同じいちにちはひとつとして存在しない。けど、同じような反復はたくさんあって、それがひとの生きる糧になったり、各人を形成するものになったりする。二度とこない“特別”であり、いつもとおなじ“普通”でもある日々。いちどきりの繰り返し。相反すると思えることばが、仲良く同居する日常、そして音楽。“特別”と“普通”は、ほんらい相反するものではないのかもしれない。

秘密の部屋へ さあどうぞ
ワルイコの夜が はじまる


秘密はおおっぴらになれば秘密ではなくなる。それは衆目にふれるものではない。秘密とは、ひとりだけの掌のなかで初めて色づくもの。わたしひとり、あなたひとりがふれることで初めて形になる。

わたしの秘密なんて、もしかしたらひとに話せばありふれていて、だれにもあるものかもしれない。だけど、わたしにしか感じ得ない秘密はある。どんなに陳腐でも、ほんとうのほんとうにじぶんだけが感じたと確信できること。それだけが秘密で、それだけが表現になる。ワルイコに招かれた“秘密の部屋”には、そんな表現が空気のなかいっぱいにあふれているのだ。

「塀の上で白猫と黒猫が寄り添っていたよ」
「新しいパン屋のクロワッサンが美味しかったよ」
「夕日のオレンジが本当にとても綺麗だったよ」


ね、っていうことで。

またタイミングが合えばライブ行きたいです。もらったCDはさっそくiTunesにインポートして手動でポチポチ曲名を打つ。iPhoneやiPodにうつして聴きます。ひとりで縁石に座ってフライドポテトをつまみながら呑んだくれているところをライブ後のお三方に目撃されて恥ずかしかったです。失礼しました。

以上、ワルイコのライブレポートでした。

他の出演者さんもなんとなく聴いたり聴かなかったりしていました。ワルイコの次のSOONERSさんは、男っぽいなーって感じのメッセージを熱唱していました。熱い。その次の平野拓也さんは、とってもきれいな透き通ったお声で、やべー歌うめーと思いました。子宮をわしづかみ。孕んじゃうね。なんらかのいきものを。

たのしいイベントでした。11月5日のきょうまでやってるのかな。
16時、終了。


それでは。

にゃん