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映画『ウエスト・サイド・ストーリー』

【往年のミュージカル映画では、ミュージカルシーンに突入した途端に物語の進行が止まることも多々あるのだが、スピルバーグの『ウエスト・サイド・ストーリー』は、常に画面全体を動かし続けることで時間が止まっている感覚を観客に与えない。舞う煙や埃、飛び散る水、照明が、重力も時間も存在するという実感を画面に与え、被写体であるダンサーは踊り、そこへさらにカメラの移動も加わって、前景から背景まで一貫してシャープな画面が、完璧な構図で動き続ける。この数式のように美しい画面が、すべて偶然のようにも見えるのだから不思議で仕方がない。何がアクションで、何がリアクションなのか、その境界さえもわからない。光の彫刻としての映画が、絶え間ない運動の中で、ダンスをしている感覚そのものになる。「古典」に物語を託し、ミュージカルという形式がもつ特異なナラティブを導入した結果、『ウエスト・サイド・ストーリー』は、スピルバーグの映画的な運動への執着が生々しく刻まれている作品となった。】

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