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普通と人 ヒロミ-003 2024/02/12

普通の人の休日の様子を撮影している「休撮」プロジェクトをされているヒロミさんにお話を伺うシリーズです。

今回は、シンガーソングライターの方の山の中の普通を。
また、「普通」に興味を持った原体験についてお伺いしました。

まえがき:qbc(無名人インタビュー主催・作家)

今回のインタビューで話している動画はこちらです!

山の田舎の普通

qbc:今回はどんな撮影でしたか?

ヒロミ:今回は、三重県に移住されてきた方の撮影でした。
結構山の中にお住まいだったんですけど、シンガーソングライターをされていて、全国を飛び回ったりもしている方ですね。

qbc:山のほうって、どれくらいですか?

ヒロミ:うーん、なんて説明したら。難しいですね。

qbc:標高で言うとどれくらい?

ヒロミ:標高的には500mくらいのところですね。10世帯くらいですかね、その辺に住んでいらっしゃるのは。

qbc:どんな方でした?

ヒロミ:ぱっと見、イージーゴーイングみたいな方で。
山奥に、友達みんなで集まれる場所を作りたいみたいなことをお話しされていて、それにふさわしい場所がたまたまこのあたりだった、というお話でしたね。山の中だったらみんなで騒いでも、歌ってても大丈夫だからって言っていましたね。

今回、お休みの日の食事風景と、彼の住む場所周辺を見せてもらったという感じでした。
食事は、白米と、最初は味噌汁って思ったんですけど、味噌汁ではなくて、ニンニクを醤油に漬けたものをダシにしたスープでした。

qbc:今回、撮影された場所、ここはご自宅ですか?

ヒロミ:作業場所ですね。自宅はすぐ隣にあるんですけど、そこに台所があって調理して、作業場で食べる、みたいな感じでした。
作業場はまだ片付いてない感じで、これから片付けるって言ってましたね。なんの作業か? ですか。看板作ったりすることをされてるみたいです。
この作業場でライブもしてみたいっておっしゃってましたね。

qbc:撮影されてて、ヒロミさんは何を感じてらっしゃいましたか?

ヒロミ:今回の方は、私の地元からもうちょっと山寄りに移住された方なので、どういう人が住んでるのかな、みたいな視点で見てましたね。
田舎にきて、ここをどういうふうに活用しているのかな、みたいな。そういう地元民の好奇心で撮影してました。

qbc:なるほど。一番近いコンビニが、車でどれくらいの場所でしたっけ?

ヒロミ:コンビニは車で30分ぐらい。駅は1時間くらいのところですね。
小学校とかも、私の同級生が5人で、山村留学生って言って、町から子供がやってくるみたいな制度があったりするような場所です。

なんで、やっぱり、人が来るとか人が引っ越してくるっていうのは、結構インパクトがあるんですよね、地元にとっては。何でこんなとこに? みたいな。

でも、私の子供の頃とは違って、例えばインターネットがあったりするので、状況が変わってますね。電気とWi-Fiあれば何とかなるみたいな。
本当その通りやなって思ってます。今、ノマドワーカーとかいらっしゃると思うんですけども、あり得るんだなって思ったりします。

ただ、物理的にはやっぱり隔離というか、不便な場所ではあるので、それがいいっていう人やったら、なんか住んでいいんじゃないかなって思います。

qbc:今回の人の「普通」は、どんな感じでしたか?

ヒロミ:「普通」がなかなか定義しにくい方でした。
これが普通なんだろうかって思いながら撮影したんですけど、歌手活動のために家を空けること多いらしいんで、ここで時間を過ごすこと自体がまず少ないみたいなんですよね。
だから、ここにいる方が特別なのかなって思いつつ。
でも、拠点にはされてるんで。やっぱりこの場所で撮るのが普通だよなと思ったりはします。

第一印象で、打ち解けやすそうな方でした。旅をしながら、すぐ誰とでも仲良くなるっておっしゃってたので。すごい話しやすかったですね。
威圧感がなかったです。

qbc:先ほど、自由人って表現されてたんですけど、この場合の「自由」とは?

ヒロミ:前回撮影させていただいた方が言っていた「学校で学んだことが全てで、良い会社に入ってお給料が良くて、それが幸せみたいな生き方」が普通としてあったとしたら、そこにはとらわれてないよなって方でした。

qbc:なるほど。

ヒロミ:お話をお伺いしていて、私の地元の、この山の中が拠点になっていいんだな、みたいに思いましたね。全国を旅するんだったら、田舎に住んでようが気にしなくてもいいのかな、とか。田舎に住んでると、どうしても街に目が行きがちになってしまうので。

たまたま生まれた今住んでいるところに住むのが幸せなのかな、とかも思ったり。でも、今回撮影させていただいた方は、この山の中に住む幸せっていうのを見つけられたんですよね。だから、こんな暮らし方もありなんやなって。

デンマークの普通

qbc:話切り替わって。「休撮」プロジェクトの成り立ちをお伺いしていきたいと思います。前回、多様性をテーマに、人の見た目と内面をモチーフにした「インサイドアウト」という本を作るプロジェクトをクワウドファンディングで成功させたというお話までいきました。

ヒロミ:はい。

qbc:そのプロジェクトの中で、普通って何だろうという疑問が沸き起こっていったということでしたが。
ひとまず、本のプロジェクトがいつ終わって、「休撮」がいつ始まるんでしたっけ?

ヒロミ:本に2022年いっぱいくらいかかって、「休撮」のYouTubeチャンネル自体は、去年、2023年の5月スタートですね。

qbc:動画にしたのは、本のプロジェクトの手作業製本がとにかく作業的にハードだったので、もっと作業が楽で、継続可能なものを、ということでしたね。
このあたり、もうすこし詳細お伺いしたいです。

ヒロミ:動画を作ること自体が楽しいなって思ったのは、結構昔なんですよね。
2010年の7月から2011年の5月まで、デンマークにデザイン関連で留学していたんですけど、そのときにビデオメイキングのクラスを取ってて。そのときに動画を作ったのがすごく楽しかったっていうのがあって。
そのときは私、動画編集の技術がなくって、3人のチームで動いてたんですけども、他の子に任せっぱなしだったんですけど。日本人2人とヴェトナム人1人のチームですね。

でも、自分自身が動画に出るのはすごく嫌なんですよね。自分のことを発信したいっていう気持ちもないですし。
でも他の方を撮影していくのはすごく楽しくて。

qbc:どんな動画だったんです?

ヒロミ:フォルケホイスコーレの宿舎の部屋を撮っていく動画です。部屋にその人その人の個性が出るんですよ。

qbc:あ、フォルケホイスコーレ。

ヒロミ:フォルケホイスコーレだったんです。

フォルケホイスコーレとは、北欧独自の教育機関です。
フォルケホイスコーレの特徴は、試験や成績が一切ないこと、民主主義的思考を育てる場であること、知の欲求を満たす場であることです。
加えて、全寮制となっており、全員が共に生活することなども代表的なフォルケホイスコーレの文化です。教員も各校数人は敷地の中に自宅があります。
生徒はみな国籍関係なく国からの助成金を受けることができ、学費の一部を払うだけで入学できます。
もともとフォルケホイスコーレは、哲学者であり教育者でもあるデンマーク人のグルントヴィが「すべての人に教育を」というコンセプトのもと、主に学校に通えない農家に育った人などを対象に創設しました。
やがてもう一人の創始者と言われるクリステン・コルがフォルケホイスコーレを今の民主主義的教育メソッドに変えたと言われています。
1844年に最初のフォルケホイスコーレが開校しました。20年後、64年のシュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争に敗れたことで市民の間で「知」への欲求が大きく増加し、
67年にはおよそ20校が、その50年後には68校がつくられました。その後も学校数は少しずつ増え続けますが、2007年ごろから不況により統廃合が行われ、
現在では1918年時点とほぼ同数の70校前後があります。
統廃合された結果今残っているものの多くは、特定の分野に特化し個性を持った学校です。
特化された分野はアート、スポーツ、哲学、福祉など様々ですが、今でも創始者の目指した知を蓄える場所であることや、
民主主義を育てる場所であることはどの学校も一貫して守られています。

https://www.ifas-japan.com/folke/

qbc:なるほどなるほど。あー。そもそも、なぜデンマークに?

ヒロミ:北欧のデザインの勉強をしたくて。北欧って、幸福度の高い国が多くて。良いデザインと幸福には関係があるのかなって。

qbc:デザインと幸福度、関係ありました?

ヒロミ:多分、関係してると思うんですけど。
良くも悪くも、デンマークの人たちはあんまり他人を気にしないなって思いましたね。日本人って、結構周りを気にしがちかなって思って。

デンマークだけじゃなく、ヨーロッパ全体にそうなのかもしれないすけど、自分は自分である程度やりたいことやったらいいんじゃないの? みたいな。それがすごく心地よくって。
デザインの作品作りの方法に関しても、日本の学生だとなかなか思いつかないような方向で作ってたりする子もいたんで。
そういう自分は自分の環境から、個性的な発想が生まれるんだなって思った記憶があります。

日照時間の普通

qbc:「普通」というコンセプトに関しては、どうやって詰めていったんでしょうか。

ヒロミ:多分ね、私はずっと普通という言葉にとらわれてるような気がするんですよね。
これもデンマーク留学のときなんですけども、日照時間なんですけど、夏はめっちゃ昼間が長くて、冬はすごい日没が早いんですよ。

qbc:どれくらい違うんですか? 具体的に何時から何時?

ヒロミ:夏は、6月から9月くらいですけど、日の沈んでる時間が0時から3時くらい。

qbc:え、そんなに。

ヒロミ:冬は日没が早くて、夜が長いから。日の出てるのは9時から16時くらいですね。

qbc:すごい。

ヒロミ:でも、現地の人にとっては、これが普通なのかなって思って。それがすごく原体験。
こんなレベルで生活が違うんだなって感じまして、当時。実際、5度とかの気温の中、日光浴をするために半袖で外に出ていくんですよね、彼らは。

なので、今、日本人というか、私の感じる「普通」と他の人の感じる「普通」って絶対違うよなっていうのはそっからあって。
常に、心のどこかには、何か思ってたことなんですけど。

qbc:はい。

ヒロミ:ただでも、どのように形にしようかなってなったときに、あんまりいいアイディアがなくて。
でも本を作ったことで、同じ質問を10個投げても、違う回答が返ってくるのを目の当たりにして、これはやっぱりたくさんの人に話を聞いてみたら、「普通」というものがわかるかな、みたいな。
それで動画を試している、という感じです、はい。

今回のインタビューで話している動画はこちらです!

今回のインタビューに書かれたヒロミさんのnoteはこちらです!

「休撮」では撮影にご協力いただける方を募集しています!

※対象は、三重県北部から半径100km程度の距離で撮影可能な方です!

過去のインタビュー記事はこちらから!

終わりに

自分の普通は他人の非常識と言いますが、ものすごく乱暴に言うと、この感覚があるかないかがつまり人生が幸福かどうかのリトマス試験紙なのかもー!!!?

制作:qbc(無名人インタビュー主催・作家)
https://note.com/unknowninterview/n/nc2a3d5315d28

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