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どっかに小さい頃の自分が中にいる人

小さなころ、神奈川の大船に住む(いとこ)の家に、ときどき遊びに行っていた。
そのときの記憶というのが、用水路で遊んだことで、私の頭の中ではその用水路、すごく大きくて大人の背でも届かないようなトンネル部分があった、、気がしている。
記憶の中の話なので、混濁していて、実際にそうだったかわからないし、今書きながら記憶を捏造していってる部分もたぶんあるんだと思う。
ともあれその用水路のトンネルは暗くて、6歳くらい年上の(いとこ)についていって、遊んだ。まんなかに用水があって、あっちとこっちはもう渡れないくらいの幅、広さ。2mくらいだったのか? で、夕方まで遊んで、うす暗闇のなかで、トンネルに入ろうと(いとこ)に誘われて、でも、入るのがなかなかに怖くて先に進めなかった記憶が、あるのかないのか。たぶん、本当のことだと思うのだけど、どうなのだろう。
(いとこ)とカッコづけしているのは、その大船の実際のいとこではないかもしれないからだ、相手が。もしかしたら私の実家のそばの年上の誰かかもしれない。
ことほどさように記憶はあいまいな、という話がしたかった! わけではない。
話の焦点は、エピソードがあって、記憶があって、ディテールがあやふやなのだけど、でもそのとき怖かったという感情だけはありありと迫力を持って私の心の中にある、というとこころだ。
感情。
その感情が、現実に、実際にどうだったか? とかは構わずに、記憶をこねくりまわしているのではないか? それで、いらぬ面倒をしなくてはならないのではないか?
ならば感情はやっかいものなんだろうかね?
いや、でもさ、その感情を感じている私自体は、否定できないでしょ。私は私なんだから。事実とは違っていても、なんだっても、それを感じている私は私なんだ。
ということで今日の無名人インタビューはじまります!!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(無名人インタビュー主催)】

今回ご参加いただいたのは みのり さんです!

現在:成長した自分になりたい

ナカザワ:みのりさんは今、何をしてる方ですか?

みのり:今は、保育士を目指して、保育士の養成学校に通ってるんですけど、週3日通えばいい学校で。残りのあいた日は、スーパーでアルバイトしています。

ナカザワ:保育士の専門学校ではないところなんですね。

みのり:最低限の授業を受ければ、保育士資格が、卒業と同時にもらえるっていう。
もう本当に最低限のことしか勉強しないっていう感じなので、独学の方も頑張らなければいけないなっていうプレッシャーも感じつつ、学校に通ってます。

ナカザワ:ちなみに週3でOKっていうことだと、どのぐらいの期間通い続けるものなんですか?

みのり:2年通って、幼稚園の先生の資格は取れないんですけど、保育士だけ取れるっていう学校で。普通の専門学校だと両方取れるところが多いんですけど、私が通ってるところは保育士だけです。

ナカザワ:スーパーでバイトもされてるってことだったんですけど、普段どんなお仕事をされてるんですか?

みのり:ええと、食品のレジです。
以前は保育補助の仕事も一緒に掛け持ちでやってたのですが、やっぱり、掛け持ちはちょっと体力的にきつかったのと、みんな保育士資格を持ってるパートさんとか、保育士と紛れて、現場に入ってて。自分の無力さを日々感じながら過ごしてると、疲れてしまった日もありました。子どもに失礼だなって感じていました。
あと、資格をまだ持ってないので、働ける時間が短かったんですね。週3日の1日4時間勤務でした。そこももどかしくて。

ナカザワ:なるほど。

みのり:ひとつに絞った方がいいかなって思って、スーパーだけになりました。
今東京に住んでるんですけど、以前は埼玉のディスカウントストアで、11年ちょっとレジやってたので。慣れてるレジの方が、学校の勉強も気持ち的に余裕を持って取り組めるかなって思って、レジのバイトを選んで、始めました。

ナカザワ:そのバイトは、今、どのぐらい続けてらっしゃるんですか?

みのり:今のバイトは、ええと、去年の12月中旬から始めたので、半年経ってないくらいです。

ナカザワ:学校に通うのと同時期ぐらいに、始めたんですかね?

みのり:今の学校は、2022年に入学して。そのときは、まだその、11年やってたアルバイト先で働いてました。

ナカザワ:あ、じゃあ変わったんですね、バイト先。
11年続けていらっしゃったバイトを辞めたのは何か理由があったんですか?

みのり:引っ越して、家から遠くなったのと。あとは、そこでしか、仕事の経験がなかったので、違うところでも働いて、自分の可能性をちょっと試してみたいっていうのもあったし。
責任感がある仕事を任されるようになって、頼られることが多くなって。そこで、疲れちゃったりとか。あとまあ、結構困ったお客さんが多かったんですね。客層がちょっと悪いっていうのもありましたね。
あと、付き合ってた彼氏が同じ職場にいたので。ちょっといづらくなったというか。
別れても、同じ空間の中にいるっていうのが、私はちょっと嫌だったので。
もっと、成長した自分になりたいとい。ここだけに収まってる自分が嫌になってきたというか。
何だろう、ちょっと息苦しくなってきたっていうのもあって、自分のやりたいことと違う働き方だなっていうのに気づいたんですね。

ナカザワ:はい。

みのり:彼氏と別れた後も、そこで働き続けてたのですがなんかモヤモヤしてて。
今の彼氏とたまたま出会ったときに、彼氏は向上心がすごい高い人で。やりたいことをいろいろやって、前だけを見てる人だったんですね。
その姿を見たときに、私の夢とか、やりたいことって、何なんだろう?っていう、考えるきっかけがあって。
で、いろいろ考えて、子どもと関わることかもしれないっていう考えにたどり着いて。
保育士とかどうかな?って思っていろいろ調べて。今からでも保育士になるために学校に通えるかもしれないって、思ったんですね。それで、こんなところで働いてる場合じゃないって思ったんです。

ナカザワ:はい。

みのり:このままだと自分は成長できないって思ったんで、自分に厳しくするためにも、ちょっと違う場所に自分を持っていこうって。
で、その職場辞めて、しばらくは保育補助のバイトだけをしてました。

ナカザワ:なるほど。

みのり:ええと、11年やってるところを辞めたい、辞めたいってすごい店長に言ってたんですが、なかなか辞めさせてもらえなくて。11年もいるから、会社の方針とか、考えとか、よくわかってるから。そういう人やめてしまうとちょっとこっちも痛いからもうちょっといてほしいっていわれて。
そっか、って思いながら、ダラダラダラダラいて、学校の入学になってしまって。

ナカザワ:かぶってたんですね。

みのり:そうですね。やめたいって、2ヶ月に1回ぐらい言って。3回目で、わかったって言ってくれて。やめられたっていう感じだったんですけど。4月に学校に入って、7月ぐらい。7月の下旬に、やっと、仕事を退職できたっていう感じでした。

ナカザワ:なるほど。今働いてるスーパーと、前に働いてたスーパーって結構違いますか?

みのり:人が、みんな穏やかというか。ストレスが溜まってないなってわかる、というか。多分、仕事内容とか、なんだろう、やり方と体制とかが全然違うだろうからまあ、そういうことが起きるんだろうけども。
11年いたところは、みんなピリピリしてたんですよね。レジが手動で、手で全部数えてお札とかやってたんで。違算とか、間違いが必ず起きたり。レジのお金を盗む人がたまにいました。売り物を盗む人も。そういうことでまあ、ピリピリしていたのかもしれません。

ナカザワ:うんうん。

みのり:今のスーパーは、全部自動なんで、違算とかは起きづらいし。あ、みんな笑うんだって思いました。

ナカザワ:従業員の人が笑ってる?

みのり:そうですね。なんか、心に余裕があるなって。ちょっと最初は戸惑いました。だからパートさんも、アルバイトの人たちもみんな働きやすいのかなって。新鮮というか。知らない世界を知れたなっていう感じです。

ナカザワ:みのりさん自身の働きやすさはどうですか?

みのり:うーん、ちょっと、気持ちがついて行けないというか。物足りなさ、みたいな。前の職場では、あれやっといてこれやっといてっていろいろ言われるのがすごいストレスに感じる日もあったんですけど、今はそれが全くなくなって。
頼まれることがすごい嫌だったはずなのに、それがなくなってなんか寂しいなってちょっと思う日もあったり。
でもストレスは溜まらなくなったから、保育の勉強に集中できるなって。嬉しいっちゃ嬉しいですね。

ナカザワ:なるほど。今、保育の勉強と、バイトをやってらっしゃると思うんですけど、それ以外の時間は何をされてるんですか?

みのり:彼氏と同棲しているんですけど、家のことですね。洗濯とか、片付けとか洗い物とか、間に合ってないので。それとか。
あと、私すごい口下手で、思ってることちゃんと言葉にして言えなかったりとか、頭がもうめちゃくちゃになっちゃうので、自分の気持ちを書き出してみたりとか。日記をつけてみたりとかはたまにします。
あとは、YouTubeを観て音楽を聴いたりとか。最近はやらなくなっちゃったんですけど、英語が好きなので。英語をちょっと勉強したりとか。あとたまに本を読んでみたりとか。うーん。そんな感じですかね。

ナカザワ:家のこととか家事はみのりさんがやることが多いんですか?

みのり:そうですね。私がほとんどやってますね。

ナカザワ:なるほどなるほど。彼氏さんは働いてらっしゃる方なんですかね。

みのり:そうですね。働いて帰って、すごいぐっすり寝て。なかなか起きないっていう感じですし。なんだろう、洗濯物干すにしても、私がやった方が綺麗に干せるしっていうのもあって。洗い物とかは、たまにやってくれるんですけど、アトピー持っていて、肌が弱いんで。水仕事は、あまり任せたくないなってちょっと思ってます。

過去:私って大きくなったらどうなっちゃうんだろう?とか、小さいながらに不安で、後ろを向いてた

ナカザワ:みのりさんは小さい頃、どんなお子さんでしたか?

みのり:小さい頃は、そうですね。私が保育士になりたいって思う、そのきっかけの出来事でもあったんですけど。小さい頃に、全然、生活が楽しくないって思ってたんですね。

ナカザワ:はい。

みのり:で、なんで私、生まれてきたんだろう?とか。本当に、お母さんの子どもなのかな?とか思ってたり。
小さいときから、私って大きくなったらどうなっちゃうんだろう?とか、小さいながらに不安で、後ろを向いてたかなって思ってて。
今考えたら、お母さんの声掛けが、ちょっと、いろいろ、心に刺さるものが多かった。傷つけられたことがすごい多かったので。楽しくなかったなっていうのと、あと弟が3つ下にいるんですけど。弟が生まれてから、お母さんが弟ばっかりになっちゃって。すごい寂しくなったなとか。
余計に、私っている必要ある? って思っちゃったり。弟と喧嘩しちゃったときも、お姉ちゃんなんだから、ちょっと力抜きなさい、弟に本気でぶつかるのはよくないみたいなこと言われたりとか。なんか、私にだけ怒るんだ、みたいなことが多かったり。うーん、まあ、寂しかったんですね。

ナカザワ:うんうん。

みのり:なので、保育士になって、今が楽しいって思える子どもがひとりでも多くいてくれたらいいなって思ったんですね。

ナカザワ:何で私生まれてきたんだろう? とかそういったことって何歳ぐらいから思ってたんですか?

みのり:小さい頃はそういう語彙力とかないんで、漠然と、なんで?とか、はてなが多かった。
なんで生まれてきたんだろう?っていうのは、小学生ぐらいからかもしれません。

ナカザワ:うんうん。

みのり:ちっちゃい頃は、大人になりたくないなとか、結婚したくないなとか。そういう、ネガティブな感情が多かったんですけど、一番の支えが、お父さんでしたね。
お父さんがすごく好きだったんですけど、両親、仲が悪いというか。お互いに話さない。ただ一緒に住んでるだけっていう感じで。旅行に家族で行ったとしても、お互いに避けあってるし。お母さんがお父さんの陰口、タバコ臭いとか、そういうこと言ってたりしてて。
え、じゃあなんで、一緒に旅行してるの? って。毎回思ってました。ちょっと寂しかった。

ナカザワ:なるほど。

みのり:なので、結婚はしたくないなって。それは本当に昔から思ってましたね。
でも、人をどうしても好きになっちゃうじゃないですか。人間って。
人を好きになっちゃいけないって言い聞かせてたんですけど。でも、優しくしてくれる男の人とかいたら、自分を認めてくれたんだって嬉しくなっちゃって。

ナカザワ:はい。

みのり:今まで、お母さんから存在を認めてもらえないと思っていたので、嬉しくて。話しちゃって。付き合って。別れて。そのときはすごい落ち込んだというか。
だから、男は作らないって決めたのにって自分で自分を責めました。でも今は、そういう思いはなくなりました。

ナカザワ:お父さんのどういうところが好きだったんですか?

みのり:自分自身も楽しんで、一緒に遊んでくれたりとか。ダンボールでおうちを作ってくれて。体張って、私のことを持ち上げて飛行機みたいにして遊んでくれたりとか。全力で遊んでくれたり、絶対に私のことを否定しなかったんですね。

ナカザワ:うんうん。

みのり:ここをもうちょっとこうした方がいいとか、これはやめた方がいいとか、そういうことは一切、言わない人だったんで。だから、そこがすごく嬉しかったし、安心してお父さんと話すことができたなって。今振り返ると思います。
お母さんは、私の悪いところばっかり目がいくのか、こうした方がいい、ああした方がいいとか、言うんですね。なんか、階段のくだり方がおかしいとか。食べ方がおかしいとか。
逆に褒められた事はないかなっていう感じで。ちょっと悲しかったですね。
なのでお父さんにべったりだったんですけど。お母さんがお父さんのことを嫌っていて、お母さんの方が、強かったのでお母さんの方にいた方が自分も嫌われないから、
お父さんのことを一緒に、距離を置いてみたりしてました。そこは後悔してるところですね。

ナカザワ:寂しかったとか、傷ついたなと思ったのって、ご自身で気づいたのはいつでしたか?

みのり:一番、鮮明に覚えてるのが、多分、3歳ぐらいだと思うんですけど。
私、お喋りで。お母さんと話してたときに、インターホンがピンポンってなって。で、お母さん、下の階まで降りて。玄関開けたんですけど。その間も、私ずっと喋りっぱなしで。お客さんが見えても、ずっと喋ってたんですね。
それで、お母さんに、「もう、うるさい」って思いっきり言われたんです。そのときに、すごい、びっくりしました。
あとでお客さんが帰ったあとに、あのときお客さんがいたからああ言っちゃったんだよって説明を受けたのを覚えてるんですけど、謝ってくれなかったなって思ってて。

ナカザワ:うんうん。

みのり:それが未だに忘れられない思い出です。あともうひとつが、あの、小学生の一年生のときに、私いじめられてたんですけど、その学校でいじめられたってことをお母さんに話したんですね。

ナカザワ:はいはい。

みのり:学校の帰り道に、私含めて4人組で帰ってたんですけど、そのときに、私が、その、3人に、ちょっと、学校の黄色い帽子あるじゃないですか。
その帽子を、帽子貸してって言われて貸したんですけど。そのあとに、目つぶって10秒数えてって言われて。私、言われたままに、目つぶって10秒数えて。ぱっと目を開けたら、誰も周りにいなくて。近くの畑に、私の帽子ぽんって置いてあったんですよ。で、みんな、どこ?って感じで。
でもそのとき私、急にトイレに行きたくなっちゃったんですよね。で、トイレ行きたいしか頭になくって、帽子を拾って、そのまま走って家に帰ったっていうことがあって。
お母さんに、それを話したら、すぐに帰ってくればいいじゃんと言われました。
私がどう話したのか、あんまり覚えてないんですけど、みんなに何も言わないで帰っちゃったけど、大丈夫かな?っていうことを私は心配していたのに。

ナカザワ:うん。

みのり:怒られたというか、ちゃんと私が思ってることをお母さんは理解してくれてないなって思った瞬間だったので。これからは、そういう、学校でいじめられたとか、悩んでることは話さないようにしようって決めた瞬間でしたね。あの日は。

ナカザワ:最初にちょっと口下手で、っていうお話されてたんですけど。小さい頃は結構お喋りだったりとか。
話したりとかは、全然普通にしてたってことですか?

みのり:そうですね。家では話してたんですけど、学校とかではすごい無口で。喋らなすぎて、ずっと1人でいるっていう子で。家に帰ると、めちゃくちゃ喋るっていう感じだったんです。
語彙力とかはなくて、知らない言葉も多かったのですが。
それで、中学校のときに、お母さんに、みのりは言葉知らなすぎるから、テレビとか、漫画とか、いっぱい見た方がいいって言われた事もありました。

ナカザワ:はいはい。

みのり:でも私、それにはあまり興味がなかったし、これやれ、あれやれ、っていつも指示ばっかりって思ってて、それが嫌だったんです。私っておかしいのかな?ってしか思わなかったし。
それで、お母さんに、もし友達と話してて、わからない単語とか言葉とかがあったら、友達に聞かないで、帰ってきてから、お母さんに聞いてって言われたんですね。言葉とかわからなくて、友達本人に聞いたら、馬鹿だと思われるから、言わない方がいいよって。

ナカザワ:うんうん。

みのり:でもわかんない単語とか言葉とか、ずっと覚えてられないんですよ、私。
忘れちゃうんですね。メモするわけにもいかないし。なんでメモしてるの?とか言われたら嫌だなって思ったりして。それから、外ではあんまり喋らなくなった。

ナカザワ:外で喋らなくなったのはそれがきっかけですか?

みのり:うーん、そうかもしれません。ずっと学校で話してなかったので、私の中で変化があまり起きなかった。毎日同じルーティンというか。友達もいないから、エピソードもない。
だから、時系列というか、いつ何が起こったっていうのが、あまり、自分の中で把握しきれてなくて。

ナカザワ:なるほど。学校では喋らない子どもだったっていう話だったんですけど、それはずっとそうなんですか。

みのり:そうですね。学校では。
ただ、本当は喋りたかったけど、馬鹿って思われるって。馬鹿って思われたことがお母さんに知られたら、お母さんが悲しい思いをするって思っていたので、だんだん、わかんない単語が出てきちゃったらどうしよう、と思うようにはなりました。
それで、学校の担任の先生がすごく心配してくれたんですよね。
その出来事で人見知りになったのかもしれないし、もともと人見知りなのかもしれないし。そこはわかんないですけど、だんだん恥ずかしいって思うようになって。でも、小学校5年生のときに、結構話せる子がいて。

ナカザワ:うんうん。

みのり:今思うと、遊ばれてたんだなって思うんですけど。私も多分、人と話すのがもともと好きで、話したいって思ってたので、相手から求められると一気に話しちゃって。
相手のわがままに付き合ったりとか。言うこと聞かないと、トイレに行って、殴る、蹴るとかやられてたんですけど。それでも一緒にいましたね。

未来:今が幸せって言える大人になりたい

ナカザワ:みのりさんは、未来どういうふうになっていたいか、イメージはありますか?

みのり:ええと、未来、いろいろ考えたんですけど、さっきもいったように、保育士になって小さい頃の自分も救いたいなって思ってるんですよね。

ナカザワ:うんうん。

みのり:どっかに小さい頃の自分が、中にいて。
何で救ってくれなかったんだろう、とか。なんで大人は助けてくれなかったの、とか。
大人に対して、すごい不信感がある子どもが、私の中に多分いるので。

ナカザワ:うん。

みのり:そういった子も、みんな含めて、不信感をとっぱらって、本当の笑顔で、生きられる子どもを1人でも多くしたいです。
私と関わったことがきっかけで、そうなってくれる子が増えたらいいなって思っているので、その第一人者に、将来はなりたいなって思ってます。
どうして生まれてきたんだろう、とか、思ってたんですけど。そうじゃなくて、生まれてきた意味を作るために生きてるんだろう、って。その、そういう考えに行き着いたんで、その意味を作るためにいろいろ、その、保育で頑張りたいなって思ってるところで。

ナカザワ:大人は助けてくれなかった、不信感があったっていうところもお聞きしたんですが、みのりさん自身はどういう大人でいたいですか?

みのり:自分の都合で怒ったりとか。自分の都合でその人の性格を形成するみたいな考えじゃなくて、全部、悪いところもいいところも受け止められる大人になりたいなって思っていて。
それは駄目だよってただいうんじゃなくて、何でそれをやったの、っていうことも、理由もちゃんと聞ける大人になりたいなって思っています。

ナカザワ:なるほど。

みのり:親自身もやっぱ、幸せって思って生きてないと、相手に幸せを提供できないって思ってるんです。
だから、私の母親で言うと、お父さんとうまくいっていない、そのストレスもある中で、家事もやらなきゃいけない。
やることいっぱいあるのに、私を疲れさせないでくれよ、って多分思ってたんですよね。

ナカザワ:なるほど。

みのり:その状態で、人を幸せにできるか、って言ったらちょっと難しいって私思ってるんですよね。なので、幸せじゃないと、人も幸せにすることはできないって思ってて。
今が幸せって言える大人になりたいです。自分のことを大切にできる大人になりたいって思ってます。

ナカザワ:なるほど。保育の道を目指したっていう、その道の転換ってすごく大きなことだったと思うんですけど。どういうきっかけでそちらに進もうって思ったんでしょう?

みのり:最初は、子どもがすごい苦手だったんですね。
関わり方がわからなかったり。何を思ってるかわかんないとか。私は、小さい頃に幸せじゃなかったのに、幸せそうな顔しやがってとか、なんか思ってたんですよね。

ナカザワ:はい。

みのり:自分の子どもは作りたくないとまで思っていたんですけど。でも、考えてみたら子どものことばっかり思ってるし、本当は、子どもと、関わりたいんじゃないかな?ってちょっと自分を疑い始めて。
今の彼氏が、その子どもと関わることを仕事にしているんです。小学校に行って、体育の先生を、非常勤みたいな感じですけど、やっていて。
そういう話を聞く中で、なんだろう、羨ましいっちゃ羨ましいけど、自分もその中に入ることで、過去を取り戻せるというか、自分も救えるんじゃないかって思ったりとか。
あの子が、これできなかったのにできるようになったんだよ、とか聞くと、その子のこと知らなくてもすごい嬉しくって、泣きそうになっちゃったりして。本当は子どものことが好きなのかな? って思って。
自分の思いを書き出して自己分析しました。でもちょっと不安だったんで、地元の、子育て支援センターにボランティアに行ったりとかして。本当に子どもが好きなんだろうか? っていうのを確かめるために。

ナカザワ:うん。

みのり:すごい楽しかったですね。自分はこんなに楽しいって思えるんだ、ってちょっとびっくりなのと、すごい子どもって純粋なんだ、って。この純粋さを守りたいなってちょっと思ったんです。
何も汚されてない、澄んだ目を見てると、守りたいって思ったり。私みたいになって欲しくないなって思ったので。

ナカザワ:子育て支援センターにボランティアに行こうっていうのは、自分で思いつかれたんですか?

みのり:中学校のときに、学校に1年ぐらい行けてなくて、市の社会福祉協議会に、入っている、ステップルームっていうところに行ってたんです。学校に行けない子たちがそこに通うと、学校の出席をもらえるよっていうところがあったんですよ。

ナカザワ:なるほど。

みのり:その中に、子育て支援センターが入ってたんですね。なので、存在は知ってたんです。それで、あそこだったら子どもがいるし、ボランティアあるかもしれないってちょっと思って調べたら、ボランティアがあったので。思い切って行ってみようって思って。あのときはすぐ行動しました。

ナカザワ:なるほど。
お話を聞く中で、子どもに対する思いが変わったところが転換点だったのかなって思うんですけど、みのりさんとしてはどう思いますか?

みのり:そうですね。最初は、自分みたいな子どもがいなくなってほしいって思ったんですけど、それは自分のわがままというか、自己満に過ぎないんじゃないか、ってちょっと思って。
そのわがままを子どもに押し付けてるんじゃないかって、ちょっと後ろめたい気持ちっていうか。それで、学校に行くっていう決断をするのに、すごい時間がかかったし、葛藤もあったんですけど、結局答えがわからなくて。
まあ、とりあえず、学校行ってみるかって。答えがわからないまま、学校に行き始めたっていう感じなんですけど。でも今は、通ってよかったなって思えてますね。

ナカザワ:なるほど。

みのり:保育補助のバイトを通して、やっぱり難しいなと思うことはあって。子どもに対しての声かけとか。叱り方とか難しいんですけど。難しいから、やりがいがあるなって、そう思えたので。だから、自分の決断は間違ってなかったんだなって思えたんで。今は、充実して過ごせています。

ナカザワ:ありがとうございます。学校に行くっていう決断を下せなかったら今頃どうなってたと思いますか?

みのり:学校に行かなかったら、多分、生きがいっていうのがなかった。気力、生きる活力というか。何のために生きてるんだろうって思ってたのかもしれないし。

ナカザワ:そこに戻ってくるんですね。

みのり:そうですね。うーん。難しいですね。
でも、学校に行ってないにしても、何らかのかたちで子どもと関わるっていう選択をしていたと思いますね。でも答えがわからなくて、相談できる先生もいなくて。何かモヤモヤはしてるのかなっていう。そんな感じかもしれないです。

ナカザワ:ありがとうございます。なんかみのりさんとして、話しそびれちゃったなとか、言い忘れたなっていうことがあったら、それをお聞きしたいんですけど何かありますか?

みのり:ええと、学校に行ってるとか、今のスーパーのアルバイトとかは、その、お母さん含めて、家族に言ってんないんですよね。

ナカザワ:そうなんですね。

みのり:内緒で進めてて。言いたくないんですよね、特にお母さんには。お母さんには、私の進む道を、先に作られちゃうって思って。そういう生き方だったので。悔しいんですよね。
抗いたいというか。知られたくないというか。
いろいろ言われるのが嫌だし、悪いところしか見えない人なんで。
保育士になったら、お母さんに言うって思ってるんですけど。それもすんなり言えるのかなって不安はあります。

ナカザワ:今何してるか、伝えてないのはいつ頃からですか?

みのり:彼氏と同棲しはじめてからなんで、2021年です。それからずっと、今何やってるとかそういうことは言ってないし。同棲する前、実家にいたときも、そんなに自分の話はしなかったですね。知られたくないしっていう感じでした。

ナカザワ:じゃあまだスーパーで働いてると思ってるかもしれないってことですか?

みのり:実家からお店が、職場が近かったんで。
なんか私がいないなって気づいたみたいで。LINEが来ました。

ナカザワ:なるほど。

みのり:やめたの?ってLINEがきて。やめたって言ったら、お疲れ様って来たんですけど。
お疲れ様とか、頑張ったねとか、LINEでしか言ってくれないんですよね。面と向かって言われたこと、記憶があんまりなくて。なんか気持ち悪いなっていうのもあって。
素直な感情、感想なんでしょうけど。そういうコミュニケーションも、なんか面倒くさいというか、自分の気持ちがざわざわするのが嫌なんで。あまり報告とかはしなくなりましたね。また何か否定されたらどうしよう、とか。思っちゃってるんで。
学校行ってるとかは、言ってないし。奨学金借りて、お金借りて行ってるんで、それも言いたくないし。お母さんはお金を借りるっていうこと自体悪いイメージを持ってるので。それも言えないなっていう感じで。
まあ、自分に、これは正しいって言い聞かせながら。日々生きてるという感じです。
受け入れてはくれるんでしょうけど。自分の気持ちに余裕があるときじゃないと話せないなって。

ナカザワ:なるほど。ありがとうございます。

あとがき

今回のインタビューを通して、なんだか自分という人間のちっぽけさを感じました。

具体的なみのりさんの言葉のどこかでそれを感じたというわけではないみたいです。

みのりさんの挑戦と感情をただただ聞く。

無名人インタビューという仕掛けの中で、私はあくまで設定された聞き手でしかないという事実を理解したんだと思います。

話を聞くってことしか自分にはできない。聞くことで何かが解決するわけでもない。
こういう無力感は、改めて自分と世界の境界線を際立たせて、自分が世界の一部分だと実感させてくれます。

相手の話を「聞く」だけで何かを与えることはできないのに、それでもみのりさんの人生にちょっとだけお邪魔している不思議な感覚。

無名人インタビュー3年目でも、1人ひとりに出会うたびに新しいものに出会います。

このインタビューをここまで読んでくださったあなたの人生にも、何かしらの出会いがありますように。

【インタビュー・編集・あとがき:ナカザワ】

【文字起こし:あおい】

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