見出し画像

出会いたいなって人

むかしむかし、ある山里に、出会(であい)という名の若者が住んでいました。出会は、いつも「誰かに出会いたいな」という思いを胸に抱いていました。
それは、ただ単に人と知り合いたいというのではありません。心と心が響き合うような、特別な出会いを夢見ていたのです。
村人たちは出会のことを不思議に思っていました。「もうたくさんの人を知っているのに、なぜまだ出会いを求めるのか」と。
出会は、よく夕暮れ時に村はずれの古い柳の木の下で空を見上げながら、こう言うのでした。
「きっとどこかに、同じ空を見上げて、誰かに出会いたいと思っている人がいるはず」
ある日、出会は村の広場に「出会いの木」を植えました。そして、その木の下に小さな椅子を置き、誰でも座れるようにしました。
「この椅子に座った人は、きっと誰かに出会いたいと思っているんだ」と出会は考えました。
春には、旅人が木の下で休み、故郷の話を聞かせてくれました。
夏には、迷子の子どもが座り、一緒に星を数えました。
秋には、年老いた漁師が腰を下ろし、海の物語を語ってくれました。
冬には、寒さに震える小鳥たちが集まり、その鳴き声が心を温めました。
出会は、それぞれの出会いを大切な宝物のように心に刻んでいきました。
「どの出会いも、かけがえのないもの。
短い出会いも、長い出会いも、
予期せぬ出会いも、待ち望んだ出会いも、
すべてが私の人生を豊かにしてくれる」
やがて、出会の木は village の象徴となり、多くの人が集まるようになりました。そこで生まれる出会いは、それぞれが特別な物語を紡いでいきました。
後に出会は、こう語りました。
「出会いたいという思いは、心を開く窓のようなもの。その窓を開けていれば、思いがけない出会いが訪れる。そして、その一つ一つが、きっと運命の糸のように繋がっているんだと思うんです」
そして「出会いを待つ心に、縁は寄り添う」ということわざが、この村から広まっていったとさ。
めでたし、めでたし。
と思う2024年11月17日12時55分に書く無名人インタビュー949回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】

今回ご参加いただいたのは あいり さんです!

年齢:40代前半
性別:女性
職業:主婦


現在:物語の中に入ってっちゃうんです。来てほしいって言われて、嫌だって抵抗するんですけど、入ってっちゃうみたいなところがあって。

いまじん:
あいりさんは、今何をしている人ですか。

あいり:
私は専業主婦で、不登校の子供と一緒に毎日過ごしている感じですね。それと、自分の好きな作品を見つけそれの二次創作をしていますね。

いまじん:
他に何かされてることは?

あいり:
特にないっていうか。なくなっちゃったっていう感じですかね。

いまじん:
不登校の子供、っていうのはご自身のお子さんってことで?

あいり:
そうですね。私の子供と日中家で過ごしてるっていう感じです。

いまじん:
今はおいくつでいらっしゃる。

あいり:
中学生です。

いまじん:
性別は?

あいり:
それは秘密で。プライバシーがあるので。

いまじん:
では、中学生のお子さんはお子さんと2人で基本的には過ごされている。

あいり:
そうですね。

いまじん:
二次創作はどういった作品を扱ったりされてるんですか?

あいり:
女性向けですね。基本的に男性と男性の恋愛物の小説を書いてます。

いまじん:
BL(ボーイズラブ)みたいな?

あいり:
そうですね。

いまじん:
それはどこかに発信とかもされて書かれてるっていう感じですか?

あいり:
創作系のSNSに投稿してます。

いまじん:
いつぐらいから、やられてるんですか?

あいり:
SNSの投稿は、12年ぐらい前です。自分が小説そのものを描き始めたのは中学1年生の頃です。

いまじん:
小説っていうスタイルでずっとやられているんですか?

あいり:
最初は挿絵も書こうって思ったんですけどうまく線を捉えることができなくて。こっちではないなと感じて。絵を描くこと自体は嫌いではないんですけど。自分はそもそも小説が好きだから書きたいって思ったので、小説っていう形で書いてます。

いまじん:
本作のあるものを二次創作っていうのは、どういった部分が楽しいですか?

あいり:
最近気づいたんですけど、自分の生活環境っていうのが、男の人が中心の世界だったのかなと。

例えば、実家は父親が中心で、自分の兄弟も男兄弟しかいなくて。叔父達がオタクだったんですよ。そういうこともあって、少年漫画系の作品に囲まれていた。だから、少年漫画や青年漫画などを読むと、あ!素敵じゃん!っていう感じで。割とガチ恋めに(キャラクターに)萌えて。でも(自分の中から表現として)出てくるのは、BL、みたいなスタイルって気づきました。それで何が楽しいっていうふうになると、一生懸命になれてるときが一番楽しいのかなって思いますね。

いまじん:
ご自身が書いてて一生懸命やっているとき。

あいり:
そうですね。書きたいことはいっぱいあるので、1個に絞るっていうことがなかなかできないんですけど。書いているときに、このキャラクターってこういうときにはどんなことを喋ったり、どんなふうに好きって人に伝えたりするんだろうなって考えたり。いろんな考えを試行錯誤するんですけど。そういうのを何度も何度も考えるっていうことが楽しいです。

いまじん:
時間で言うと、そういったプロットを考えてるところと書くところと、どこが一番時間が時間をかけられたりするんですか。

あいり:
書いてる時間がやっぱり長いのかなと思いますね。

いまじん:
そもそもの話に戻ってしまうんですけど。二次創作をするってなったときは、どの作品にする、これを書こうっていうのはどういった基準で選んでますか。

あいり:
選んでるってわけじゃなくって、落ちてる。なんかすこん!と。

私、ハマる時になると否定するんですよ。私これにハマってないんですよみたいなことを周りに言うんですよ。ハマる予定ないからねとか。

前にハマっていた作品のときも、私はもう同人誌書きませんから!っていうことを、知り合いの人に言ったら、その3日後になって、いや、ハマっちゃってさ!書き始めちゃったんだよね!って言って。

今も、私引退かな!とか言ってたんですよ。もう二次創作しないから!って言ってたんですよね(笑)今考えると、めちゃくちゃ前振りだなって思うんです。自分で喋ってて笑ってて申し訳ないんですけど。

そしたら、なんか知らないけど、これは書くべきだと思った!っていう感じで(次の推しカプを見つける)。全然望んでないのに書き始める。なんかそういう感じですかね。そう考えると、本当に(ミヒャエル・エンデの)『はてしない物語』の主人公みたいですね。(『はてしない物語』の主人公バスチアン少年は)物語の中に入ってっちゃうんです。(物語の中の人物に)来てほしいって言われて、抵抗するんですけど、入ってっちゃう。今気づきました。そんな感じでハマってます。

いまじん:
落ちてるというか、私が書くべきだっていうのはどういうときに発生するんですか。

あいり:
そのことについてはすごく自分でも考えるんですけど。核に至るまでのどこに燃料があるかっていうのは、なってみなきゃわかんないかなっていう感じですね。そのステージに立たないとわからないなって思ってます。

いまじん:
最初のこれは書くべきだとなって最終的に書いた後ってそのキャラクターへのイメージというか、思いみたいなものは変化したりするものですか?

あいり:
キャラクターのイメージが変化するっていうよりも、自分の姿勢の方が変わるっていう感じですね。

このキャラクターのこういうところをこの角度で見たときに、こういう視点から見ると、こういうところが素敵だなって思ったよとか。そういうのがより深くなって、楽しい時間が過ごせるって感じます。

いまじん:
ちなみに二次創作以外に、好きなことというか、家事の中で好きなこととかでもいいですし。何か好きな時間とかってあったりします。

あいり:
病気が長かったので、いろんな楽しいことっていうのが失われてきちゃったっていう経過があって。それでそれを取り戻したいっていうふうに思って生きてます

楽しかったあの頃っていうよりは、自分が楽しいと思った感情を、取り戻したいと思って生きてきた感じですね。で、楽しいなって今思うことって何っていうふうで言われると、私、集団でいること自体がずっと無理だった。いつも自分が好きなものとか、これは嫌だなっていうものをぐっと抑えて、役割を果たそうっていう姿勢だったので。一緒にいても楽しくないっていうのがあって。誰と一緒にいても楽しくなくって。

だけど最近ちょっといろいろと心境に変化があって。(人と)一緒にいても、楽しいじゃんと思えるようになって。ここ2週間ぐらいでそう思えるようになったので。今は家族と一緒にいることと、家族とゲームの話ができるようになったので、家族とゲームの話をしたり、好きなものをお互いに話し合ったりとか。

あとはSNSでこの人いいなって思う人に、いいねをする瞬間がすごく好きですね。

過去: 立ってなきゃいけない。自分が死んじゃいけないんだっていうふうに思って、当時は本当にやってきた。

いまじん:
幼少期の記憶。たとえば、3歳とか4歳ぐらいの幼少期の一番覚えている記憶って何ですか。

あいり:
一番覚えている記憶っていうのは、2歳ぐらいですかね。旅行に行って、ホテルのベッドの上でジャンプしてたのを覚えてます。

いまじん:
どんな感情だったとか覚えてますか?

あいり:
そこまでは覚えてなくて。あと、覚えてることはたくさんあるんですけど。文字が好きだったなって思います。

私は木のパズル、板にひらがなが書いてあって例えば、「り」って書いてあったら、ひっくり返すとりんごの絵が書いてあるパズルっていうか積み木が好きで。

字を一生懸命見ていた。当時やってたアニメやドラマ、特撮なんかのエンディングのスタッフの名前を結構じっと見るのが好きで。あとは、外に出かけたときに看板を見るのが好き。

他には、紙芝居ですね。紙芝居も絵も好きなんですけど、裏側に書いてある文章が、こっちが答えなんだなみたいに思って。答えっていうか、ここに喋ってくれることが書いてあるんだなって。そういうのを読むっていうか見るのが好きだったと思います。これは2歳じゃなく保育園児とか、そんぐらいだと思います。

いまじん:
親御さんですとか、周りの人からどんな子とかって言われてたと思いますか?

あいり:
成人後になって母親から「あなたはおままごとに興味なかったしね」と言われて、結構ショックを受けた覚えがあります。興味なかったわけじゃないと思うけどなんかさも、おままごとを当たり前のようにやらなきゃいけないみたいな。

いまじん:
もう少し大きくなってから、印象的だった思い出ってありますか。小学生ぐらい。

あいり:
そうですね。友達がいなかったですね。全然。

特に低学年の頃とか本当にずっと1人で過ごしてて。3年生の頃になって初めて読書が面白いっていうか、自分にできるっていうことに気がついて。それからは本を読むようになったっていう感じですかね。

いまじん:
本に出会ってからってどういった変化がありました?

あいり:
居場所ができたっていうか、逃げる場所ができたっていう感じがあったと思います。

本を読んでいると寂しくないし、休み時間に、誰も遊ぶ人がないっていうのは、惨めだから、学校の図書館に行って、好きな本の続きを読むっていうことがすごく自分にとって救いだったなって思います。

いまじん:
好きだった本とかありますか?

あいり:
好きだった本は、そうですね。結構シリーズで出ている本が好きで、このレーベルがいいみたいなハマり方をしていたと思います。

当時、福武書店の児童書とか、あとは日本の名作とか世界の名作みたいな。この本の装丁ビビっと来るみたいなのを選んで手に取る。私の感性に合った作品はこの出版社から多いんだみたいなタイプの読み方をしてた感じですね。こっちも試してみよう!みたいなふうで。そんな感じでした。

いまじん:
もう少し大きくなってから、小学校高学年とか中学生ぐらいとかはどんなことが印象的でしたか?

あいり:
そうですね。小学校5年生ぐらいの頃に、キャラクターにハマるっていうことを本格的にしたなって思います。あ!このキャラめちゃくちゃ好き!っていうのは実はすごい小さい頃にもあったんですけど。

小学校5年生のときに、それをもっと強く自覚して。小学校の4年生の時にはアニメ雑誌を読んでたのでこのキャラクターの同人誌ないかなーって思って。アニメ雑誌、今はちょっとわかんないですけど、当時は同人誌の通販(コーナー)で(個人が)公募で(通販の案内を)載せてもらうみたいなところがあって。

それを読んで、売ってくださいって(手紙を書いて)同人誌を買ったっていうのが、初めて自分が同人誌に触れた瞬間ですね。(買った同人誌は)すごく大人の人が書いてたと思うので、子どものたどたどしい手紙にも真摯に対応してくれて当時感動したのを覚えてます。

いまじん:
どういった感動だったんですか。

あいり:
本当に来た!と思って。本当に来た!私すごいドキドキして、変なこと書いた気がするけど、ちゃんと来た!ちゃんと手続きできた!よかったって思いました。

いまじん:
キャラクターにハマるっていうのは、どういったきっかけがあるんですか?

あいり:
私はビジュアルから入るタイプだと思います。

完全に見た目から「ああ、いいね」っていう感じで入っていく。ので、歴代の好きになったキャラクターを並べてみると。うん、うん、わかるっていう。なんか私らしいなってすごく思いますね。外してないなーと思って。理由がすごく伝わってくるって思います。

いまじん:
当時はどういうビジュアルが好きだったり?

あいり:
当時は王子様系だったと思います。ワイルドさっていうよりは優雅な感じのキャラクターだったなって思いますね。今だと。品が良さそう。

いまじん:
ご自身がハマったってなった時は、周りとやり取りがあったりとかしたんですか?同級生とか。

あいり:
正直な話、本当に友達がいなかったので全然そういうことなくって、学校ももう行きたくないなって思ってて。朝早くにアニメがやってたんですけど登校時間ギリギリに観て、1人で遅刻しないように急げー!みたいな感じで行くようになったんです。そのとき見ていたアニメに出てくるキャラクターがすごくかっこよくって。1人でハマった感じです。

いまじん:
そのアニメに良さってどんなところだったんですか?

あいり:
そのアニメは格闘ゲームのアニメだった。私はバトルものっていうのが長い間理解できなかったので当時、どうしてそれを見ていたのかは(わかりません)。多分単純にアニメの新作だから見ていた。それでたまたまっていう感じです。わからなくても好きになりたいっていう気持ちが、自分は結構強いんだなっていうふうに感じますね。

いまじん:
わからなくても好きになりたいっていうのは、見ている中でちょっと変わっていったりするものですか?

あいり:
そうですね。わかってくると、もういいかって判断するっていうことも結構あるんですよ。

理解っていうのが必ずしも成果に結びつくわけではなく理解したら、そこから取捨選択するみたいな考え方をしているので。理解してほしいって言われても、選ぶかどうかは別みたいな感じですね。だから、理解していく中で、もういいなって感じる場面もあれば、理解していく中で、これはすごく好きだなって思うって感じですね。

いまじん:
もう少し大きくなって、中学後半とか高校生とかって、何か印象的なことありましたか。

あいり:
高校生のときに、一番印象的だったのは、すごく大きい挫折っていうか。病気になっちゃったっていうのが大きいですね。

当時は県外の大学の興味のあるところに行きたいって思ったので、母親にこの大学に行きたいんだよねって言ったら、「大学へ行ったお兄ちゃんのことはわかるけど、あんたのことはわからないんだよね。興味がないから」って言われてしまって。すごくショックを受けて。

当時演劇部だったんですけど。私、台本を覚えるのがすごく好きっていうか、特に問題がなかったんですよ。それで役ももらってたので、覚えなきゃいけなかったんですけどセリフを覚えられなくなっちゃって。頭が働かなくなっちゃって。勉強も本当に覚えられなくなって。

でも、塾に行きたいみたいなことを言ったとしたら、正直な話、女が大学に行く意味があるのか?とか、お前に興味がないって言われるから言えない。あと「(親自身は)高校も夜間で行ったんだから(娘であるお前も)夜間で行くのはどうだ」と言われて。相談しても、無意味だなと思って。

学校でもようやくできた仲の良い友達と(次の学年で)クラスが離れてしまったことに対して(ショックで)、当時の先生に、私友達と一緒にいたかったんだけどって言ったら、「もっと他の子を知りなさいよ」と言われて。自分は人に話を聞いてもらえないんだっていうことに絶望をして。

それで自分からほとんど止まっている状態の車にぶつかってっちゃったみたいなこととかあったり。そこから徐々に読書能力っていうのを失っていったっていうのがありますね。

いまじん:
絶望したっていうのがあったと思うんですけどそこからどういうふうに今の状態にまで持ってきたというか、どういった乗り越え方をされたんですか。

あいり:
そうですね。どうやって乗り越えたらいいかっていうのが結構八方ふさがりで。ちゃんとしてなさいよっていうことを基本的に親が言うわけですよ。あんたはちゃんとしなさいよって。でも、私達は援助しないから好きにやんなさいって言うんですよ。けど、好きにやった結果を見ると、どうしてこんなんになるんだって言われる、みたいなことが家庭の中で繰り返されてきて。

例えば正社員になったことを報告しても、「大学を卒業したのになんだ事務か」って言われて。ものすごくショックを受けて。心理的な味方っていうのを絶対にしない。あんたの味方ではないっていう態度をとり続けてきたのがすごくショックで。どうやって立ち直ったらいいのかわからなくって、何やっても駄目だな、何やっても私は戯言なんだなって思って。

どうしたらいいかって考えたっていうよりは、今の家族、夫が大学時代から付き合ってる人なんですけど。自分の場合はやっぱり恋愛に逃げた。っていうよりは引き取ってもらったっていう感じなのか。よくわからないんですけど。でも、夫には夫の事情があったのでお互いに取引が成立して、私と夫の両方の家庭から私達は逃げ出した。それで今があるっていう感じですね。ただ、夫がいたから全て良かったのかって言われたらそうじゃなくて。あんたのこと興味ないからっていう(親からの)破壊については、すごく時間をかけて、状況が悪くなっていった。

例えば、高校時代に文通っていうのをずっとしてたんですけど、それができなくなって。趣味で買った同人誌の小説の方がなぜか読めなくなってしまって。あんなにウキウキしてて読んだのに、なんで今日読めないんだろうって思って。で、大学はなぜか(入学できて)いけたので、教授から教えてもらった小説にハマって、読んでたんですけど。それも自分の人生が進むに連れて、(この作者の作品は)自分向けじゃない、もっと大人の男性向けかということに気づいたら、これもだんだん読めなくなってきてしまって。自分向けの小説って何だろうっていうふうに思って。

でも本屋さんに行っても、見つかる気がしない。児童書が好きだったけど、私は対象年齢じゃないから読んでいいのかなみたいな気持ちになって。過去にすがり過ぎてるんじゃないかって思ってつらくなって。どうしたらいいのかわかんないなって思ってたんですよ。そういうふうに本から遠ざかって、読めなくなって。

で、妊娠出産をしたんですけど。産後の肥立ちが悪かった。食事を取っても、栄養にならない。おっぱいを(赤ちゃんに)あげてるときに幸せな気分になるよねと当時の義理の母親から言われたんですけど。全然そんなことなくて。もう不幸な気分でいっぱいで。そのときに、子どもいるから、しっかりしなきゃいけないなっていうふうにすごく思ってた。でも自分が全部なくなっちゃうみたいで、嫌で。

なんか、誰も自分の幸せを、特に大人は喜んでないんだなっていうのがめちゃくちゃわかって。でももう自分は子どもじゃないんだから大人としてしっかりやってなきゃいけないって。立ってなきゃいけない。自分が死んじゃいけないんだっていうふうに思って、当時は本当にやってきた。

やっぱりちっちゃい頃(保育園~小学校時代)に友達がいなかったということが(自分の人間として欠陥だと思い責めていた)。友達はいるんです。中学のときに、私がもう絶対に友達になりたいっていう友達。その友達と今も付き合いがあって。でも、そういう友達関係もやっぱりちょっと遠い頃だったっていうのもあったし。

本当に全てを手放して子どもを産んで。子どもが生まれた時に、(母親が)「この子が生まれてきてよかったー、私はあんたがね、子どもを産むときまでは生きていたいって思ったんだよね」、と言ったときにすごいめちゃめちゃ心が冷めて。私の成長は何一つ喜んでこなかったくせに自分の貢献だけは喜ぶんかーいって思って。ものすごい虚しさがあって。

私、お母さんに何かして欲しかったわけじゃなくって。(私のすること)喜んで欲しかったり認めて欲しかったり、そんだけだったのに。

親になった今だからこそわかることってあるよねっていう話、SNSにも書かれるけど。ありがたいよねじゃなくて、(自分の親って)馬鹿野郎じゃね?って思って(笑)子どもが生まれて、なんかもうなくなっちゃったよって。私は鬱で仕事もやめてたので。もう終わりだーって。自分の人生はもうどこでも挽回できないんだ、友達もできないタイプだから何もできないし。って思ってたんですよ。

だけど、子どもが一歳になるかならないかぐらいのときに、とあるジャンルにハマって。(その頃の)私はもう(同人誌を書くような激しい)ハマり方はしない!みたいに思ってたんですよ。本当に本当に思ってたんですよ!(笑)

実家の圧、まともな大人になりなさいという圧がすごく強かったので。だから、中学生の頃には、私は大人になったら同人誌はやめるんだみたいなことも言ってたんですよ。実際やめてるんです高校生のとき。受験があるからねと言って。

だから、子どもができちゃったらますますそんなの関係ないって思ってたんですよ。でも(赤ちゃんを連れて)保育園の支援センターに行ったときに、保育士さんが、私がオタクだって、自分の娘と喋り方がそっくりだって言い始めて。オタクなの?って聞かれて、オタクだけど、もう(同人活動は)やってないです!って言ったんですよ。それが3日前のことでした!完全にカウントダウンですよ!恐ろしい!って今だと思います(笑)

影も形もなかったんです。自ジャンル、自カプってやつですね。なかったんです。だけど、その1日か2日後ぐらいには、ハマってしまって。次に会ったときにすいません!あれ嘘でした!投稿サイトに(小説を)アップロードしました!って保育士さんに話をするっていうことがあって。

そこからは大変でした。全然小説が読めない状態で。自分の書いた文章も輪郭がわからない。Aさんはどこそこへ行きました。その後Bさんと会って、そこへCさんが来ました。みたいな文章があったとします。けど、読んでる途中であれ、Bさんてどこから来たっけみたいな。前の文と後ろの文が繋がらないっていうのがまず一つ症状にあって。絵で例えると、顔の輪郭を書いて目口や鼻を入れたのに、顔に見えないぞみたいなことが起きて。他の人の文章を読んでも、(内容が)把握できない!どうしたんだろう?って。読めてるのに把握できない!っていうことが起きて。すごく怖くなった。

あと(自分の)文章を読んだときに、リズムがわからない。文章にもリズムがあるのに、そのリズムを昔の自分はできていたのに、できなくなっちゃった。

もう一つは、自分としては感情を込めてここを書きたいって思ってるのに、嘘くさい。っていうか、嘘なんじゃないの?ってよく親に言われたりしたんですけど。例えば、いじめがあったときも嘘なんじゃないのって言われたり、泣いてるときに嘘泣き!って言われたりとかして。それがなぜか思い出されて、自分は嘘を書いてるのかって思って。怖い!みたいな症状があって。

でも書きたい話が、長いタイプだったので。できれば起承転結のある話が書きたいって思ったので。そのときは友達、長い付き合いのある友達や新しく知り合った友達に(書いた文章が)本当に頭の中に思い浮かぶのか読んでほしいっていうことをお願いして、読んでもらうっていうことを結構してました。

それで自分がどうしたら心の目っていうか、取り戻せるのかなって四苦八苦してきたんですけど。ハマってきたキャラクターにすごい助けられてきたっていう思いがあって。(作品を手に取ると)自分にとって必要な話題が自然と集まるっていうことが多く。それをヒントに、自分の人生を立て直してきたっていう感じです。

未来:愛されて逆転できるキャラクターになりたいかなって思います。

あいり:
これからどんなふうに生きるかどうかは、わからないです。でも、きっといい出会いがまだたくさんあるだろうし楽しいっていうことをずっと楽しめなかったので、(私が)楽しいってことをいろんな人に伝えていけたらいいなって。

自分が書いた文章で感動してもらうっていうよりも、(自分にとって)二次創作っていうのは作品同士を交換するみたいなところ。いいね!って、あなたはとても素敵ですよ!っていうふうで。(人の作品に)いいねをつけたり、これ面白いねっていう場面だと思ってるので。そういう場面が輝いてる。

大人になってから、いろんな人と会って、オフラインのイベントにも出て、本当に良かったなって思ってます。(出会って遊んでくれた)みんなに本当に感謝してます。自分が病気で至らなかったこともたくさんあったんですけど。友達を大切にしたいって思ってます。家族はいるけど、友達を大切にしたい。

子どもがいる大人が友達と遊ぶのってどうなのって思われがちかもって思うんですけど。逆にそうじゃないってよっていう人もいると思うけど。でも、子どもはこれから友達を頼って生きていく。世の中の知り合った人たちと一緒に生きていくんだから家の中に閉じ込めるんじゃなくて、羽ばたいていってほしいなって願っています。

そうなると、母親である私も(家の中で)子供を縛って、私が母親だからねっていうふうで生きていっちゃいけない。そうすると、やっぱり(子どもと)同じように(私も)いろんな人と出会って、やっていきたい。だからきっと多分また何かを書いて誰かと出会って。お互いにじゃないかもしれないし、一方的かもしれないけど、(誰かや誰かの作品に)いいねってして、生きていけたらいいなって思います。

いまじん:
「もしもの質問」っていうのをしてるんですけど、あいりさんご自身を好きなように、一つのキャラクターにできるとしたら、どんなキャラクターにしたいですか。

あいり:
すいません、これは既存のキャラクターなのかそれともオリジナルですか。

いまじん:
オリジナルですね。

あいり:
オリジナルだと、やっぱりそうですね。愛されて逆転できるキャラクターになりたいかなって思います。

いまじん:
逆転っていうと?

あいり:
ピンチのときにやっぱり力が出るみたいなのが合ってるんじゃないかなっていうふうに思いますね。

いまじん:
最後に言い残したことありますか?

あいり:
そうですね。SNSをなんでやってるんだろうなって長い間、考えていたんですけど。(投稿に反応なくて)1人で騒いでるみたいで恥ずかしいと思うときも多かったんですけど。でも、出会いたいなって思ってて。

例えば私は地方同人イベント育ちで、全く本当に1冊も売れなかったのに小説を書いていた。でもそのときに深い知り合いになった人もいて(交流は好きだった)。

(その時代に)友好を深めたり、あなたはとても素敵です!っていう声かけができたのが、宝物なんです。だから、きっとそれをするために、それを思い出すために、ずっとそこ(SNS)にいたんじゃないかなって思うので。これからも楽しんでいろんな人と出会うといいんじゃないかなって未来の自分に伝えたいなって思います。自分が中心じゃなくて、他の人と繋がり合おうよっていうことですね。

あとがき

人生という物語のプロットは、いつだって立て直せる。喜劇にするか、悲劇にするか。

【インタビュー・編集・あとがき:いまじん】

#無名人インタビュー #インタビュー #BL #同人誌


マガジンで過去インタビューも読めますよ!

インタビュー参加募集!

いいなと思ったら応援しよう!

無名人インタビュー
いただいたサポートは無名人インタビューの活動に使用します!!