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短編小説「退職代行」

「お世話になっております。退職代行サービスの『やめようよ』と申します。ヤラセカカシ様からのご依頼で本日をもって退職とさせていただきます。はい、退職理由は汁男優からちっとも昇格しないかららしいです。はい、では失礼いたします。」

俺は元無職の橋本寛太。29歳だ。この歳まで転職を何度も繰り返し最終的に無職になり窓から飛び降りようとしたところ、向かい側のビルに退職届を破られている新卒が見えてこのビジネスを思いついた。

俺のモットーはいかに楽をして他人に迷惑をかけるかである。ストレスよりロマンスでしょ。
プリキュアのエンディングでも聴いた歌詞だ。

退職代行「やめようよ」は会社に怨みを持つお客様のご要望に答え、いかに会社に迷惑をかけて辞めるかを重視しており、ご自分のつまらない人生の鬱憤をすこしでも晴らしていただけたらと思い設立した。

その証拠に本日のお客様、ヤラセカカシ様のご要望に答え、汁男優業務の引き継ぎ、または引き継ぎ書類の作成など、一切放棄し、おまけに今までの今までの残業代未払いを0.1秒単位で請求している。

今の時代、退職代行という職は大変需要があり簡単な話、人の代わりに会社に嫌がらせをするという仕事である。たのいしやりがいもあるまさに天職というわけだ。この天職のおかげで転職も必要なくなったなんつってね。

特に4月、5月はかき入れどきで高級ソープに行く金もあっという間に溜まった。俺はウキウキで高級ソープに行ったが嬢のケツを見た瞬間発射してしまいやはり自分にはAVがあっていると感じたのだ。

しかし、順調だった人生も狂い始める。日本でついに革命が起こり、国会議事堂が爆発し、利権に集るクソ政治家が全員死滅したのだ。この事態に飼い主のメリケンはAIを導入して世界初のAI総理大臣072型が完成した。政策は完璧でベーシックインカムを導入され、働く若者は激減。同時に俺の商売も廃業に追い込まれた。

再び無職になった俺はベーシックインカムを受け取りながら細々と生活することになった。
しかし、AV新法によりAVの価格が爆上げされたことにより借りる余裕はなくなり俺は生きる価値を失った。

AV新法クソ喰らえ。

ー完ー

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