短編小説「猟奇殺人の真実」
「しかし、妙ですね。被害者の肛門に蜂蜜が塗りたくってあるなんて」
「奇妙な点はそこだけではない。被害者の女性の腹部から陰部にかけてチーターのタトゥが彫ってあるんだ。」
私は飲みかけのコーヒーをテーブルに置いた。
「タトゥはただのファッションでは?今時の頭の足りない若者はよくタトゥを入れますよ。」
「いや、そこじゃあないんだ。これは被害者の死後に、おそらく犯人が彫ったタトゥであるという検死結果が出た。」
「そうなると妙ですね。チーターのタトゥと蜂蜜が、一体何の関係が?犯人はなにがしたかったんですかね。」
パソコンを叩いてチーターと蜂蜜の関係性についてググってみる。
案の定何の関連性もない。
「待てよ、肛門に蜂蜜?つまりそういうことか」
「どういうことです?」
「犯人は被害者女性の肛門に口を接触させていた可能性が高い」
「蜂蜜を塗って舐めていたと?」
「いや、蜂蜜はチフス菌を殺菌する効果がある。そのために肛門に塗りたくっていたのだろう」
「なるほど、腸チフスの感染経路を防いだと。では、チーターはどう説明するんです?」
「チーターは時速130キロで走るね。でも人間にそんな速さで走れる者はいない。ウサインボルトでも不可能だ」
「言えてますね」
「つまり、130キロとは速さではなく体重のことを示している。つまり犯人は体重130キロの人間に絞れるというわけだ」
「そうとわかれば早速、捜査ですね」
こうして犯人は捕まり冤罪で死刑になった。
ー完ー
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