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【最終回(第12回)】トランプ対談(草場純✕秋山真琴)

読者の皆さん、こんにちは。秋山です。
本記事は『アナログゲームマガジン』で連載中の『トランプ対談』の第12回となります。最初から順番に読みたいという方は、ぜひ第1回からお読みください。

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「トランプのギャンブルゲーム」

秋山 では、そろそろギャンブルゲームに行きましょうか。ギャンブルゲームって、範囲が非常に広いですよね。パッと思い浮かぶところでは、ポーカーとブラックジャックが、トランプを使ったギャンブルゲームでは最も知名度が高いと思います。草場さんのなかでは、どういったものになりますでしょうか。

草場 ポーカーとかブラックジャックとかバカラが、ギャンブルゲーム代表じゃないですか?  はいはい。でもポーカーはかなり毛色が違ってですね、あれはチップゲームだと言う人もいるぐらいでね。チップを使って手札やその可能性に賭けるわけじゃないですか。そこに妙味があるわけで、それが歴史的に手札交換したり、手札が増えたり、場札が広がったりして、だんだん発展して行く、非常に特徴的なゲームで、ポーカーのようなゲームはポーカーしかないとも言えるくらいだと思います。非常に特徴的なゲームですけど、大ジャンルですよね。今、世界中でポーカーは遊ばれてますよね。中国なんかあれですよ、トランプのこと、ポーカーっていうんですもんね。トランプのことをトランプと言ってるのを笑えないぐらいな話でね。それはでも、どこでも何か外国のものをローカライズする時にはなんかそうなるんですけどね。ともあれ、それくらいポーカーが広まったゲームと言うことです。

秋山 ベトナムではバイクのことを、ホンダと呼ぶそうですね。

草場 そうそう。そんな感じですよね。うん。はい。それはもう、あらゆる言語にあって、あることであって、別に珍しいことでもなんでもないし、おかしいことでも笑うべき事でも何でもない普通のことなんですね。言語っていうのはそういう性格を持ってますから。まあ、それはいいんですけど、ポーカーはやっぱり大ジャンルなんだと思います。で、ポーカー以外のギャンブルゲームって、微妙なところは違いますけど本質的には同じような感じがしますね。だってブラックジャックだったら21だけど、それはバカラだったら9にするなんとかね。これキンゴだったら15にするとか、株だったら9にするとか、それだけの差であって、もちろんゲームとしての味わいとかね。賭け方の手順とか全部違うんだけど、でもまあ一絡げにできるようなジャンルだと思うんですよ。ところが、ポーカーはちょっと別格な感じがしますね。そもそもギャンブルゲームっていうのは、バリエーションがものすごくあってですね。例えば、えっと市場の証人みたいなものもギャンブルゲームだし、スペキュレーションもギャンブルゲームだし、そういうのってなんて言うかな、系統化できないような難しさがありますね。いろんなことができるので。だから、まあ既存の分類に入らなかったら、全部ギャンブルゲームにしているようなところがあります。で、その中でポーカーはちょっと異色な感じですね。一つの大きなサブジャンルを築いているような感じですね

秋山 ポーカーと言うと、いちばん最初に思い浮かぶのは、テキサスホールデム。もしくはドローポーカーでしょうか。他には、どういったポーカーが有名でしょうか?

草場 スタットポーカー。ポーカーの歴史からいうと、ドローポーカーから始まるんですね。5枚配ってベットして。残った人が思いに思いに0枚から5枚の手札チェンジをして、それからまたベットインターバルがあって、それで最後に残った人が2人以上いったらショーダウンして、より強い手役の人がチップ総取りと。そういう原理ですよね。それがスタッドポーカーっていうのは、5スタッドと7スタッドとありますけれども、みんなに2枚ずつ配ってベットし、残った人に手札を配り足して、5枚あるいは7枚の手札まで降りずに残った人が2人以上いたら、ショーダウンして勝負をつけると。セブンスタッドなら、7枚の手札の中から5枚選び出して、一番強い手札を持ってる人がチップ総取り。その後コミュニティカードのある今のホールデムが生まれるわけです。ホールデムでも生まれたのは1970年代かな。で世界中に広まるわけですね。特にテキサスホールデムの場合は、アメリカでテレビ放映してそれが大評判になるんですね。今では電子的にそんなの簡単だろうけど、そう当時はなかなか大変だったと思うんですけど、ガラス張りのテーブルの下にカメラを入れてプレイヤーに配られる手を視聴者が見えるようにして、それで別室で解説をして。ええ、全米に放送したかどうかわかんないけど、実況中継するみたいなやり方をしたので大人気になったと。

秋山 当時は、かなりアナログな方法で処理していたのですね。

草場 そうそう。でもまあやってることは今もデジタル方法を使って同じようなことやってるんですけど、でもヒートアップするわけです。それで賞金総額がね、どんどんうなぎ上りに上がってね。人気が出る→スポンサーがつく→賞金が上がる→人気が出る→、と正のフィードバックで、賞金も何十億ってなるわけじゃないですか?だからもうすごいですよ。ポーカープロがいるわけですから。日本でもね、ポーカーはホールデムの評判が良くて、いろんな人がプレイしてて、ポーカーハウスも結構多いですよね?

秋山 非常に盛んですよね。ミスボド本厚木が会場として使っている公民館でも、ポーカーの団体さんがホールデムの会を開催されていますね。活動されている様子を見ると、東京だけでなく神奈川の、それも横浜や川崎ではないところにもいるのだなと感じますね。

草場 私なんか、公民館でできると言うこと自体で、時代の変化を実感しますね。まあ、ポーカーは独特のゲームで、ポーカーをやるとポーカーしかやらない人が多いしね。ほかのゲームをやる人ももちろんいるんだけど、ポーカープロパーになっちゃう人もけっこういますね。だからトレカみたいな感じですね。トレカもやる人はトレカばっかりやってるわけですよ。マジックだったらマジックしかやんない、みたいな人が多い。もちろん、いろんなゲームやる人もいますけどね。

秋山 ブリッジをやるひとはブリッジしかやらない、囲碁をたしなむひとは囲碁しか遊ばない。でも、ホールデムは、比較的、ボードゲームと親和性が高い気がします。真剣にホールデムを遊ばれている方で、ボードゲームも遊ばれる方はけっこう知っていますが、ブリッジに打ち込んでいる方で、ボードゲームもという方は、あまり存じ上げないですね。

草場 少ないですね。全然なくはないんですけどね。ブリッジに魅力があるとも言えますけどね。だからポーカーやトレカもまあ、それだけ魅力があるという言い方ができるのかな? それでポーカーの受容の歴史っていうのがまた面白くてですね。日本に入ってきた時、ポーカーはどういうふうに理解されたかというとですね、ハッタリのゲームだと理解されたんですよ。今でもそういうこと言う人いますよ。「バーンと賭けて相手を下ろして勝つんだ」っていうふうにね。だからどんな弱い手でもじゃんじゃん賭けちゃうみたいなね。絶対降りないみたいな。昔はそういう人がいっぱいいたんですよ。でそれってやっぱりポーカーというゲームを誤解してるんですよね。ところが、みんなが誤解してるとそれが成立しちゃうんですよ。それでね、今はあんまり想像できないかもしれないけど、昔もポーカーハウスねスターダストとか、ええと新宿などに結構あったんですよ。当時そういう所に行っている人っていうのは、ポーカーってのはハッタリのゲームだというふうに思ってる人が多かったんですよ。だから固くプレーしているだけで、面白いように勝てた。でも、なぜかある時期から現在のホールデムの戦略をちゃんとわきまえた人が出てきて、そこから日本のポーカーというものの質が変わりましたね。まともになったとも言えますが。

秋山 先ほどポーカーはチップのゲームだとおっしゃっていましたが、わたしはバックギャモンはダブリングキューブのゲームだと考えています。バックギャモンをして、ダイスの出目に恵まれれば勝てるという方もいますが、何度も振るので出目が良いときもあれば悪いときもあります。同様にポーカーもハンドに左右されますが、ずっと良いハンドが来るわけではありません。大局的な目線で、どう勝っていくかが問われるように感じます。

草場 ギャンブルゲームと一般ゲームの違いっていうのがあってですね。例えば、ポーカーとかブラックジャックでも、別にお金を賭けなくても楽しめるわけですよね。でも世の中にはギャンブルゲームといわれるゲームがいっぱいありますね。例えばバカラとかブラックジャックもそうだしまあ、ポーカーもギャンブルゲームって言われると。ではどこが違うかですね。勿論、賭けたらギャンブル、賭けなければゲーム、という言い方は正しいですが、しゃあ世の中にギャンブル「ゲーム」と言われるゲームと言われないゲームがあるのはなぜか、両者はどこが違うのか。という問いが立ちます

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