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【第1回】トランプ対談(草場純✕秋山真琴)

読者の皆さん、こんにちは。秋山です。

この『アナログゲームマガジン』では先月まで『推理ゲームふるあた』という、古今東西の推理ゲームを調べてレポートするという記事を連載していました。

今月からは、わたしのもうひとつのテーマであるトランプを中心に、草場純さんと対談させていただきたいと考えています。ざっくばらんな会話を通じて、トランプの魅力や楽しみ方に迫っていきます。

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「自己紹介からお願いします」

秋山 まずは、自己紹介からお願いします。

草場 草場純です。元小学校の教員です。アナログゲームが好きで、遊んだり。まあ研究の真似事などをしております。

秋山 秋山真琴と申します。この『アナログゲームマガジン』では旗振り役をやっています。トランプゲームが好きで、草場さんと月1で『トランプ勉強会』というゲーム会を主催しています。古いゲームから順に遊んでいくことで、進化の系譜や、遊ばれている国ごとの文化の違いを体感するのが目的の会です。また、トランプそれ自体も好きで、300以上のトランプを持っているトランプコレクターです。

「トランプゲームは伝統ゲーム」

秋山 まず、この対談を企画したきっかけをお話させてください。昨今、ボードゲームがますます盛り上がっています。わたしがボードゲームを本格的にはじめたのは2010年ですが、当時は、まだ一部のファンによる趣味の域を出ていませんでした。この10年でボードゲームは一般化が進み、プレイヤーは増え、市場規模はおおきくなりました。その一方で、トランプゲームは流行っている気配がないどころか、ヘタをすると昔よりも廃れているのではと感じます。トランプゲーム好きとして、この事態についてお互いの思うところをお話させてください。また、トランプ話の他、もうひとつ隠しテーマがあります。わたしは幸いにして草場さんとお話させていただく機会が多く、今日もこうして会話しているわけですが、この会話を形にして残したいという気持ちがあります。従ってトランプの話に限らず、ゲーム全般、あるいはそこを離れ、ただの雑談に関しても、積極的に拾っていきます。それでは早速ですが、トランプゲームの流行について、どのようにお考えでしょう。

草場 私はですね、はやってないとは思ってないんですね。トランプゲームっていうのは、まあ伝統ゲームと言っていいと思います。伝統ゲームの定義が問題ですが、伝統ゲームには非常に根強いところがあります。例えば、囲碁や将棋はまあ日本の伝統ゲームですけれども、日本棋院とか将棋連盟なんかは、人口の減少を心配したりするんですけども、実際はね、将棋とか囲碁なんかの底力みたいなものは、すごく強くてですね、ちょっとしたイベントがあると人がいっぱい集まりますよね。あれはボードゲームで、それだけ集めようと思うと、なかなか大変ですよ。そういう意味では伝統ゲームの強さってあると思います。で、トランプっていうのは、まあだいたいどこの家にも一個ぐらいあるわけで、確かにゲーマーから見るとですね、あんまりトランプ遊んでるところ見ないかもしれないけれども、人類的とまで言うとちょっと言い過ぎですけども、日本だけでも各地でそれぞれトランプゲームが行われているんじゃないかと、思うんですね。だから流行って視点から見ると確かにある意味弱いところがありますけれども、実際に遊んでいる人間の絶対数で言うと、決して引けをとらないんじゃないかというふうに思っています。

秋山 将棋に関しては、最近、藤井聡太さんの活躍が目覚ましいですね。今まで将棋に触れていなかった方も、藤井聡太さんをきっかけに将棋をはじめたり、対局を観戦したりされている様子です。ニュースで見る機会も多いですし、盛り上がりを感じます。トランプについてですが『ババ抜き』や『大貧民』に関しては、おっしゃる通り多くのプレイヤーがいることでしょう。しかし、それ以外のゲームはいかがでしょう?

草場 そこについていえば、やっぱりポーカーが大きいんです。ポーカーは、ボードゲーム的な流行をしてますよね。ポーカーのセッションみたいなのがよく開かれたり、あるいは大規模な大会がね、今コロナでちょっとずっこけ意味ですけれども、大きな大会が開かれたり、まあテレビなんかでも扱われてるのかな? 私はテレビ見ないのでよくわからないんですけど、配信なんかあるんじゃないですかね。そういう意味ではトランプゲームの中でポーカーはある種流行してるかなと思いますね。

秋山 ポーカー、特にテキサスホールデムは別格ですね。あくまで感覚ですが、ボードゲームの市場よりも、ポーカーの市場の方がおおきいのではないでしょうか。

草場 まあ、それ比べるのは難しいですけど、まあまあまあ匹敵するぐらいとは言えると思いますね。うん。

秋山 とは言え、感覚としてポーカーは、日本のゲームでたとえると『麻雀』に近いですね。そもそもがギャンブルゲームですし。

草場 というかファミリーゲームじゃないですよね。普通の家庭で、親子でいつもポーカー遊んでるっていう人はあんまりいないんじゃない。だから、そういう意味でもボードゲームはまあまあ家庭でもやりますから、またちょっと違うかな?

秋山 『麻雀』の場合、家庭内で遊ばれることはあるでしょう。子どもの頃、わたしにとって『麻雀』は父や親戚と遊ぶものでした。

草場 今もあんまり変わらないと思いますね。

秋山 海外だとポーカーは家庭内で遊ばれているのでしょうか?

草場 海外はそれなりにやってるんですね。私、あんまりそういうデータが無いんですけどね。で、あのちょっとさっきの話に戻すと、将棋や囲碁はやっぱりスーパースターが出てね。今、そういう意味では盛り上がってるわけですよ。囲碁の方でもほら、仲村菫さんですか? 藤井君ほどではなくても、やっぱりスーパースターだと思うんですよ。囲碁は一時ヒカルの碁が流行った時はね。非常に恵まれましたし。

秋山 『ヒカルの碁』は1999年から2003年にかけての連載なので、だいぶ前ですね。

草場 ただそういう盛り上がりとか、そのスーパースターの登場。それもやっぱり伝統ゲームとしての強さが背景にあるので、藤井君のように才能のある人って、いろんな時代にいろいろいたと思うんですけど、その人がね、みんなの注目を浴びて才能を開花させ得るというのは、それだけの背景があるからこそだと思うんですよね、はい。

秋山 わたしの世代でスーパースターと言ったら羽生善治さんですね。羽生さんに憧れて将棋部に入った友人も多かったです。

草場 だからスーパースターが出るとそういうことなんですけども、結局その背景にはね、将棋連盟なり日本棋院っていうしっかりした組織があって、ちゃんとそういう舞台を用意したりする仕組みが、日本の中に作り上げられているわけですよね。それは政治的に作り上げられたわけでなくてですね、文化的な伝統の中にあるわけです。そういった文化的な伝統の構造っていうのを解析するとか、どういう原因でこうなったのか、どういう歴史でこうなったかってあたりも、あの私達の、主として遊戯史ですけれど、研究対象といいますか、テーマなんですよね。だからそういう意味でも面白いと思います。

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