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謎解きゲームと持ち帰り謎の歴史を国内外にまたがってざっくり解説します

ふるあた! 皆さん、こんにちは。秋山です。

本記事は『アナログゲームマガジン』で連載している、古今東西の推理ゲームを調べてレポートする『推理ゲームふるあた』の第10回です(全12回予定)。
本記事の序盤は無料でお読みいただけますが、途中から『アナログゲームマガジン』の定期購読者のみが読める形式となります。試し読み部分で「面白そう!」と感じていただけましたら、ぜひ定期購読(月額500円、初月無料)をご検討ください。本記事だけでなく、わたし以外のライターによる記事や、過去の全記事が読み放題になります。

前置きはこれくらいにして、早速、本題に入っていきましょう。

はじめに

略して推理ゲームふるあた

2021年3月からはじめた本連載も、そろそろ1年が見えてきました。

アナログゲームにおける推理ゲームを、様々な視点から見てきましたが、今回のテーマは大ボスとも言える存在、謎解きです

謎解きは国内外にプレイヤーが多いので、扱うのにあたって慎重にならざるを得ません。最初に謎解きプレイヤーとして改めて自己紹介をさせてください。

エッセンシュピール2016で遊んだリアル謎解きゲーム

わたしが誘われてではなく、はじめて意識的にリアル謎解きゲームを遊んだのは2016年末、ドイツのエッセンにおいてです。制限時間内に謎を問いて、密室から脱出するという遊びにすっかり惹かれ、帰国してからはSCRAP社のリアル脱出ゲームをはじめ多くの謎解きに挑戦しました。
公演型、周遊型、持ち帰り謎、すべて含めて現在までに1000脱出以上しています。また、わたし自身、ミスボドゲームズとして持ち帰り謎を制作し、ナゾガク等で販売したこともあります。

そんなわたしが、今回、紹介しますのは、箱に入った謎解きゲーム、あるいは持ち帰り謎と呼ばれるジャンルの作品です。本連載は、あくまでアナログゲームにおける推理ゲームが中心なので、周辺ジャンルとしてこれらは扱いますが、公演型のリアル謎解きゲームや、デジタルゲームの脱出ゲームは除外とさせてください。

……と、言いつつもある程度は歴史を俯瞰的に見ていかないと、謎解きゲームを捉えるのは難しいので、さっと駆け足で成り立ちを紹介させていただきます。

発端の発端はコンピュータゲーム『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』(1975年)と言えるでしょう。文字だけで洞窟探検を表現したゲームで、ADVゲームというジャンルの語源となった作品です。
その5年後、同じくコンピュータゲーム『ミステリーハウス』(1980年)が発表されました。謎めいた洋館からの脱出を目指す本作は、文字に加えてグラフィックも使われたことから、グラフィックアドベンチャーゲームとも呼ばれました。

ときは流れ、赤い部屋からの脱出を目指す『CRIMSON ROOM』(2004年)が国内でヒットし、脱出ゲームというジャンルが流行します。
その後、京都市内でフリーペーパーを発行していたSCRAPの加藤隆生氏が「バイトの子が熱中していた脱出ゲームをリアルにしてみたら面白いのでは」と思いたち、企画した『謎解きの宴』(2007年)が史上発のリアル謎解きゲームとなります。

「リアル脱出ゲーム」はSCRAP社が商標登録した用語ですので、本記事では「リアル謎解きゲーム」をリアル体験型の謎解きゲームの総称として用い、特にSCRAP社のコンテンツに言及するときだけ「リアル脱出ゲーム」を用いることとします。

世界に目を向けると、類似の先行作品として『True Dungeon』(2003年)があります。ボードゲーマーには馴染み深い、エッセンシュピールと双璧をなすアナログゲームのイベントGenCon内で発表された作品で、ダンジョンからの脱出を目指すものです。ただ、こちらはTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(1974年)のルールに基づくところが多く、リアル謎解きゲームと言うより、LARPに近しいと言えます。

リアル謎解きゲームが世界的に流行りはじめるのは2011年頃からで、現在は世界全国に5万店以上のリアル謎解きゲーム施設があるそうです。
制限時間以内に、様々な謎や暗号を解き明かし、脱出をはかるという体験は、とても楽しいものですが、最大の難点はイベントに参加するか、店舗や施設を訪ねなければならないということです。

リアル謎解きゲームの楽しさを、自宅でも体験したい

こういったニーズに応じて現れた新しいタイプの作品、それが今回のテーマである謎解きゲームです。

今月のテーマは「謎解き」

ちなみに「そもそも謎解きって何?」に関しては、連載第2回「推理ゲームってどんなゲーム?」に書きましたので、そちらを参照いただければ幸いです。この記事は定期購読者でなくとも最後まで無料でお読みいただけます。

見るのが面倒! という方のために、ひらたくまとめますと、

辞書に書いてあるAを思い出すのがクイズ
ルールに従ってAを導きだすのがパズル
AがA’になる法則を見て、BからB‘を導き出すのが謎解き
A→B→?→Dを見て、?がCであることを推理するのがミステリ

と、わたしは定義しています。

謎解きゲームの年表

謎解きゲームの年表

まずは、恒例の年表をご覧ください。

謎解きゲームのはじまりは、書籍という形状になりますがSCRAPが立東舎より発行した脱出ゲームブックシリーズの第1弾『人狼村からの脱出』(2012年)としました。

2012年~2015年は言わば謎解きゲームの黎明期となります。前述の脱出ゲームブックシリーズの他、流通に乗らない個人が制作した持ち帰り謎が即売会やなぞともカフェ等で販売されました。

謎解きゲームが本格的に発展しはじめるのは2016年からです。
ドイツから『EXIT』シリーズ、オランダから『Escape Room』シリーズ、アメリカから『Escape the Room』シリーズが相次いでリリースされ、国内ではSCRAPが謎専門出版社SCRAP出版を立ち上げ、『究極の謎本』『究極のクロスワード本』を発行しました。

2017年にはフランスから『アンロック!』シリーズ、イタリアから『デックスケープ』シリーズが参入し、国内では2016年から放送がはじまった『今夜はナゾトレ』のヒットを受け、AnotherVision考案の謎解き問題集『東大ナゾトレ AnotherVisionからの挑戦状』が扶桑社から発行されました。

ここから先の定期購読者向けエリアでは、黎明期から発展期までの主要な作品を紹介しつつ、2020年から先を爆発期として俯瞰したく考えています。また、最後には本記事を書くために調査した175作の全作リストも掲載しています。ぜひ定期購読をご検討ください。初月無料です。

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