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日本のROSコミュニティを元気にした仕掛け人、近藤豊さんと語ってみた【コモさんの「ロボっていいとも!」第10回】

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こんにちは、コモリでございます。

おひるやすみはロボロボウォッチング、ロボティクス業界のキーパーソンの友達の輪を広げるインタビューコーナー「ロボっていいとも!」のお時間となりました。


前回のゲスト、Open Roboticsのジェフ・ビグスさんには、オープンソースのソフトウェア「ROS」についてたっぷりと語っていただきました。

ROSと言えば、そのソフトとしての便利さもさることながら、ユーザーコミュニティが充実していることも大きな特徴です。中でも日本のROSコミュニティ「ROS Japan Users Group」は、ジェフさんも「他国に比べて元気」と語っていたように、イベントや勉強会の頻度も多く、2000人ほどのメンバーが日々活発にやりとりをしています。

しかし遡ること6年前、日本でのROSの認知度は今ほど高くはなく、国内コミュニティも100人ほどしか在籍していませんでした。100人から2000人へ――放っておいたら自然に増えて盛り上がってきたわけではありません。その裏側には「ROSを広めよう、ROSコミュニティを広げよう」と尽力してきたコントリビューターがいます。今日お越しいただいたのは、ROS Japan Users Groupの隆盛の立役者である、あの方です。


……それではそろそろお招きしましょう。本日のゲストは、Open Roboticsのジェフ・ビグスさんからのご紹介、元ROS Japan Users Group主宰で『ROS2ではじめよう 次世代ロボットプログラミング』の著者でもある、近藤豊さんです!

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近藤 豊
株式会社Preferred Networks エンジニア


近藤:コモリさん、ご無沙汰しております。「ロボっていいとも!」、ずっと読んでたので、呼んでいただけて光栄です。

コモ:そう言ってもらえて私も嬉しいです。このコーナーを立ち上げた当初から、近藤さんにインタビューをするのがひとつ大きな目標だったので、念願が叶いました。

前回のゲストのジェフさんからは「日本のROSコミュニティを元気にさせた物語を期待している!」との伝言を預かっております。今年の3月にROS Japan Users Groupの主宰を退任されたばかりでしたね、おつかれさまでした。

近藤:ありがとうございます。

コモ:今日は、近藤さんがロボットに興味を持ったきっかけの話から、ROSとの出会い、そこからのROSコミュニティとの関わり、そして今後の展望まで、たっぷりとお話を聞かせてください。よろしくお願いします。


偶然が重なってギリギリ滑り込んだ、ロボットへの道

コモ:近藤さんが初めにロボットに興味を持ったのは、いつ頃でしたか?

近藤:原体験的なところで言うと、小学校の理科の授業で、コイルを巻いてモーターを作る実験をやったことですね。それがすごく楽しくて、自分でモーターを買っていろんなものを走らせたり、プロペラをつけて飛ばしたりして遊ぶようになって。

コモ:その頃から、漠然とメカっぽいものを触るのが好きだったと。

近藤:そうですね。ただ、その時はまだ「ロボットを作りたい」「エンジニアになりたい」なんてことは全然思ってなくて。

明確にロボットに興味を持ったのは、中学3年生の11月のことです。何気なくテレビを観ていたら、たまたま「学生ロボットコンテスト」がやっていて。それがとても面白そうに見えたんですよね。

コモ:ロボコン、いいですよねえ。

近藤:そのすぐ後に、学校で進路についての三者面談があって。担任の先生にロボコンが面白かったって話をしたら「高専に入ったら、ロボコンみたいなことできるかもよ」とアドバイスをもらったんです。

僕も両親もそれまで高専の存在を知らなくて、調べてみたら「マジか、めちゃくちゃ行ってみたい」と思ってですね。すぐに願書を取り寄せて、2ヶ月弱必死で勉強して、滑り込みで合格したんです。

コモ:すごい急展開だったんですね、ほかに志望校はなかったんですか?

近藤:特にありませんでした。当時は「将来は警察官にでもなるかな」と漠然に思っていたくらいで、高校は普通に通えればどこでも、という感じで。

コモ:なんと、警察官!

近藤:中学の時は部活で柔道に打ち込んでいたので、その影響もあったのかなと。でも、いま振り返ってみると、心のどこかではずっとものづくりの道に行きたかったんじゃないかな、と思いますね。その道に入るための選択肢を知らなかっただけで。

コモ:じゃあ、もしロボコンを観ていなかったり、先生にその話をしていなかったりしたら?

近藤:ロボット関連の仕事には就いてなかったでしょうね。だから、あのとき高専を勧めてくれた先生には、今でも本当に感謝しています。


ソフトウェアへの目覚め、支えにしたバイブル

コモ:それでは、高専に入ってからロボティクスに熱中していったんですね。

近藤:そうですね。初めの3年間(※高専は5年制)はロボコンに向けた制作に没頭しました。ずっとハードウェアばかりいじってきたのですが、3年次に授業で本格的にC言語を教わり始めて、ソフトウェアの世界にハマっていきました。

ハードを触るのは今も昔もずっと好きなのですが、高度になればなるほど材料費がかさむし、個人でできることに限界があります。一方で、ソフトの世界はPCさえあれば、本当にさまざまなものが作れる。その自由さに心奪われて、暇さえあれば本を読んでコードを書いてました。勉強というより、遊びですね。今でもプログラミングは、何よりも楽しい趣味だなって感じています。

コモ:趣味って感覚、とても共感します。高専卒業後は、確か大学に編入されてましたよね。

近藤:はい。ロボティクスを専門領域にし始めたのは、大学時代からです。アームロボットの制御を行う物理シミュレータの研究開発に取り組みました。あ、当時つくっていたもの、まだYouTubeに残っていますね。

コモ:おお、すごい! 積み木を崩さず積み上げるためのシミュレータでしょうか。使っているのはJavaですかね?

近藤:そうです、Java 3Dで。これを作るために読んでいた『Killer Game Programming in Java』は、僕にとってのバイブルのひとつです。技術書ですが、めちゃくちゃ面白くてワクワクする本で、何度も読み込みました。

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バイブルと言えばもう1冊、学生時代にとてもお世話になったのが、クレイグ先生の著書の翻訳本『ロボティクス―機構・力学・制御』です。1991年に出版されたものですが、いま読み返しても全然古びない内容で、入門書として最適だと思っています。ここに載っている通りに色々プログラムを書いてみて、それでも動かなくて悩んで、試行錯誤して解決策を見出して……というのを、夢中になって延々と繰り返していました。

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コモ:いやあ、近藤さんの作り手としてのルーツがたくさん見えてきて、今すごく興奮しています(笑)。初耳のエピソードが多くて。

近藤:思うままにつらつら話しちゃってますが、こんな感じで大丈夫ですか?

コモ:バッチリです!


「コードはゼロから全部書く」派、ROSと出会う

コモ:それから近藤さんは大学院へ進学、ドクターを取った後、2013年にカワダロボティクスに入社されていますよね。ROSに出会ったのは、この辺りの時期でしょうか。

近藤:入社2年目の頃です。仕事に慣れて安定期に入ったからか、ちょっとモチベーションが低迷していたんですよね。何か刺激的な成長機会がないかと探していたら、Twitterで日本初のROSの勉強会が開催されることを知って。それに参加したのが、ROSとの縁の始まりですね。

コモ:ROSは、前々から知ってはいた?

近藤:いろいろと効率化できて便利だということは再三聞いていたのですが、当時の僕は「コードはゼロからぜんぶ自分で書くべき、それが一番強い」って考えから、ROSは触ってなくて。安易に楽な道を選んじゃダメだ、みたいな意識があったのかもしれません。

けれども、ROSの勉強会に参加したら、シンプルに「めちゃくちゃ便利だし、こういうのずっと欲しかったんだ」と思いました。省力化すべきところで手間が省けて、その分凝るべきところに注力できる。これは使わない手はないな、と。そこからはもう、すぐにROS Japan Users Groupに加わって、ROSと共にあるエンジニア人生って感じです、はい(笑)。

コモ:初めて触った時の衝撃は大きいですよね、ROSは。私も「こんなにラクできるのか!」とビックリしました。

近藤:ですよね。それで、自分ももっとROSについて知りたいし、便利だから広めていきたいという思いから、自社でROSのハッカソンを定期開催するようになったんです。その主催者としていっぱい勉強するようになって、ますますROSにのめり込んでいきました。


ROS Japan Users Group、輪を広げるのが使命

コモ:2015年、近藤さんはROS Japan Users Groupの主宰になられました。大きな転機だったのではと思うのですが。

近藤:あの時は、まさか自分がそういう立場になるなんて、まったく想像もしていませんでした。

けれども、前任者が降りる前に「どなたかに代わりをお願いできないか」と後任を探していらっしゃるときに、僕の心の師匠である小倉さん(※小倉崇さん、スマイルロボティクス株式会社CEO)が「近藤さんはどうでしょうか?」って推薦してくださって。

すごく嬉しかったんですよね、それが。「大変そうだけど、頑張ってやってみよう」と、すぐにお引き受けしました。

コモ:一参加者としては、近藤さんが主宰になってから、ROS Japan Users Groupはさらに活気付いたように感じていました。何か、運営上で意識されていたことはありますか?

近藤:定期勉強会の他にも、日々新しいことを積極的に取り入れていこうと、強く意識していました。ハッカソンやLTイベント、懇親会を企画してみたり。場所も東京だけじゃなくて、名古屋や大阪でも開催してみたり。会場も毎回同じにならないように、いろんな会社さんに声をかけて場所を提供してもらっていました。

コモ:なるほど。入り口となる機会を増やす、といったイメージでしょうか。そこにはどんな狙いが?

近藤:ROS Japan Users Groupは、ロボティクスの発展を支える基盤になると思っています。このコミュニティで情報が行き交い、エンジニア同士の助け合いのネットワークが広がることは、日本のロボット産業全体の盛り上がりに繋がっていくはずです。

少子高齢化が進んだ先の社会で、おそらくロボットは労働力の不足を補う救世主になっていくと、僕は信じています。だからこそ、ROS Japan Users Groupの輪を広げてエンパワーしていくことは、今後の社会に大きく貢献し得ることだろうな、と感じていました。なんかもう、それが自分の使命だって思い込んでましたね(笑)。

コモ:いやあ、めちゃくちゃカッコいいじゃないですか。

近藤:でもほんと、最初は毎回新しいことをやろうとしていたので、失敗だらけでしたよ。イベントも5回に1回は「今日はダメだったな……」って深めに反省してました(笑)。周りの皆さんに助けられながら、小さく小さく失敗を重ねて学習して、少しずつ上手く運営できるようになっていきました。

コモ:6年前は100人ほどだったROS Japan Users Groupも、今では2000人を超える大きなコミュニティに成長しましたね。計画通り、でしょうか?(笑)

近藤:いやいやそんな、ROS Japan Users Groupの皆さん一人ひとりが熱量高く活動してくださっているおかげです。僕はその熱が広がりやすいように、少し力を添えられたかな、というくらいで。

本業をやりながらの運営はかなり大変でしたが、小さな組織が大きく成長する過程の組織マネジメントを実地で経験できたのは、今後の自分の人生にとってもすごく貴重な学びになったなと感じています。


みんな友だち! ROSCon JPの舞台裏

コモ:そうそう、ぜひROS開発者会議の「ROSCon JP」の話も聞かせてください。ジェフさんが「近藤さんがいなかったらROSCon JPは生まれてなかった」と言っていましたよ。

近藤:それを言うなら「ジェフさんがいなかったら」ですよ(笑)。そもそも発端は、2017年にカナダで開催された本家のROSConに、ジェフさんと参加したことでした。その帰り際に「日本でも年1回くらい、こういう大きなイベントやりたいですね」と話したら、「それいいね、ぜひやりましょう!」って盛り上がって、すぐに動き出したんです。

ジェフさんは、自身の現在の勤め先でもあるOpen Robotics(ROSの開発元)との調整を一手に引き受けてくれました。Open Roboticsにも、「自分たち以外が公式のローカルイベントを主催する」という前例はなかったので、いきなり「日本で公認イベントやらせてくれ」という話が来たから、対応にかなり困ったんじゃないかなと思います。そのあたり、ライセンス料の設定を含めた細かいルール決めの交渉を、ジェフさんがリードしてくれたので、本当に助かりました。

コモ以前に「ロボっていいとも!」に出てくれたアールティ代表の中川友紀子さんも、ROSCon JPの実行委員のお一人ですね。

近藤:そうです、皆さん頼りになるすごい方々ばかりで。それで言うと、僕のROSCon JPにおける最大の功績は、京大にいた高瀬さん(※高瀬英希さん、現在は東京大学 大学院情報理工学系研究科 准教授)を実行委員に引き込んだことだと思っています。お二人とも、間違いなく日本のエンジニアリング業界のトップランナーです。

もう一人の実行委員であるHTML5jの江頭宏和さんは、スーパーバックオフィスです。彼がいなかったら裏方は絶対に回ってないし、ROSCon JPのグッズのクオリティが高いのは、すべて江頭さんのネットワーク力の賜物です。事務局の窓口として動いてくれているエンターテイメントボウルの小松要仁さんは、毎回完璧なイベント計画書を作って当日までの段取りを整えてくれるので、会議もすごくスムーズに進むんですよ。

コモ:そんな皆さんの力が結集して、ROSCon JPは開催されているのですね。2018年の初回から毎回参加させてもらっていますが、本当に熱く、そして温かい場だなあとしみじみ感じています。

近藤:参加者のほとんどがROS Japan Users Groupのメンバーなので、お互い気心が知れているんですよね。ROSCon JPではその内輪感が、いい方向に働いていると思います。集まっているみんなが仲間、という一体感があるというか。

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コモ:本当にそうですね。あの場で自然と商談が始まることも結構あるんですけど、単純な売り買いの話にはほとんどならなくて。「何か一緒にやりましょう」と共創を模索するコミュニケーションになるんですよ。それがまた素敵だなあと。あと、前職の同僚と再会して、また連絡を取り合うようになったりして。ROSCon JPでは、そういう嬉しい出会いがたくさん生まれますね。


近藤:図々しいかも知れませんが、僕は日本のロボット関係者はみんな友だちだと思っていて(笑)。ROSCon JPは、年に一回、日本中のロボット好きの友だちが一堂に会するお祭りなんですよ。ここがハブになって、みんな仲良しになってくれたらなと、心から思っています。


ROS2本、あのタイミングに出せてよかった

コモ:初めてのROSCon JPが2018年の秋に開催されて……時期的にはちょうどその後くらいからでしょうか、『ROS2ではじめよう 次世代ロボットプログラミング』の執筆をされ始めたのは。

近藤:そうですね、はい。2018年末、ROS Japan Users Groupの勉強会に来てくださっていた技術評論社の編集者さんに、「ROS2の本を書きませんか?」と声をかけてもらって。本はいつか書きたいなと思っていたので、二つ返事で引き受けました。

コモ:近藤さん個人のブログでもROS2の使い方について、かなりの頻度で解説を書かれていましたね。

近藤:ROS2は、それまで対応していなかったWindows、macOSでも使えるようになったことで、きっと新規の利用者が増えるだろうと期待していました。ただ、日本語で体系的にまとまっているガイドがほぼないに等しい状態だったので、それがハードルになりそうだなと。加えて、ROS2の設計思想は先を見越していてとても素敵なのですが、ROS1からの移植についてはわかりにくいところも多くて。

コモ:確かにそうでしたね。

近藤:そのあたり踏まえて、誰が読んでもわかりやすいROS2マニュアルがあったらいいのに、とは思っていたんです。ブログで書いていたのも、そういう動機からで。だから本の話が来た時も「これは今、僕がやるべきことだ」と、また使命のようなものを感じました。

コモ:刊行が2019年8月だったので、執筆期間は半年ほどでしょうか?

近藤:はい。全体の20%くらいはブログの内容をベースにしつつ、基本的には本家のreadmeやソースコードを読み込みながら骨子を整えて。実践的な部分は、実装をしながら書き上げました。

コモ:あ、じゃあルンバのROS2対応の部分とかは?

近藤:まさに、です。ちゃんと検証されていて、確実な情報だけが載っている状態にしたかったんですよね。6月に粗々で初稿を書き上げてからは、ジェフさんやPreferred Networksの高妻真吾さんに丁寧にフィードバックをもらいながら修正をしていって。

特に高妻さんは、原稿に書かれた通りに実装パートを打ち込みながら「これ動きませんでした」「ここわかりにくいです」と指摘してくれたので、本当に助かりました。

公式からも十分な情報提供がなかったあの頃に、正確な情報をまとめたROS2マニュアル本を出せたことには、とても満足しています。日本のロボティクスの成長を促す意味でも、すごく価値のある仕事になったんじゃないかなと。

コモ:本当にそうだと思います。

近藤:本を書いたことで「これは本家のサイトにも載っていた方がいいのでは?」という情報もたくさん見えてきました。ちゃんと手を動かしながら、本家にもコントリビュートし続けていきたいなと思っています。


体力こそ最強のソリューション?

コモ:多忙な本業もある中で、ROS Japan Users Groupの活動や本の執筆もこなされていて、私からすると近藤さんは真の“超人”なのですが(笑)、何かこう秘訣があったりするのでしょうか、その超人さには。

近藤:いやいや、全然特別なことは何も。単純にロボットが好きなだけですよ。テレビを見たり寝たりすることよりも、ロボットのことを考えているほうが楽しいんですよね。本業もそれ以外の活動も、自分が好きでやっていることなので、いくらでものめり込めますし。魔法にかかっているんだと思います(笑)。

コモ:近藤さんが関わられているイベントって、どれも本当に楽しいんですよね。参加者の皆さんもいい顔していて。それはきっと、近藤さんご自身が心から楽しまれているからこそ、生まれる空気感なんだろうなと、今のお話を聞いて感じました。

近藤:そう言っていただけて嬉しいです。おっしゃる通り、僕が一番楽しんでやっているかもしれません。

コモ:日々の仕事や課外活動を楽しむコツとかって、何かあったりしますか?

近藤:それでいうと、運動は大事にしています。週2回はジムに通って、ジョギングとトレーニングを欠かさずやってますね。どんなに楽しいことでも、体力がないと集中力が持ちませんから。「知的体力は身体的体力の上にしか乗らない」が僕の昔からの信条です。

コモ:ありがたいお言葉です、耳が痛い(笑)。

近藤:あと、子どもと遊ぶのもいいストレス発散になってますね。いま3歳で、ちょうど人格ができてきている時期なんですけど、もう友だちみたいにいろんなことを喋ってます。最近は「パパのつくったロボット大好き!」とか言ってくれるので、いい子に育ってくれたなとしみじみ感じています(笑)。

コモ:ロボットやプログラミングに早めに触れる環境など、意識的に作っていたりは?

近藤:いえ、全然してないです。自然に興味を持ってこちらの道に来て、将来的に一緒にロボット作ったりできたらすごく楽しそうですけど、あまり誘導するようなことはしたくないなと。それに、同じ道に来たら、父の壁は結構高いぞ、とも思いますし(笑)。

周りを意識せず、好きなことに好きなだけ没頭してほしいですね。何か興味を持ったものに対して、深く探究できるような環境は、できるだけ用意してあげようと思っています。


コツコツ、世界に

コモ:さて、そろそろお時間が近づいて参りました。最後にぜひ、今後の展望についてもお聞きしたいなと。これから10年間、どんな見通しを立てていらっしゃいますか?

近藤:10年、そうですね。5年以内には、世界に出たいなと思っています。家族とも相談しながら、タイミングを見計らって。

コモ:おお、世界に。

近藤:今後はインターナショナルで生きていけるように自分の土壌を整えつつ、国外でも存在感をしっかり出せるようなプレイヤーになりたいですね。次のステップとして、新しい環境に身を置きたいと考えています。

その先、10年後には経営者になれていたらいいなと。自分の思い描く理想のものを作るとしたら、やっぱり自分の会社を持って、そこでやるのがよさそうだなと思うので。そしていつか、僕の開発したロボットが、皆さんの日常の生活シーンに当たり前に存在するようなものになってくれたら、最高に嬉しいですね。

コモ:5年、そして10年と、しっかり目標を見据えていらっしゃるのですね。

近藤:ゴールを見立てて、そこに向かってすごろくみたいにコツコツ進んでいくのは、昔から得意なんですよ。人より歩みは遅いかも知れませんが。

コモ:いやあ、たっぷりとお話を聞かせていただいて、本当にありがとうございました。近藤さんの強さの原点を垣間見れた気がして、とても胸が熱くなっています。


さーて、次回のお友達はー?

コモ:それでは最後、恒例の「お友達紹介」のお時間です。近藤さん、どなたをご紹介していただけますでしょうか?

近藤:ソニーの藤田智哉さんを、ぜひ。ROS Japan Users Groupでも大変お世話になっていますし、本家のROSコミュニティでも活発に発言されていて、ワールドワイドなROS界隈で最も存在感のある日本人の一人だと思っています。英語も堪能で、僕の目標とする人の一人でもあります。

コモ:藤田さん! またハイパーな方が。めちゃくちゃお忙しそうですよね、引き受けていただけるかな……。

近藤:あ、たぶん大丈夫だと思いますよ。先日、「ロボっていいとも!」の取材を受けることになったとツイートしたら、藤田さんから「電話かかってくることを期待!いいとも!!って言いたい」」ってリプライ来てたので(笑)。

コモ:なんと! それなら安心です(笑) 。

それでは、本日のゲストは近藤豊さんでした。ありがとうございました!

皆様、次回もお楽しみに 😎

※これまでの「ロボっていいとも!」は、こちらからお読みいただけます!



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