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五月祭コミアカ衣装制作記「同人はそんなに甘くないよ…」

 こんにちは、国際単位系/シャーロットエースです。暁を覚えぬうちに中間試験が迫って本気で焦っているこの頃、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。私は落とせない必修の再試験が迫っており、大変にまずい状態です。助けてくれ~~

 という訳で、今回の記事は前回『コミアカ新歓衣装制作記「何事もトライしなくちゃ分からないよ!」』で作成した、小美亜佳子さんのお友達の衣装を納品したお話です。投げ銭ラインを末尾に設定しましたが、全文無料でお読みいただけます。

note以外の記事・制作物も含めた一覧は自身のWebサイト「シャーロットエースの部屋」からご覧ください。

作ったもの

コミアカ公式ウェブサイトより 轍夜明さんの公式資料

 制作したのは、東京大学内の同人誌即売会運営サークル「コミックアカデミー実行委員会(コミアカ)」公式キャラクター、轍夜明さんの衣装です。先述のとおり、前回作成した小美亜佳子さんに並ぶキャラクターとしてウェブサイトなど各種媒体に掲載されています。この衣装は、カコさんと同時期に、秋山翠花(すいかもん)氏を経由して依頼されています。五月祭で開催された即売会「コミックアカデミー24(CA24)」にて、コミアカ代表者(ちさとし氏)が着用するとの話でしたので、納品日はひと月程度の差が生じています。

お仕事紹介【エース縫製室調達部門】

 この衣装は、ビスチェタイプのワンピースと、シャツ、長袖のインナーで構成されています。3着の縫製は時間的に困難なため、なるべく既製品の流用を検討する必要があります。
 公式資料だとVネックの切れ込みがずいぶん深くになっていますが、なかなかよく見る形状ではありません。また、胸元の大きく開く衣装はなかなか着用しづらいという事情もあります。通常、男性レイヤーがそのようなコスプレをする場合はシリコンバストを着用することになります。着用者が初めてのコスプレということもあって心理的・金銭的負担を減らしたとの考えがありました。GUで発見したよく見る深さのVネックTシャツを採用しました。(ちなみに、初めて女性装をする男性には、GUで買えるカップ入りのブラフィールキャミソールを推奨しています。一般向けの衣料品店で安価に購入でき、シャツタイプで着用のハードルも比較的低く済むからです。カップの硬さも適度で、詰め物が無くても服でつぶれてしまうことがあまりありません。)
 インナーについては、GUNZEが似た色の商品をいくつか出していたので、シャツのVネックから見えないよう襟もとが大きく開いているものを購入しました。
 ちさとしさんは私に比べるとずいぶん大柄ですので、すいかもんの時のように私が試着を代行するということが不可能です。わずかな望みをかけて一緒にお店も見に行ったのですが、どうもサイズが合うワンピースはなさそうでした。ここで再度の自作が決定します。

解釈バトル① 生地編

 さて、いざ自作すると衣装の形状や素材について解釈を深める必要があります。アケさんは、公開されているイラストやキャラ設定から、おそらく地味なキャラクターで、着用している服装もあんまり派手ではないであろうと考えられます。
 これをそのまま衣装に落とし込むと、暗めの色をした、薄手ポリエステル素材(シャカシャカする感じのやつ)が最適でしょうか?しかし、ここには地味な服装はコスプレでやる嬉しさがあまりない、という問題があります。あんまり派手にしすぎるのも解釈に反しますが、それでもある程度華やかにしてあげる必要があります。形状はあまりいじれないので、今回は濃すぎない色味のデニム生地を選択しました。
 コスプレ衣装にはペラペラのシーチング生地が使用されることも多いですが、生地の質感がもたらす華やかさ、実在感も決して無視できないと私は思うのです。

スクラップ・アンド・ビルド 5/13

 なかなか近い形状の型紙が見つからなかったため、毎回お世話になっているDRCOS(でぃあこす)さんの型紙をベースに改造したものを使用しました。今回は有料型紙を購入しています。有料型紙ならサイズ違いもバンドルするとか、貼り合わせ線もちゃんと表記するとかしてほしかった……

寸法調整用の試作品

 いったん仮縫い用のシーチングで型紙そのままに衣装を作成、これをちさとしさんに着てもらって、寸法を詰めるところ、延ばすところ、胸元のラインなどのメモを書き込んでいきます。特に裾の長さは、思った以上に長くする必要がありました。私が着るとくるぶしくらいまであるのに……

寸法の変更箇所メモ こんな感じで書き込んでいます

 寸法調整が終わったら仮縫い衣装を開いて型紙に起こします。ただし、この型紙は作りたい衣装と「輪郭が一緒なだけ」の衣装です。最終的には公式資料をもとに、パーツの分割位置などに変更を加えて型紙の完成になります。

解釈バトル② パーツ分割位置編 5/16

 さて、問題はその分割位置なのです。まずはいくつかのイラストをご覧ください。腰のベルト位置などの表現揺れがありますが、注目していただきたいのはスカート裾。基本的にはプリーツスカート(ひだ折りのスカート)として描かれています。一方、冒頭のイラストには縦の線こそあるものの、その始点はシワから連続的に生じているようにも見えます。また、この絵ではプリーツの有無はわかりません。
 この衣装の解釈には非常に悩みました。プリーツスカートで作ると、腰回りの処理でいずれかの資料に矛盾が生じるからです。今回は、一番違和感の少ない手法として、スカート部分を縦に8分割し、縦の線はそれらの縫い目で表現することとしました。解釈にある程度自由な裁量を与えてくれたのがずいぶん助かりました。
 他には、胸元のパーツもベルト状に分割するなど、変更は多岐にわたります。

切り出した部品(一部) スカートの縫い合わせ線でイラストの縦線を再現
分割の縫い代を考えず買ったので生地がギリギリになったのはナイショだ!

「作業」 5/16~18

 裁断まで完成したら、ようやく縫製です。衣服を作るにあたって、裁断までの過程はずいぶんと頭を使う必要があります。真に作業と呼べるのは縫製工程くらいでしょう。授業や用事のない時間を拾ってはミシンのペダルをアクセルさながらべた踏みです。布片から衣服が生まれていく瞬間はやはり楽しいものですね。

 17日はアルバイトもあり、結局ワンピースが完成したのは納品当日の午前5時。本当にギリギリになってしまいました。衣装が轍夜明なら、私は徹夜明けということで…… 糸も何とか足りてくれてよかったです。手芸店は深夜営業をすべき


胸元のアップ 縫製のラインで再現した縦線もよい感じ

 ワンピースが終わったら、買っておいたTシャツの袖口に紺色のリムを縫い付けて完成です。比較的すぐ終えられたのでよかったです。毎度のことながら余裕がなさ過ぎて作業中の写真が残っていませんが……

袖口 結構綺麗に縫えたのではないか 撮影:柳行李(なぎこ)氏

 完成したらそのまま本郷に行って納品し、お仕事は完了です。本当は一緒に五月祭に参加出来たらよかったのですが、夕方のアルバイトに徹夜明けの状態で向かう訳にはいきませんから、泣く泣く帰宅しました。長い長い一週間もこれでおしまいです。

さいごに

 残念ながら当日アケさんとカコさんが一緒にいるところには立ち会えませんでしたが、SNS上や翌日お会いした方々などから、いっぱいお褒めいただきました。そういう風に評価してもらえると、私としても頑張った甲斐がありますね。

コミアカ公式カップリングが目の前に!! 撮影:柳行李(なぎこ)氏

 これでコミアカから頼まれていた二着の衣装は全部です。最初の依頼からはや半年近く、なんとか最後まで完了できて安心しました。次は謎の美少女さんでしょうか?まだまだ勉強することも多いですが、衣装を作らせてもらえる機会をいただけてありがたい限りです。みなさんから依頼をいただいた際には一生懸命頑張りますのでなにとぞ、お針子シャーロットエースをよろしくお願いします。

過去の衣装制作記事は『C102参戦記 準備期間のおはなし(下)』、『C103参戦記(上)「お針子シャーロットエース」』、『コミアカ新歓衣装制作記「何事もトライしなくちゃ分からないよ!」』より、note以外の記事・制作物も含めた一覧は自身のWebサイト「シャーロットエースの部屋」からご覧ください。

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