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コミアカ新歓衣装制作記「何事もトライしなくちゃ分からないよ!」

 ご無沙汰しております、国際単位系/シャーロットエースです。無事に配属研究室が決まり環境にも慣れてきたこのごろ、みなさんいかがお過ごしでしょうか。私は声出しと球拾い以外もできるようになる日を楽しみにしているところです。

 さて、今回はそんな出会いの春の、ある新歓イベントに衣装を納品したお話です。投げ銭ラインを末尾に設定しましたが、全文無料でお読みいただけます。

note以外の記事・制作物も含めた一覧は自身のWebサイト「シャーロットエースの部屋」からご覧ください。


作ったもの

コミアカ公式ウェブサイトより 小美亜佳子さんの公式資料

 作成したのは、東京大学内の同人誌即売会運営サークル「コミックアカデミー実行委員会(コミアカ)」公式キャラクター、小美亜佳子さんの衣装です。コミアカが主催する学内で同人活動を行うサークルの合同新歓で、担当者が着用する衣装とのことでした。今回の依頼は、同人サークル「逆たまごかけごはん」のサークル主でおなじみ、秋山翠花(すいかもん)氏の頼みによるものです。お察しのとおり、先述の「担当者」というのも、すいかもん自身を指すのですが……

はじめてのおつかい 3/23


SIBUYA109などを偵察した際の報告  かなり絶望

 今までも自分や自身のサークル用に簡単な縫製作業をしたことはありましたが(C102C103)、誰かの依頼を受けて衣装を作るのは初めてでした。しかも、あろうことか今回の衣装は、既製品がどうにも流用できなそうな雰囲気でした。となると、全部自分で縫うしかありません。なるべく似た形の型紙を探す作業から始まります。

スカートを折って、心は折られて 3/28~4/8

 赤いミニスカートは、カラーのデニム生地で作成することにしました。コスプレは一般的に、薄手のポリエステル生地で作ることが多いようです。コスト、縫いやすさ、シワのつきにくさ(コスプレは原則として持ち運んで現地で着用する、というルールがあります)が主な理由でしょう。デニムの場合、縫製や取り扱いは難しくなりますが、耐久性や手触りがよく、明るすぎない色でも華やかに見えます。私が実在感を重視して衣装制作をしていることもあって、ここは譲れないポイントでした。すいかもんにも相談のうえ納得してもらって、デニムを選んでいます。この決定にはもうひとつ別の理由もありますが、それはまた今度お話します。

 幸いなことに、公式資料のスカートはさほど複雑な形をしていませんでした。C103でもお世話になったDRCOS(でぃあこす)さんが無料で公開してくれている型紙を再び使用しました。プリーツスカートひとつとってもバリエーションがあり、ありがたいですね。スカートはその可愛さに反して、比較的縫製が楽なことで知られています。部品が大きく、点数が少なく、縫製回数も小さいからです。いっぽう、最も骨が折れるのはプリーツ(ひだ)を綺麗に整える作業。なんとその数全周16か所。厚手の生地なのも相まってなかなか大変でした。

 縫製作業自体は前回一度経験しているので比較的スムーズでした。通常使用するコンシールファスナーの代わりに、ボールチェーンのファスナーをあえて使用しましたが、そこの部分はやはり手間取ってしまいました。鍛錬が足りませんね。見えにくい位置にありますが、カコさんが激しく動くと、金茶色のファスナーがチラっと見えるかもしれません。

Designed by… 4/12~4/15

 スカートはお借りした型紙で事足りたため良かったのですが、問題はトップスでした。作りたいチュニックの型紙を見つけられなかった以上、制作のためには型紙を自分で起こすしかありません。日暮里のお店で見つけたニット生地用のチュニック型紙をベースに、襟や袖、裾などをアレンジして型紙を制作しました。手順は(文字に起こすぶんには)簡単で、オリジナルの型紙をもとに仮縫い用のシーチング生地でいったん衣装を縫製。襟や袖、裾などのアレンジ・調整を繰り返し、最後に縫い目を解いて布を平面に戻します。この布の形状をを紙に写し取れば型紙の完成です。納期に余裕がなかったので写真がほとんどない

襟の形状を決める作業 オートクチュール?
型紙 肩の縫製などは素材を生かしつつ

 型紙が完成したら、あとは縫うだけです。このチュニックの山場は型紙ですから、もうなんてことはありません。生地はポリエステル・綿混紡の、薄手のものにしました。オシャレだけど普段使いのできる(≒大学に気軽に着ていける)、力の入りすぎていない質感の服を目指して選定しています。

 本来、布の端はロックミシンで仕上げるのが望ましいとされています。耐久性や見栄えの問題からです。(皆さんが今着用しているTシャツを裏返すと見える細かいジグザグの縫い目は、基本的にロックミシンによるものです。)私の家にあるミシンは家庭用の安いコンピュータミシンだけですから、ジグザグ縫いや直線縫いの併用でなるべく耐久性を持たせるように気を付けています。どうしてもロックミシンほど縫い目はきれいになりませんが……

リボンの穴はボタン穴用のかがり縫いで処理 こだわりポイントのひとつです
ボタン穴かがりもアタッチメントひとつでできちゃいます 文明の利器

 今回は自分の衣装ではなく依頼なのもあって、品質に妥協はできません。裾のフリフリの飾りは、穴あけではなく既製品のレースを採用することにしました。大き目の手芸屋さんに行けば好みの形状のレースが見つかりますが、色についてはそうではありません。ほとんどの製品は白色(ごくわずかに生成色)なので、自分で染色する必要があります。今までに経験はありませんでしたが、経費は出してもらえるというのをいいことに染料キットで黄色にしています。工程はシンプルですが、狙った色を出すのが難しかったですね。

 できたレースを裾に縫い付けて、アイロンでお洋服を整えたら完成です。結局、15日の朝6時(納期4時間前)に完成する限界進捗となってしまいました。手間はかかりましたが、それっぽい感じになったので良かったですね。

むすびにかえて

 当日も好評だったとのことで、制作者としては大変嬉しいです。惜しまれるのは、上下を分けて納品したために、ひと揃えになっているところをまだ見れていないことでしょう。どこかですいかもんが着ているのを見に行きたいなぁと思っています。

 はじめての依頼衣装、はじめての型紙作成、はじめての染色作業など、はじめてづくしのカコさん衣装でしたが、無事に終えられてひと安心しています。いろんなことに挑戦して、自分の引き出しが増えていくのはやはり良いものだと感じます。機会があればほかの衣装制作もやりたいですね。とりあえず、もらったお駄賃でガス代を払ってきます。それでは、また。

過去の衣装制作記事は『C102参戦記 準備期間のおはなし(下)』、『C103参戦記(上)「お針子シャーロットエース」』より、note以外の記事・制作物も含めた一覧は自身のWebサイト「シャーロットエースの部屋」からご覧ください。

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