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ユナイテッドアローズ 統合レポート解説 第5回:財務・非財務情報から企業を知る


前回までの振り返り

第4回では、長期ビジョン・中期経営計画についてご説明しました。

全7回の連載を予定している統合レポート解説記事が後半に入ってまいりました。
今回は、財務情報と非財務情報について解説いたします。

情報の種類 ―「財務情報」「非財務情報」の違い―

企業経営における情報には、財務と非財務の二つがあります。

財務情報とは、売上高や利益など数量で表すことができる定量的な情報です。財務諸表に記載されているものがそれにあたります。

一方、非財務情報とは、数値化しづらい定性的な情報のことです。例えば、従業員の能力や開発力、お客様との関係性、環境への負荷などがそれにあたります。こうした情報は表すことが難しいものの、企業の利益や価値を創出するため、もしくは企業が抱えるリスクに関連する重要なものです。

これまで企業の評価にあたっては、比較することが容易な財務情報が主として用いられていましたが、近年では企業の存続性や潜在的な価値を把握するため、非財務情報が注目されています。
企業においても、非財務情報を可視化=定量化し、重要達成度指標(KPI)として社内で活用したり、投資家への説明に用いられたりすることが増えてきました。

「統合レポート」自体もそうした考えに基づき、企業活動と価値創出を深く理解していただくために、財務と非財務の情報を統合して報告する資料となっています。

ユナイテッドアローズはどのような情報を載せている?

当社の統合レポートには、「財務・非財務ハイライト」(p.14)というコンテンツを設けています。
これは、当社を理解していただくうえで特に重要な、財務・非財務関連の指標をピックアップしたものです。

財務情報として、「売上高」「売上総利益率」「営業利益」「営業利益率」「1株当たり当期純利益」「ROE」に加え、「ネット通販売上高」「ネット通販比率」を挙げました。これらは主に、中期経営計画で目標値として掲げているものが多く、事業活動を行う上で特に重視している指標です。また、複数年のグラフになっているため、単年度の成果だけでなく中期的な評価がしやすくなっています。

 非財務情報として、当社のサステナビリティ活動「SARROWS」で目標数値として掲げている「温室効果ガス排出量」、「従業員エンゲージメントスコア」「女性管理職の人数と比率」、「商品調達取引先様向け行動規範への同意書取得率」を採り上げました。
これらの指標から、当社がどのような分野を重要視し、注力しているか、またその状況について客観的に見ていただくことができます。

これら以外にも、レポートのあらゆる箇所に非財務情報が散りばめられています。

「ユナイテッドアローズ 統合レポート2023」に掲載された非財務情報をマッピング

ページ順に、主要な非財務情報がどのコンテンツに掲載されているかを見ていきましょう。

経営理念(p.4)
経営の軸であり、指針となる考え方です。当社のすべての活動はこの理念に基づき行われています。

沿革(p.6)
当社が社会にどのような価値を提供してきたのか、そのあゆみを知ることができます。
売上高や主要な出来事とともに提供価値の変遷を見ることで、価値提供範囲の拡大が企業規模の成長と連動していることを感じ取っていただけると思います。

価値創造の源泉(p.9)
当社の競争優位性の源について記載しています。

トップメッセージ(p.16)

長期ビジョン2032(p.21)

中期経営計画2023-2025(p.22)
目指す姿、それを実現するための計画は、財務情報(数値目標)と非財務情報(ありたい姿や戦略など)で構成されています。2023年に長期ビジョンと新中期経営計画を発表したことから、トップメッセージでもこれらへのアプローチについて説明しています。

サステナビリティ(p.34)
このパートでは、当社が長期的に事業を継続するうえで特に重要な非財務分野「Circularity」「Carbon Neutrality」「Humanity」について、目標と活動内容を記載しています。それぞれに定量化した数値目標を設定し、達成度を見える化していることがポイントです。
サステナビリティについては、本シリーズ第6回で解説する予定です。

コーポレートガバナンス(p.54)
透明で健全な企業経営のためのガバナンスの方針と活動内容を報告しています。取締役会や各委員会での審議内容など、統合レポートにしか載っていない情報もあります。

こうして見ると、企業を知るためにいかに非財務情報が重要か感じていただけるのではないでしょうか。
冒頭に書いた通り、非財務情報は数値化や見える化がしづらい情報です。また、企業の特性によって伝えるべき情報も異なります。

統合レポートを通して、当社を多角的に知り、ご理解いただければと思います。

次回は「サステナビリティ」について解説します。
ぜひご覧いただけますと嬉しいです。


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