ユナイテッドアローズ 統合レポート解説 第4回:⻑期ビジョン・中期経営計画
前回の振り返り
第3回では、価値創造の源泉「ヒト・モノ・ウツワ」についてご説明しました。
今回は、当社の戦略の要となる「長期ビジョン2032」と「中期経営計画2023-2025」について解説します。
なぜ中・長期視点でのビジョン・計画を立てるのか
社会が変化するなかで持続可能な企業経営を行っていくためには、長期間にわたる事業経営の指針となるビジョン(将来的なありたい姿)を据える必要があります。そして、このビジョンからバックキャスティングで、数年後の目標を立てます。これが中期経営計画と言われるもので、具体的な数値目標とそれを実現するための戦略で構成されます。
このように遠い未来から近くへ逆算して考えていくことで、ビジョン到達に向けたステップが明確になっていきます。
当社は、2023年5月に「長期ビジョン2032」と「中期経営計画2023-2025」を策定しました。
統合レポートでは、それぞれの内容だけでなく策定の背景や考え方についても記しています。
長期ビジョン2032「美しい会社 ユナイテッドアローズ」で描く姿
当社は長期ビジョンの達成年として9年後の2032年を設定。スローガンと長期財務目標とともに、達成時のありたい姿、持つべき価値観、サステナビリティの考え方を示しました。
この「美しい」という言葉には、経営理念を源流とした当社ならではの価値観が込められています。私たちが追い求める美しさとは何か、何を目指すのかについては、トップメッセージ(p.16)で詳しく述べられているので、ぜひ併せてお読みください。
中期経営計画2023-2025の全体像
新たな中期経営計画の策定にあたって、これまでの計画振り返り(p.19)と現状の把握、当社が取り組むべき課題(p.20)を洗い出しました。
その課題をふまえ、長期ビジョン達成のためにはこれから3年間でどこまで到達しないといけないのかを設定。そして実現のための戦略を計画しました。それが「中期経営計画2023-2025」です。スローガン、財務目標、3つの主要戦略で構成されています。
課題特定に至る過程と新中計への繋がりについてはトップメッセージ(p.16-17)でも説明しています。この計画によってどのように「美しい会社」を実現するのか、その考え方についてもよりご理解いただけると思います。
3つの主要戦略
主要戦略① UA CREATIVITY戦略
この戦略では、主に既存事業の成長と収益力強化の道筋を示しています。仕組みの改善や、人材施策、リブランディングを重要施策として挙げました。
取り組みの具体例として、Pick upコラムでプロパー消化率の向上と原価率の抑制による売上総利益率の改善計画について詳しく紹介しています。これは収益力の強化であるとともに、前段で述べた「美しい会社」に繋がる施策であることも理解していただけると思います。
主要戦略② UA MULTI戦略
「年齢軸」「ファッションテイスト軸」「業容」の課題に対して、ターゲット層の拡大や新たな分野・地域での展開を描いたのがこの戦略です。
今回の統合レポートでは海外でのショップオープン事例を紹介していますが、他にも新ブランドの開始などさまざまな取り組みが行われています。次年度の統合レポートで進捗や注目事例をご紹介する予定ですが、当社ウェブサイトやPR TIMESなどでも情報を随時発信していますので、ぜひご覧ください。
主要戦略③ UA DIGITAL戦略
技術の進化にともない、お客様との接点や関わり方、サプライチェーンの管理手法なども変化しています。このような「デジタル技術による効率化、インフラ整備」の課題を機会と捉え、当社はデジタル領域への投資に注力しています。
コラムで紹介した通り、中計開始後に新たな会員プログラム「UAクラブ」が始まりました。お客様にとってはより便利に、そして当社にとってはお客様との接点を強化する仕組みです。運用の効果や今後の方針は、これからの統合レポートや決算説明などで報告していく予定です。
2023年は計画を策定した年のため、背景や計画を俯瞰した説明が主となりましたが、今後は、計画を実行していくなかで実績や進捗をお伝えすることが増えていきます。
当社が目標に対して着実に歩みを進めているか、投資家の皆さまにはぜひ温かくも厳しい目で見ていただければと思います。
次回は「財務・⾮財務情報」について解説します。
引き続き、ぜひ、ご覧いただけますと嬉しいです。