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2023年3月期 第3四半期 決算概況

2023年2月6日に発表した2023年3月期 第3四半期の決算概況について、要点を絞ってご説明いたします。詳細は決算説明会資料をご覧ください。
2023年3月期 第3四半期 決算説明会資料

決算概況

連結売上高は前年同期比110.6%の960億円、連結体制と収益認識基準変更の影響を除外した実質的な対3年前比では91.4%となりました。

売上総利益率は52.7%で前年同期から1.6pt、3年前からも0.1pt改善しています。上期に続きセール販売を抑制しており、売上総利益率の回復が続いています。

販管費は442億円で前年同期の104.0%、売上回復に伴う変動費の増で前年を超過していますが、3年前比では82.3%と抑制。売上比は46.0%、前年同期から2.9ptの改善、対年前からは0.9pの増加。まだ高い水準ではありますが、売上回復とともに固定費の吸収が進み、コロナ禍前の水準に戻しつつあります。

この結果、営業利益が63億円となり前年同期比347.7%、親会社に帰属する四半期純利益が43億円となり前年同期比334.9%となりました。売上額は当初計画水準となり、売上総利益率の改善、販管費の抑制で利益面では計画を超過しました。これに伴い、通期の利益予想を修正しました。

売上総利益率の改善

上半期に続き、売上総利益率の改善が進んでいます。連結ベースでは前年、3年前もクリア。(株)ユナイテッドアローズも前年、3年前をクリアしています。アウトレット部門が過去在庫の消化を進めた影響で対3年前の水準を下回りましたが、ビジネスユニットは3年前の水準を1.4pt超過しています。(株)コーエンは対3年前の水準を下回りましたが、これは収益認識基準変更の影響によるもので、実質的には3年前を上回る水準です。

売上総利益率改善の背景には定価販売の徹底強化があります。ビジネスユニットの売上高をコロナ禍前の3年前と比較した場合、定価販売の売上は3年前の99.2%となりました。この3年の間に多くの店舗を閉鎖したことをふまえると、実質的には3年前を超過していると捉えています。セールの売上を3年前から半減させて定価販売の構成比が86.5%となり、3年前から10.3pt増加しています。

セール販売を極力抑えることで、価格への信頼感、ブランドへの信頼感を醸成し、適切な利益を得ていく。大量生産、大量消費とうたわれたコロナ禍前のファッションビジネスから脱却しようとしている転換期でもあります。

利益予想の上方修正

売上総利益率の改善、販管費のコントロールで営業利益以下の各利益は計画を上回る着地となり、今回通期の利益予想を修正しました。

営業利益は期初計画の1300億円を据え置き、売上総利益率は期初計画から0.7pt増の51.2%、為替の変動、原価上昇などのマイナス要因はあるものの、価格の改定や定価販売の強化で期初予想を上回る見通しです。販管費は605億円で期初計画の99.4%、期初計画には織り込んでいなかった従業員への計画達成賞与、店舗修繕費用などを追加したものの、期初計画を下回る水準に抑えています。その結果、営業利益が60億円、期初計画の125.0%、経常利益が65億円、期初計画の124.3%、親会社株主に帰属する当期純利益は41億円、期初計画の137.3%を見込んでいます。

現時点では期末配当金20円、年間配当金32円の期初予想は変更していませんが、最終利益が確定した後、予想配当性向の30.4%に準じた修正を行う予定です。

第4四半期から来期に向けて

この修正計画を達成させ、来期さらなる成長を目指すべく、第4四半期から来期に向けて様々な取り組みを進めます。

精緻な価格設定

原価上昇圧力が高まる中、2022年秋冬シーズンはクオリティの改善を伴った価格改定を行いました。これに対して大きなマイナス影響は出ていないものの、事業や販売チャネルによって若干影響の強弱がみられています。これからスタートする2023年春夏シーズンも価格改定は継続していく方針ですが、事業別、アイテム別に精緻に価格を設定し、原価率のコントロールと定価販売比率の向上に努めます。

売上総利益率の向上

定価販売強化による収益性改善は着実に進捗しています。商品力、接客力の強化や適正な在庫調達により、まだまだ改善余地はあると考えています。2023年春夏以降も定価販売の強化で原価上昇の影響を抑え、売上総利益率の改善を目指します。

販売機会ロスの縮小、在庫効率の改善

昨年3月のリニューアル以降、ユナイテッドアローズ オンラインでは実店舗との在庫連携を一時的に中断していました。ようやく準備も整い、今春夏シーズンから実店舗在庫の引き当て販売を再開します。これまで物流センターの在庫がなくなった段階でユナイテッドアローズ オンラインではSOLD OUTとなっていた商品が、全国の実店舗のどこかに在庫があれば、それを引き当てて販売できるようになり、販売機会ロスが縮小します。在庫運用が柔軟になり、在庫効率を上げながら売上増加が期待できる取り組みです。

ハウスカードプログラムの刷新

ユナイテッドアローズ オンラインの機能強化に加えて、ハウスカード会員プログラムの改定も進めています。お客様一人一人に対するきめ細かいサービスで当社との接点を増やし、ライフタイムバリューの向上を図るプログラムとです。当社との関係性の深いロイヤルカスタマーを増やしていくことで、安定的な事業成長の土台を築いていきます。正式なアナウンスまでもうしばらくお待ちください。

新中期計画に向けて

決算説明会では、社長の松崎から今年5月に発表予定の新中期計画について、そのエッセンスの説明がありました。

コロナ禍に入り、当社は再度足場を固める取り組みに徹してきました。現行中期計画の最終年度である今年度でこの取り組みを終え、来期からスタートする新中期計画の3年間は攻めの経営に転じます。

お客様との接点を増加させる

そのために必要なのが、お客様との接点増加です。実店舗とネット通販をシームレスに体験していただけるOMO施策を進化させ、既存店舗の成長を目指します。

それに加えて新たな需要獲得でお客様の幅を広げるべく、新ブランド開発も含めた新規事業の開発を進めます。これまで若年層向けブランド、アウトドア、ゴルフ、ヨガなどの新たな取り組みを進めており、次の成長の芽も出始めています。次期中期計画では、これらの取り組みに加えて、アパレルだけにとらわれず、お客様の多様なにーズに対応するサービス開発を進めます。

付加価値を磨く

お客様との接点拡大に加え、付加価値を高める、つまり高い売上総利益率を目指します。

当社の付加価値を支えるのは、当社の競争優位性であるヒト、モノです。昨今、人的資本に対する注目が高まっていますが、当社においてもヒトは重要な資産であると考えており、店舗人員の採用強化、社員教育の拡充、タレントマネジメントシステムを使った適材適所の人員配置を進めます。様々な能力を持った社員の個性を生かし、それを伸ばしていく風土を作ることが、新たな価値提供につながると考えています。

真心と美意識を込めて丁寧に生み出し、選び抜かれた商品を、高度な技術と思いやりのある接客を通じて、店頭やオンラインストアで魅力的に訴求し、適切な価格でお買い求めいただけるよう、当社の持つ技術を磨き上げ、他社と比較できないレベルまで引き上げていきます。そしてユナイテッドアローズ グループという企業体のブランド力を高めていくべく、宣伝広告活動も強化していく方針です。

次期中期計画は、今年5月の本決算発表のタイミングで開示します。もうしばらくお待ちください。


決算説明会で投資家様よりいただいた質問をまとめた質疑応答集も開示しました。こちらも合わせてご覧ください。
決算説明会質疑応答集(第3四半期)