信用通貨

カサカサと落ち葉を踏む音が外から聞こえる。今年の冬は厳しいだろうか。
「おい、帰らないのか?」
僕は呼ばれた方を振り返った。
「うん、まだやらなきゃいけないことあるから。」


「そっかー、生徒会長はやっぱり大変だな。
ところでさ、この世で一番お金を稼げる方法はなんだと思う?」

こいつは資産家の息子だ。だからだろうか何かとお金の話をよくする。
でも俺は嫌いじゃない

「んー、やっぱり企業して、すごい会社を作るとか?」
「確かになー、でも一番は銀行なんだよ。」
「確かに銀行は、稼いでそうだけど,,,」
「あいつらは皆が預けたお金を人に貸して利子付きで返してもらう。そうやって稼いでるんだ。しかも現物がなくても金を増やせるんだぜ。」
「どうゆうこと?」

「じゃあさ、この国で通用するお金ってなんだと思う?」

「円だろ?」

「確かにな、国内でドルとか使う人は見ないな。でもさ、通帳に載ってる数字だって、お前がもっている金だろ?」

「でもあれだって円ってかいてあるじゃん。」

「確かにそうだ、でも現金じゃない。でも通貨って認められてるんだ。だってお前がその紙に100万って書いても、誰も認めちゃくれないに決まってんだろ?」

「確かに、でもじゃあ通貨は何をもって通貨って呼ぶんだろう?」

「信用だ。そこに信用があるんだから。だって自分たちが預けた場所なんだから信用する。本当はそんなお金ないのに。」

そうだったのか、なら俺も同じではないか
だれかの信用があってこの立場にたっている。この誇りある立場に。

瞬間、俺は疑問に思った。

「じゃあさ、皆がお金を返せっていったら?」

「もちろんそんな金返せるわけがないだろ。
だから銀行は倒産してお金はほとんど返ってこない。借金なんて精算は書類ひとつだ。

だからさ、この世は信用がすべてなんだよ
どんなに悪くても、よくても信用なんだよ。」



こいつは生徒会長に立候補した。
俺はいろんな人間に媚びた。
俺はきっと正しいのだろう
だって信用を得たのだから。



そして俺はなにも変えることなく、多くの人に称賛され学校を去った。

俺より能力も金もあったあいつは多くの人から嫌みを言われた。
嫉妬にかられ、そのちっぽけな心をみたしていた結果だろう。
だけど本当に嫉妬していたのは誰なのか。
信用とはなんなのか。

今年の冬はとても生ぬるかった。

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