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さて、残ったペアは…?
結緑 結奈「ここが人徳の塔ですね」
建速 誉「そう!なんだか神聖な気持ちになれるでしょう!」
結緑 結奈「そうですね。なんだか優しい気持ちになれるかも…」
建速 誉「そういう場所だからねぇ!」
結緑 結奈「…」
結奈さんはじっと誉さんを見つめた後に口を開きます。
結緑 結奈「誉さん、こんな神聖な場所で申し訳ないのですが…」
建速 誉「ん?」
結緑 結奈「実花沙ちゃ…、金藤 実花沙さんについてお話があります」
建速 誉「!?」
誉さんの表情が少し曇りましたね…。
結緑 結奈「ここ、カウンセリングできそうな場所、ありますか?」
建速 誉「…、あ、あっちの会議室…とは言ってもフリーだけど」
結緑 結奈「ありがとうございます」
2人は会議室へ。
建速 誉「そ、それで…話って…?」
結緑 結奈「誉さん、僕はあなたのこと疑いたくないのですが…、この前、実花沙さんと揉めたようですね」
建速 誉「な、なんのこと?」
結緑 結奈「工程リーダーと合わなくて、嫌なこと言われて悩んでいたのにあなたはその人に注意しなかったようですね。…実花沙さんの友人からも証言はありますよ。この前、僕に教えてくれたんです」
建速 誉「…、あれは…、実花沙さんの考えすぎよ。だってこちらとしては貴重な時間を割いて教えているもんですからね。リーダーは実花沙さんに不具合の原因を教えただけですよ」
結緑 結奈「…そうですか。実花沙さんはリーダーについて困っているってあなたに相談してたそうですね。自分の主観を押し付けていませんか?」
建速 誉「い。いえ…、そんなこと…」
結緑 結奈「…それと、ベテランから嫌がらせを受けていて悩んでいるようでしたし。あなたの方に連絡は来ていませんでしたか?」
建速 誉「た、確かに来てたけど…」
結緑 結奈「他のベテランにはほとんど対処してたそうですけど、なぜ田中さんのことはご対応いただけないのでしょうか?」
建速 誉「…、それは…、あの子には社会とはこういうものだって…」
結緑 結奈「肌身で体感させるために、あるいは業務が立てこんでいて対処できる余裕がない…とか?」
建速 誉「…!!」
結緑 結奈「…、田中さんをはじめとしたベテランからの嫌がらせがエスカレートして苦しんでいるというのになぜ手を差し伸べないのですか?なぜ、すぐに他の管理者に報告しないのですか?仕事はあなただけでしているものではありません。早い段階で対応すればよかったのに…、どうしてこうなってしまったんですか…?あなたの対応の悪さがストレスで適応障害や鬱になる人でも出たらどう責任とるおつもりです?今は無理に我慢する時代ではありません」
建速 誉「…、わ、私だって…、業務に必死で…」
結緑 結奈「…、1人で大変なら誰かに声をあげるべきです。僕が所長だった時、…あなたを管理者にしたのは僕だ。…でも、実花沙さんからこれまでのことを聞く限り、管理者として…キャリアコンサルタントとして適切な対応ができていなかったようですね」
建速 誉「そ、そんな…。この前のことは実花沙さんの責任じゃないって言いたかったのよ、あの子ったら」
結緑 結奈「…、お盆休み明けに今の事業所長に実花沙さんから伺ったお話と誉さんのこれまでの対応、発言内容や誤解を招くような表現について報告し、今後のことについて考えます。誉さん、僕はあなたを信じていたのに…」
建速 誉「…」
暗い空気になってしまいました…。
でも、実花沙さんがあんなに苦しんでいるのに放置はよくないですよね…。
…、人間関係って複雑…。
結緑 結奈「…?おや、電話…、ちょっと出ます。…、おや 大和君!どうかしたのかい?…、え?ノミホスゾーが来るかもしれない!?わ、わかった、教えてくれてありがとう!誉さんと警戒しとくね!」
建速 誉「奴らが来るかもしれないって?」
結緑 結奈「まずい状況です。誉さん、ご協力ください」
建速 誉「今もなんだかモヤモヤしているけど…、わかった!」
2人が力を合わせて戦ってくれるといいのですが…。
ハラハラです…!