Second Pain-27
金藤 実花沙「人間都に来て…、どういうおつもりなんですか、誉さん」
月ノ宮 奏那他「あっ、ああ…!!!」
花都 美彩「なんで来たんだよ実花沙!」
地鳴 明吾「早く…、逃げて…!!!」
清鐘 弘鷲「この人は君を…!!」
建速 誉「あら、来てくれたんだ実花沙さん」
金藤 実花沙「来るも何もすんごくうるさかったので」
清鐘 弘鷲「あ、そ、それはごめん…」
金藤 実花沙「弘鷲さんたちは悪くないです。… 小鳥さんに喧嘩売ったのはあなたなんですね」
建速 誉「そうだけど?私ね、あなたのせいで降格したんだよ」
金藤 実花沙「私のことを恨むのは結構。…それでも、私がしたことは間違ってないと思いますし、あなたのことはあんなに信頼していたのに」
…怖い…!
怖いのに私、こんなに強気に話してる…!
なんでだろう…?
金藤 実花沙「あなたは私に言った。『私はあなたの味方です』って」
建速 誉「それは嘘じゃないわよ?色々あなたの愚痴を聞いて対処してあげたじゃん?」
金藤 実花沙「でも、既読スルーしたり何もしてくれない時とかありましたよね。結奈さん、がっかりしてましたよ。キャリアコンサルタントよくやれますよね。自分のことだけで精一杯なら最初から簡単に味方という言葉を口には出さないで!この嘘つき!!!大嘘つき!!!!!」
私の中の怒りが沸々と湧き上がる。
建速 誉「私のこと、よく悪く言えるわね!ドルチェパワーないくせに!!」
金藤 実花沙「!!!」
花都 美彩「おりゃっ!!」
スパーン!!
建速 誉「!?」
花都 美彩「今はドルチェパワーがなくたって!!実花沙はこれから覚醒するんだ!!!」
月ノ宮 奏那他「そうだよ…!こんな勇敢で優しい人が選ばれないはずが…、ないっ!!!」
えっ…?!みんな私のために戦ってる…?
建速 誉「あなた、自分の歌声で世界を破壊しそうになったこと、あるよね!?なんで実花沙さんの味方をするのさ!?」
地鳴 明吾「実花沙さんは世界の破滅を求めてない!望んでない!!好きで手にした力じゃないんだ!!そうじゃなきゃ…、そうじゃなきゃ僕らと一緒にはいないさ!!」
ドーン!!
建速 誉「…!?でも可哀想だね!!いろんな人に裏切られちゃってさ!!!」
地鳴 明吾「ぐっ…!!」
ああ!弾幕が明吾さんたちに!!
金藤 実花沙「やめて!!!!!」
建速 誉「こーんな純粋で優しい人がみーんなに裏切られて可哀想だね!!!」
金藤 実花沙「!!」
い、いや…、
いや…!
いやぁぁぁぁぁあ!!!!!
金藤 実花沙「あっ…、あっ…、あぁあああああ!!!!!」
誉さんの罵声で突然過去のトラウマがフラッシュバックする…!!!
清鐘 弘鷲「実花沙ちゃん…!!!」
建速 誉「恨みなよ…、これまでの自分の行いをさ…!!!」
金藤 実花沙「いやぁ…!やだぁ…!!!」
清鐘 弘鷲「実花沙ちゃん!!!」
私の心に負っているセカンドペイン…。
ゼリー1組の先生「なんでこんなことになるの!!」
金藤 実花沙「ごめんなさい…!ごめんなさい!!!」
ゼリー1組の先生「私があんなに一生懸命教えているのに!廊下に立ってろ!!!」
小学校時代、発達障害ということからゼリー学級に入っていた。
担任からは何もかも完璧でいられるよう完璧人間に仕立て上げられそうになった。
教科書の問題を順番に解いていくが誰も教えてくれない。ノーヒントで1人で解かなければならなかった。
一発で問題を解けなければ廊下に追い出されていた。何もかも完璧でいないとおしまいだ。
あの頃、怒られなかった日はあまりない。
ゼリー1組の先生「あなたが壊したんでしょ!教室のドア!」
金藤 実花沙「ち、違いま…」
ゼリー1組の先生「やっただろ!!!」
金藤 実花沙「ご、ごめんなさい…」
本当は違うのに「私がやりました」と言わないと地獄から抜け出せない。
金藤 実花沙「やめてよ!!髪を引っ張らないで!!」
後輩「ギャーギャー!」
金藤 実花沙「先生助けて!!」
ゼリー1組の先生「もっと優しくしないと」
金藤 実花沙「!!!」
ゼリー学級の先生はいつも傍観する。
…私のことなんか助けてくれなかった。
クラスメイトA「うわ、あの女、くっせー」
金藤 実花沙「…」
クラスメイトB「うわぁ…、あの人マジで無理…。頭悪いくせによく出しゃばれるよね…」
クラスメイトC「成績悪いのにね〜」
クラスメイトA「あはは!!」
中学生時代のことだ。
みんなに嫌がらせしてたわけじゃないのに…。
クラスメイトに限らず同級生からよく「バカ」とか「ブス」って言われていた。
体育の授業も、グループワークも私だけ仲間外れだった。
…それでも私は…、勉強についていけなくなるのが怖くて足は自然と学校の方へ向けていた。
高校の親友「なんで私たちが部屋の片付けしないといけないの?」
金藤 実花沙「!?」
スキー教室で私たちの班だけが部屋のチェックアウトのやり直しに。やり直したのは私だけ。私の味方だと言っていたあの人は助けてくれなかった。私に責任を押し付けたのだ。
…わかり合える友は高校でできたと喜んでいた。
でも、あの人は私を都合のいいように使っていた。あの人は何もしてくれない。友達だとか言っておいて。当時成績がよかった私をこき使ったんだ…。
「病んでるアピールマジでうざい」
トークのタイムラインにそう書かれていた。悩みはなんでも聞くって言ってくれたのに…。私だって悩みを聞いてアドバイスしてきたのに…!!!
そしてとうとうトークで仲違いをして絶縁した。
…、信じていた人に裏切られたのはすごくショックだった。
そして、前職では誉さんに裏切られた。
建速 誉「私はあなたの味方です!何かあったら私に言ってくださいね!」
金藤 実花沙「はい!」
…あんなに頼りにしてたのに。
建速 誉「どうして田中さんはあなたにそんなこと言ったと思う?」
金藤 実花沙「嘘…」
田中さんというベテランに嫌なことを言われ、社宅で泣きながらトークを送ったあの日。
誉さんは何も対処してくれなかった。
金藤 実花沙「い、嫌だ…!!!」
清鐘 弘鷲「実花沙ちゃん…!!」
建速 誉「ほら、人を安易に信用するから!!」
ドクン!!!
金藤 実花沙「や、やぁ!!!左胸が痛い…!!!」
花都 美彩「ま、まずい!!実花沙!!」
月ノ宮 奏那他「実花沙ちゃんを傷つけないで!!」
地鳴 明吾「実花沙さん!!!」
建速 誉「あんたの歌声聴いて幸せになる人いるの?世界を破滅させるくせに」
金藤 実花沙「あぅっ!?」
そう誉さんに畳み掛けられていく…!!!
金藤 実花沙「私の歌…、いっ…!!」
月ノ宮 奏那他「実花沙ちゃんの歌を馬鹿にしないで!!実花沙ちゃんはあなたのことをすごく信じていたのに!酷い!!」
建速 誉「よかったねー!優しい人たちに囲まれて〜」
金藤 実花沙「私は…、僕…は…、優しく…、されて…、ばっ…か…り…」
花都 美彩「実花沙、それは違う!!逆なんだよ!僕らが実花沙に優しくされてるんだよ!!!」
建速 誉「さて、どーかなー?このクレーマー気質な女が!!」
金藤 実花沙「いやぁぁぁぁあああ!!!!!」
そうだよ、僕は何かおかしなことに気づくとすぐに声を上げる…!だから、鬱陶しく思われたんだ…!!!
月ノ宮 奏那他「実花沙ちゃん!!」
花都 美彩「これ以上喋るな!建速 誉!!!」
金藤 実花沙「他人を信じて…も…」
ほんと僕…、子供みたいに泣きじゃくっちゃって…、
金藤 実花沙「他人を信じても!!!」
清鐘 弘鷲「大丈夫だよ!俺を信じて!!実花沙ちゃん!!!」
はっ…!!!
清鐘 弘鷲「大丈夫…、大丈夫だよ…!!」
金藤 実花沙「弘鷲…さん…?」
清鐘 弘鷲「ん、いい子いい子…、俺が…、俺がついてるよ実花沙ちゃん!俺は…、ここにいるよ」
金藤 実花沙「!!!」
弘鷲さんは抱きしめて頭を撫でてきた…?…この前の歯医者でも似たような言葉…!!
ー俺はここにいるよ、実花沙ちゃんー
金藤 実花沙「は…、ぁ…」
なんだ?この安心感は…!?
…いや、駄目…!!
私は被害者であるのと同時に加害者でもあるのだ。クレヴィーナスになる以前に強気で傲慢に振る舞っていた頃もあるから。それでみんなを悲しませることもあった。
金藤 実花沙「駄目…!!来ないで…!!!」
清鐘 弘鷲「!?」
私は弘鷲さんを押し返す。
金藤 実花沙「私の過去を知ったら失望する…!!!嫌いになる…!!!」
清鐘 弘鷲「え…?」
建速 誉「やましいことでもあるんじゃない?」
金藤 実花沙「!!!」
建速 誉「今!ここで!実花沙さんの過去を読んでみなさいよ!!」
清鐘 弘鷲「実花沙ちゃん…」
金藤 実花沙「あ、あぁ…!!!」
おでこを私のおでこにくっつけて来た…!?
清鐘 弘鷲「ごめんね、君の過去を読ませてもらうよ」
もう駄目!
弘鷲さんの腕力には勝てない…!!
いや…!!!
弘鷲さんが私から離れるに決まってる…!!!
清鐘 弘鷲「…、読んだよ」
金藤 実花沙「!!!」
建速 誉「あらら!どうだった?すんごい傲慢そうでしょ?」
清鐘 弘鷲「…」