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MyTube(まいちゅーぶ)

タイトル:(仮)MyTube(まいちゅーぶ)

▼登場人物
●世久野 真人(よくの まこと):男性。40歳。在宅ワーカー。精神疾患あり。
●鴨目(かもめ)ユリ:女性。30~40代。真人の夢と欲望から生まれた生霊。
●恨む人達:男女含む。20~50代。不特定多数のイメージで。真人を心底恨む。

▼場所設定
●真人の自宅:都内にある一般的なアパートのイメージでOKです。真人の部屋は2階。
●Blade of Desire:お洒落なカクテルバー。ユリの行きつけ。

▼アイテム
●The Path to Real Success:ユリが真人に勧める特別な液体薬。飲んだ人に幻想を見せた上、その幻想を現実化させる効果を秘める。

NAは世久野 真人でよろしくお願い致します。

イントロ〜

あなたは今、生活が大変ですか?
経済的な困窮です。
今、日本は先進国と言われながら貧富の格差が凄まじく、
いっときの古き良き時代と呼ばれた
19世紀のイギリスを彷彿させるような、
金持ちにだけ良い時代…
そうなってる所も密かにあるように思います。
今回はそんな生活苦を味わいながらも、
欲望に走って自分を見失った、ある男性にまつわる不思議なお話。

メインシナリオ〜

ト書き〈自宅で生活苦にあえいでいる〉

俺の名前は世久野 真人(よくの まこと)。
つい先日、母親が他界してしまい、
その前に父親を亡くしていた事から
俺は天涯孤独の身になってしまった。

周りに身寄りは居ない。
たとえ居たとしても経済的援助なんかとても頼めない。
俺は昔から親戚の間ではなぜか疎遠になっており、
もうずっと会わない日々が続いていた。

でも今…

真人「ああ…どうしたら良いんだろう…」

収入グチがすっかり無くなってしまい、俺は働ける所を無くした。

10年ぐらい前に自律神経失調症に罹り、
それが悪化してパニック症にまでなってしまい、
更に躁鬱にまでなってしまった。

何とかその淵から這い出たものの、
またフラッシュバックがやってきて、
「いつあんな状態になるかわからない」
と言う恐怖が常に俺を襲い、
俺はもうまともに世間で働く事ができなくなったのだ。

甘えと捉えられても仕方がないが、
この苦しさは成った本人にしか分からない。
だから理解してくれない彼らとはもう言い争うのもやめ
自分を説明する事もやめ、
俺は少し隠遁する形で世間から距離を置いていた。

つまり在宅ワークをし始めていたのだ。
これなら世間との接点が最小限で済む。
俺はもう対人恐怖の気(け)まで覚えていたのだろうか。

ト書き〈カクテルバー〉

真人「ふぅ。とりあえず終わった、と。…でもこの原稿も、結局は買ってくれないんだろうなぁ誰も」

俺は今、ライティングの仕事をしている。
少し前までは俺の書いた原稿を貰ってくれるクライアントも居たのだが、
最近ではもうすっかりそのクライアントも姿を消し、
収入面から見てアテのない仕事ばかりをしている。
そうせざるを得ないこの虚しさ。

今までの貯金でなんとかやりくりしていたが、
躁鬱病は治ってしまったので障害年金を受け取る事もできず、
俺はジリ貧の形で今後も生活苦を味わう事になる。

真人「これからどうすりゃイイのかな…」

そこで考えたのがYouTuberで、
人前で喋るのは苦手だからVtuberの道は諦め、
YouTubeでアップできる内容のものばかりを作成していた。

どんなものが売れるか?人気が出るか?
それを自分なりに調べながら何とか集客に努めていたが、
やっぱり俺はこの道の素人。

全く成果が表れず、視聴回数はみんなヒトケタ。
チャンネル登録数も100人に満たない程で、
このYouTubeの道もそのうち閉ざされるのか…
そんな事を思いながらやっぱり浮かない気持ちでいた。

真人「はぁ。もうイイや。どうなったって良い…。ちょっと飲みにでも行くか!」

俺はやや自暴自棄になってしまい、生活を少し諦め、
その日は飲みに行く事にした。なけなしの金を持って。

そうして少し前まで通っていた飲屋街へ来てみると…

真人「あれ?こんな店あったんだ」

新しい店が建っているのに気づいた。
名前は『Blade of Desire』。
なかなか綺麗な店で居心地も良さそうで、
俺はそこに入りカウンターについて1人飲んでいた。

そしていつものように愚痴を吐きながら飲んでいると…

ユリ「ウフ、お1人ですか?もしよければご一緒しません?」

と割と綺麗な姉ちゃんが声をかけてきた。

彼女の名前は鴨目ユリさんと言って、
都内でライフコーチやメンタルヒーラーの仕事をしていると言う。
にしても女1人で来てるのに、こんな俺に声をかけてくるとは。

少し珍しさもあり、またそんな時でもあって
話し相手が欲しいと思っていたのもあり、
俺は隣の席をすぐにあけて彼女を迎え、
それから改めて簡単な自己紹介をし合って、
世間話から談笑まで楽しんでいた。

でもその談笑は自然な流れで悩み相談のような形になり、
俺は今の自分の悩みを全て彼女に打ち明けていた。

ユリ「え?そんなにご生活が大変なんですか?」

真人「え、ええ、まぁw両親が他界してしまって、僕も天涯孤独の身で、おまけにこんな病気も抱えちゃって。まともに働く事もできなくて、ジリ貧の形できっとそのうち果てます…」

俺は今の生活をなるべくストレートに彼女に話した。

ユリ「そうなんですか。それは大変ですね」

少し話していて気づいたが、
彼女にはなんだか不思議な魅力があった。

まず結構キレイな人なのに、恋愛感情がまるで湧かない。 
代わりに自分の事をもっとよく知って貰いたいと思い、
今のこの悩みをどうしても彼女に解決してほしい…
その思い一色に染められていく。

彼女のどこかに懐かしさを感じたからだろうか。
「昔、1度どこかで会った事のある人?」
そんな印象がひと目見た時からストレートに伝わってきて、
何となく身内の感じもしながら、
「助けて欲しい」と言う思いのほうが膨らんでいく。

そんな気持ちで彼女に自分の事を伝えたところ…

ユリ「分かりました、良いでしょう。ここでこうしてお会いできたのも何かのご縁です。私がお力になって差し上げましょうか?」

そう言って彼女は持っていたバッグから
1本の栄養ドリンクのようなものを取り出し、
それを俺に勧めてこう言ってきた。

ユリ「ぜひこちらをどうぞ、お試し下さい。これは『The Path to Real Success』と言う特別なドリンクでして、これを飲めばきっとあなたの仕事は成功します。先ほどYouTuberになられたとおっしゃってましたね?その道で成功を掴んでも良いでしょう。あ、ついでにこちらもどうぞ』

そんな信じられない事を言いながらも彼女は
またバッグの中から今度はメモリーカードを取り出してきて、
それを俺に差し出しこう言った。

ユリ「こちらも無料で差し上げます。そのカードの中にはあらかじめ当社で用意したYouTubeチャンネルが保存されています。運営の権利はあなたに譲渡されますのでご安心を。ぜひそのチャンネルを利用され、これまでアップしてきた動画、そしてこれからアップしようと思っている動画を今度はそのチャンネルで反映させてみて下さい」

ユリ「それだけであなたが今理想に描いておられる成功は、仕事面でも確実にその手にできるでしょう。騙されたと思って、ぜひいちどお試し下さい」

3つ目に彼女に対する不思議を思ったのはこの時だ。
他の人から言われても絶対信じない事でも、
彼女に言われると信じてしまう。
俺はその場で勧められたドリンクを一気に飲み干し、
差し出されたメモリーカードを受け取って家に帰った。

ト書き〈成功〉

真人「す…すごい」

本当にびっくりした。
メモリカードに保存していたYouTubeチャンネルを開いてみたら、
登録者数はなんと100万人を超えている。

そして試しに1本の動画をアップしてみたところ、
瞬く間の内に視聴回数が増えてゆき、
「いいね」の数も1万を超えてしまった。

真人「う…うは…!wすげぇ、こりゃすげぇぞ!」

YouTuberでも人気が出ればそれなりに稼げる。
その人気によっては本当に億万長者になれるのも夢じゃない。

それを俺は現実で経験してしまい、
これまでしてきた在宅ワークの原稿書きなどそっちのけにして、
もっぱらYouTube管理に没頭していた。

ト書き〈数ヵ月後〉

でもそれから数ヵ月後の事。

真人「…なんか、ちょっとずつ視聴回数もグッドボタンも減ってきてんのかな…」

何となく人気が落ち始めたような気がした。
始めは凄かったのに、やはり俺が管理するようになってから
人気が落ち始めたように思えた。

真人「やっぱり俺じゃダメなのかよ!くそ!これ、前に管理してた人はよっぽど凄い人だったんだろうな」

どうすれば人気が出るか?
そればかりを改めて俺は本気で考え出した。

でも思いつかず、
他のチャンネルと似たようなものばかりになってしまい、
この俺が管理してる以上は他のサイトに人気も何もかも取られてしまう。
それが目に見えている気がして、またやる気がなくなってしまった。

真人「…そうだ。あの店にまた行ってみようか…」

「どうにかなるかも」と思うその勢いで、
俺は又あのバーへ駆け込む事にした。

ト書き〈カクテルバー〉

真人「あ、居た!ユリさん!」

前に来たあのバーへ入ってみたところ、
前と同じ席に座って飲んでるユリさんを見つけた。
俺はすぐ彼女の元へ駆け寄り今の状況を事細かく伝え、
どうすればもっと成功の道を歩めるか?
その事を彼女に無心するように訊いていた。

すると彼女は…

ユリ「フフ、そりゃやっぱり皆が見たいと思う動画、興味を少しでも引くものを用意しなければ。そうですねぇ、例えば最近、日本の現代人に人気があるものと言えば他人の不幸…かしら?」

真人「え?…不幸?」

ユリ「ええ。人間誰しも他人のプライベートを覗き見て、そこに不幸があれば一瞬『自分の優越』を感じるもので、その瞬間を連続して味わいたい…と思うその心が、人の不幸を喜ぶ人間に変えてしまうようです。現代人にはなぜかそういう人が多いようですね」

ユリ「もちろん逆の場合もありまして、感動エピソードや仄々とした内容のもの、日常の細かな幸せばかりを集めたほっこり動画なんかも人気はあります。でもそういう動画を作って人気が出るまでにはそれなりのキャリアも必要らしく、動画を作る際のテクニックも必要になるでしょう」

ユリ「まぁどちらを選ぶかはその人次第ですが、私は感動エピソードや、人の役に立つ動画を作る事をお勧めします。更に興味を引いて人気を集め、それをそのまま収益に繋げるのは時間がかかるかもしれませんが、コツコツやっていくのに越した事はありません」

誰がやっても、いちど人気の出たサイトは必ず衰退の道を歩むもの。
彼女は前提としてそう言ったようで、
それで生活して行けなければ他の道を探す…
その事も同時に俺に教えていた。

でもいちど人気が出て、あんな莫大な収益を得てしまっていた俺は、
もう他の道を探すのは嫌だった。
これまでの就活への苦労もあった。

真人「…わかりました、なるほどですね…」

ト書き〈自宅〉

一応その場では体裁を繕っておき、俺は家に帰って早速、
他人の不幸や世間を騒がすテーマを題材にした
少しダークな動画を作り始めた。

そしてそれをアップしてみると…

真人「う…うははwやっぱり凄いや。こう言うのをこいつらは求めてるんだ…w」

徐々にまた人気を盛り返し、それから数日、数週間してみると、
チャンネル登録者数は倍近くに増えており、
「いいね」の数もメチャクチャ増えてくれていた。

真人「ハッハッハwこれだよぉ!これが俺の求めた億万長者の生活だ!」

決して億万長者と言うほど稼げはしなかったが、
それでも独身生活を満喫するには充分な収益。

「これなら結婚もできるかもしれない!?」
なんてずっと諦めてきた結婚への夢も羽ばたき始め、
俺の生活・人生は180度変わったのだ。

ト書き〈トラブル〉

でもそれから間もなくしてトラブルがやってきた。

真人「ま、またかよ…。どっから俺の情報が漏れてんだ…?」

俺の住所宛に脅迫の手紙が送られてきたり、
俺の携帯や電子メールのアドレスに嫌がらせメール、
そして同じく脅迫メールがどんどん届き始めた。

このチャンネルで俺は自分の個人情報など一切載せていない。
なのに一体どこから。

脅迫と言ってもその内容は恨みに近いもので、
おそらく俺が動画のネタにしたそいつらからのメールや手紙?

ト書き〈カクテルバー〉

俺は少し気が気じゃなくなり、
今のやり方を改めなきゃならないと自分に言い聞かせつつ、
とりあえず今のこの心を安定させようと
俺は又あのカクテルバーへ走り込んでいた。

するとまた前と同じ席に座って飲んでいるユリさんを見つけた。

彼女を見ると、どうしても自分の悩みを打ち明けたくなる。

真人「ホントにもう、面白ない気持ちで一杯です。ユリさんにも言われていたのに、僕があんな動画を載せたばっかりに恨みを買う事になってしまって…。もしかしたら僕、殺されちゃうかもしれません。ね、ねぇユリさん、僕一体どうしたら…」

俺は自分のしてきた事を反省する内に、
本当にとんでもない事をしでかしたのか…と言う気持ちになり、
この窮地をどうすれば脱する事ができるか?
そればかりをまたユリさんに無心していた。

ユリ「そうでしたか。まぁ他人の不幸をネタにすれば、そうなるのは本来当然の事。あなたもこれを機に1つの勉強として、今後はやはりそう言う事をしないほうが良いようですね。私も唆かすような事を言ってしまってすみませんでした。あんな事を言うべきじゃありませんでしたね」

ユリ「分かりました。今のあなたのその状況は、私にも責任の一端(いったん)があります。今回ばかりは私にも落ち度があったので、私がその悩みを解決してあげましょう」

そう言って彼女はその場で指をパチンと鳴らした。
そして…

ユリ「はい♪これで悩みは解決しました。あなたがこれまで迷惑をかけてきたそのユーザー達は、あなたが他人の不幸を題材にして作ってきたその動画の事を皆忘れています。私が今彼らの記憶をそのように消してあげましたから。またその動画を見てもその度、その記憶は消される事になるでしょう。もうあなたはそれで悩む事はありません」

真人「……は、はあ?」

ユリ「フフ、当然、信じられないのは分かります。でも信じて下さい。私が言った事は絶対です。この前の事を思い出してみれば解るでしょう?あなたには解る筈です」

「この前の事」とは、俺があのメモリーカードを受け取って、
それからすぐYouTuberの道で成功した時の事。

確かに彼女を信じて行動すればそれなりの報酬が得られ、
その報酬は今の俺にとって莫大なものだった。
実は俺の貯金もそれまでに比べて3倍ほどになっており、
彼女が言う事はその通りだと思える。

そしてまたあの不思議な感覚に襲われ、
彼女の言った事なら絶対本当だ…
彼女に言われると信じてしまう…
その状態になり、俺はそれから黙って自宅に帰り、
それまでの日常生活をそのまま続けていた。

ト書き〈数ヵ月後〉

それから数ヵ月後。
俺は無事だった。

彼女が言った通り、本当にあれ以来、
嫌がらせメールも脅迫・恨みを載せた手紙もやってこず、
俺はYouTuberとしてその後も穏便に暮らせていた。

真人「やっぱり彼女の言った通りだ…」

俺はその時どこかで安心したようで…

「もしまた同じような窮地に陥ったら彼女に頼めば良い。彼女ならいつでも必ず俺を助けてくれる」

そんな思いが芽生えてしまい、そして又…

真人「フフ…グフフ…じゃぁ、まぁたちょっくら、やらせてもらっちゃおっかなぁ〜♪」

といたずら心に火がつくように
俺はまた他人の不幸をネタにした動画、
世間をできるだけ騒がせるようなアウトローな内容の動画を量産し始め、
それをどんどん自分のサイトに載せて拡散していった。

するとまた瞬く間の内に集客できて、
俺はまるで時の人になったかのように輝いた。

真人「すげぇ…すげえぞやっぱり!w」

ト書き〈トラブル2〉

でもやっぱり案の定、トラブルがやってきた。

真人「…フンwまぁたやってきやがったかぁwなぁにが『私の不幸を題材にしてそんなに面白いんですか!?』『名誉棄損で訴えてやる』だよw出来るモンならやってみろっつんだよ♪俺にゃあの人が居ていつでも助けてくれるんだからな〜」

そしてとりあえず早めに対処しようと
俺はルンルン気分で部屋を出て、
またあのカクテルバーへ駆け込んでいた。

するとやっぱり…

真人「あ、居た居た♪ユ〜リさぁ〜ん♪ちょっとお願いがあるんですけど〜」

俺は前と180度姿勢を変えて、
前と同じ事をユリさんに頼み込んでいた。
「どうか、奴らの記憶を消して下さい」なんて。

ト書き〈カクテルバーからオチ〉

でも彼女はそこで、まるで耳を疑うような事を言ってきたのだ。

ユリ「あなた、どうやら味を占めちゃったみたいね。いつでも私に助けて貰えると、本気で思ってたの?私が間違った事をあなたに勧めたのは1回だけ。だから私が助けるのも1回限り。もう保険はありませんよ?」

真人「…は?ちょ、何言ってんですか?」

ユリ「あなたはどうも欲望の虜になってしまったみたい。そんなあなたを助けるのは私の仕事じゃありません。今のそんなあなたに対する私の本業はコレです」

そう言ってまたユリがパチンと指を鳴らした瞬間、
俺の周りの空気が少し動いた気がした。

ユリ「フフ、あなた、やっぱり死ぬわ。まさかこれだけ多くの人から恨みを買ってたなんて、幾ら私でもこんな大人数に対処する事はできません。あなたを恨む人から、あなた自身が殺されると言う事。さぁおウチに帰りなさい。そしてその粛清の時を待つ事ね」

彼女が話し終わった瞬間、俺は一旦意識が飛んだようで、
次に目覚めたのは俺の部屋。

(オチ)

真人「うう…なんだ?俺、寝てたのか…?」

俺はリビングで雑魚寝していたようで、
それからむくりと起きて洗面台まで顔を洗いに行こうとした。
その時…

恨む人(男)「おいゴラァ!!開けろやゴラァ!!」

恨む人(女)「絶対許さない!!アンタなんか私が殺してやるわ!!」

真人「ひぃっ!!な、な、なんだよ一体!?」

俺の部屋の外には大人数が集まっていたようで、
その大人数が俺の部屋のドアをバンバン叩きながら
俺が出てくるのを今か今かと待っている。

そこで俺は一瞬にして思い出し…

真人「ヤ…ヤベェ!こ、殺されちまう!」

なんとかこの窮地を抜けようと警察に電話した。
でも繋がらない。
電話線が切られていたようだ。
そして不思議な事に、携帯も電波が届かない状態になっている。

真人「な、なんでだよぉ!なんだよこれえ!?」

していると俺の2階の部屋のベランダ側の窓ガラスが割れ…

恨む人(男女)「殺してやるぅ!!!」

真人「うわっ、うわあぁあぁあ!!!」

俺は滅多刺しにやられちまったようだ。

ト書き〈アパートを外から眺めながら〉

ユリ「ふぅ、結局こうなっちゃったか。私があの欲望を勧めたのはワザとよ。あなたがどっちを選ぶか、試してみたの。あなたにはどちらかを選ぶ選択肢があったのに関わらず、結局、迷う事なく悪の道に進んで行った。それは私の責任じゃなく、あなた自身の責任だったのよ?そんな事も解らなくなってたなんて、よほど欲望の虜になっちゃってたようね」

ユリ「私は真人の夢と欲望から生まれた生霊。その理想を叶えようとしてあげたけど、彼の欲望のほうが凄まじかった。結局理想を食べる形で欲望が、彼自身まで呑み込んじゃったようね」

ユリ「私が勧めたあの液体薬は、彼に幻想を見せた上、その幻想を現実化させるもの。…時すでに遅し。自分がした事を今こそ反省し、その自分がどれだけ罪深ったか。それを思い知ると良いわ。…人の不幸をネタにするなんて、もし自分がされたらどう思うのか。そんな事は本来、人がするべき事じゃないわよね。欲望は、こんな当たり前の事も解らなくさせるのよ」

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