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トイレの精か霊

タイトル:トイレの精か霊

私はある日、暗い公園を歩いていた。
もうすぐ家に着くと言う時に、猛烈な尿意が襲ってきた。

「くっそ〜!もうダメだわ!我慢できない!どっかにトイレないかしら!?」

まさか女だてらに、そこら辺でするわけにもいかない。
とにかくどこかにトイレはないものか??
それだけに全神経を集中させ、私は辺りを見回った。すると…

「あ!!あったぁ!!」

公園を少し奥に行ったところに公衆便所があった。
「助かったあ〜〜!」と歓喜に震えながらトイレまで駆け込む私。でも…

「ゔっ…!なにこれ、くっさぁ〜〜」

強烈なアンモニア臭が充満している。
まぁ公衆トイレと言えば
こんなものなのかもしれないけど、
でも女子トイレでこんなに臭いのは異様だ。

でも自然現象には勝てず、
とりあえず全部のボックスが空いていたので
私はその内の1つを選び、そこに入って用を足す。

「ふう〜〜〜」
全身の緊張がほぐされるように快楽に包まれる私。
でもその直後だった。

「…え?」
私はすぐさまボックス内で辺りを見回す。
誰かの声が聞こえた気がした。

「……気のせいよね…」

そしてまた自分の時を過ごそうと
日常に戻ろうとした時…

「えっ!?お、おう?!な、な、なに!?」

便器が一瞬、盛り上がったような感じがし、
便座がガタン!と揺れたあと、
おぞましい光景を目の当たりにした。

「ぎょええええええ!!!」
半径1キロ四方に響き渡るほどの私の悲鳴。

いきなりトイレの床から水柱のようなものが立ち、
中から人の形が現れ、それが女の人の姿になって、
私のほうをじっと見てくる。
水がその人の周りに溢れかえるように
ずっとバシャバシャ音を立てながら
その人を包み込んでるようだった。

トイレの精か霊「私は昨日、あなたに助けていただいたトイレの流し用の水です。あなたにお礼をするた………………ん?」

トイレの精か霊「あ、アンタじゃないわ。もっとピチピチして若くて可愛らしい子だったわ確か。そんじゃね」

そう言ってふっと消えた。
辺りを見回しても水で濡れている所は1つもない。

「……………」

一瞬にして凄まじいことが起きたので、
私はそれからしばらく訳がわからなかった。
とにかくすぐにそのトイレを出て、家路につく。

そして少しした後、
2つの疑問と1つの感情が残った。

「助けてもらったトイレの流し用の水」って、
どうやって助けるのよ…?
もし助けた本人が私だったら、どんなご褒美をくれたの?
…もっと若くてピチピチした子って、
私はその2つにことごとく当てはまらないとでも言うのか。ちょっとむかつくじゃない。

この3つ。

これは数週間前の話。
それからあのトイレに何度か行ったが、
水まみれの霊はもう現れなかった。
もっとちゃんと確認するようにでもなったんだろうか。

動画はこちら(^^♪
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