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コンビニでの事

タイトル:(仮)コンビニでの事

▼登場人物
●岡田静子(おかだ しずこ):女性。45歳。専業主婦だった。夫は数年前に事故で他界。
●岡田由里香(おかだ ゆりか):女性。享年19歳。静子の一人娘。ある事件がきっかけで自ら他界。
●山田博則(やまだ ひろのり):男性。コンビニ店員。
●他のコンビニ店員:男女含め一般的なイメージでOKです。20~30代。

▼場所設定
●岡田宅:一般的な戸建て住宅のイメージでお願いします。
●コンビニ:一般的なイメージでOKです。
●街中:コンビニまでの道などこちらも一般的なイメージで。

NAは岡田静子でよろしくお願いいたします。
(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=2943字)

イントロ〜

皆さんこんにちは。
ところで皆さんは、1度でも
人生のどん底を味わった事はありますか?
つまり辛い経験。
今回はそんなどん底を味わった
ある家族にまつわる意味怖エピソード。

メインシナリオ〜

ト書き〈買い物へ行きながら〉

私の名前は岡田静子(おかだ しずこ)。
今年45歳になる専業主婦だった。
「だった」と言うのは、私はもう主婦ではないからだ。

数年前、私の家族は本当に幸せだった。
愛する夫が居てくれて、愛する娘が居てくれた。
でも2人とも、あっと言う間にこの世を去った。

私の元から去ってしまって、今、私は一人ぼっちだ。

そんな私に残されたのはただ1つの目的。
その目的だけが生き甲斐になり、
その目的の為に私は今、心を昂らせている。

(バッグから娘と夫の写真を取り出して)

静子「由里香ちゃん…もうママの所には戻ってこないのね。わかってるけど、でも戻ってきて欲しい。もしそれがどうしても無理なら、ママがあなたの所へ行くから少し待っててね…」

私は娘の写真をバッグから取り出しそう呟いた。
そして夫の写真を同じように取り出し…

静子「あなた、もう少し待ってて下さい。この計画をちゃんと終えたら私、あなたと由里香の所へ必ず行きますから…」

そう呟いてまた歩き出す。

夫は数年前に事故で他界した。
その時は私も娘も心の底から悲しんだ。
でもなんとか2人で生きて行こうと慰め合い、
また残された自分達の人生を歩もうとしていた。

でもその娘も数日前に自らこの世を去ってしまった。
1枚の置き手紙をして。
これが娘の遺書だった。

確かに由香里は少し人を信じ過ぎる所があった。
だからあんな迎えなくても良い最期を
迎える事になってしまったんだ。

私は今日のご飯の買い物をする為、
とりあえず最寄りのコンビニへ来ていた。

ここは娘がよく利用していたコンビニ。
ここに来れば少しでも娘のぬくもりに会える気がして、
私はあれからずっとここへ来ている。

山田「あ、こんにちは〜。今日の晩御飯のお買い物ですか?」

静子「あ、こんにちは。ええそうなんです」

いつも通り、店員さんと挨拶を交わす。
ここの店員さんも由里香の事は知ってくれていて、
特にこの山田さんは娘と仲が良かった。

時には廃棄になった商品を娘にくれる事もあり、
「これ、由里香ちゃんの好きなモンブランだよ♪よかったら食べて」
なんて気前の良い事も言ってくれた。

でも今思えば…

静子「(この店に来なきゃよかったのに、そんな物もらわなきゃよかったのに…)」

この思いで一杯になる。

ト書き〈静子のこれまで〉

私は娘が亡くなる以前、
このコンビには1度も来た事がない。

娘が亡くなってから初めて訪れるようになり、
それも娘のぬくもりを追う傍らで、
この店の事がもっと知りたいと思うようになったから。

(コンビニにて)

静子「今日は山田さん来ておられませんか?」

店員「あ、今日は入ってないですねー」

静子「そうですか分かりました」

(別日)

静子「あ、今日は山田さんおられますか?」

店員「今日は来てますよー。あ、でも今ちょっと出てまして」

静子「そうですか」

何曜日にどの店員さんが居るのかも、
何度もここへ来る内に段々わかってきた。

そして家に帰り私は…

静子「あなた、由里香、少しだけ待っててね。私もそろそろあなた達のそばへ行くから」

そう言って最近では毎日、
夫と由里香の写真を見て呟いていた。

ト書き〈復讐開始〉

そして心を決めて私は夜に家を出た。
随分遅い時間だ。

もうこの家に帰ってくる事はないだろう。
あえて部屋の中はそのままにしておいた。
私達家族の温もりはまだあの家にずっとあるからだ。
そう信じて。

そして私はまたコンビニへ来ていた。
娘がよく利用していたこのコンビニ。
遅い時間だからかちょうど客は1人も居なかった。

そこで私はその日店に居た山田さんに挨拶した後、
目を盗み、モンブランとショートケーキを万引きした。
どちらも由里香が大好きだったスイーツだ。

山田「あ!ちょっと何やってんですか!」

早速、山田さんが飛んできて私の腕を掴んだ。

山田「幾らあなたでもこんな事をされちゃ見逃せません。ちょっと奥まで来て頂けますか」

そう言って山田さんはカウンター奥の
小さな事務所のような部屋に私を連れ込んだ。
そしてドアを閉め、鍵を閉めた。
おそらくあの時と同じなんだろう。

そして山田さんが私に向かって何か言う前に、
私はバッグから刃物を取り出し山田さんに遅いかかった。

解説〜

今回は、解る人には途中からピンときた事でしょう。
簡単に解説いたします。

途中、静子は…
「この店に来なきゃよかったのに、そんな物もらわなきゃよかったのに」
と言います。

「そんな物もらわなきゃよかったのに」
と言うのは話の流れから、
由里香が山田から貰った物を指していますね。
それは廃棄になった
モンブランや他の商品を指していました。

でもある日、
由里香はそれが理由で万引き犯と疑われました。

廃棄になった商品を渡された後、
まだ店内に居たのだろう由里香は呼びとめられて、
そのまま事務所内へ連れて行かれます。
万引き犯に仕立て上げたのはもちろん山田でした。

由香里はスイーツが大好きでした。
それを餌に由里香は万引き犯にされてしまっていたのでしょう。

そしてそれが理由で由里香は自らこの世を去ってしまいます。
置き手紙にはその内容が書かれてあったのです。

だからこそ、母親である静子は
その一部始終を知っていました。

「確かに由香里は少し人を信じ過ぎる所があった」
と言うのは文字通り何の疑いもなく
由里香が山田を信じてしまった事。

そして、
「あんな迎えなくても良い最期」
と言うのは由里香が選んだ自殺の事でした。

これが数日前の事であり、
まだ警察にも言ってなかった事から
その事件の事は警察も知りません。

通報しなかった理由は、
静子が自ら山田に制裁を加えようとしていたからです。

「おそらくあの時と同じ」
と言うのは、由里香が襲われた時と同じと言う意味。

ここまでくればもう解るでしょう。

そう、山田は万引き犯に仕立て上げた由里香に対し、
事務所に連れ込んだ上、良からぬ事をしていた訳です。

言わば静子にとって、山田は娘の仇(かたき)でした。
つまり静子に残された「ただ1つの目的」とは
この山田に対する復讐の事。

その為、それまで来た事もなかったそのコンビニへ
わざわざ出向くようになっていました。

コンビニへ来るようになったのは娘が亡くなった後。
つまり全ては復讐の為、その準備の為だったのです。

娘の身に起きたシチュエーションをワザと作り上げる為
わざわざ夜中にコンビニへ来て静子は万引きをします。

コンビニへ何度も静子が訪れていた理由は、
どの曜日にどの店員が来ているのかを知る為。
つまりシフト内容を調べる為でした。

だから山田がこの日の夜勤に就いていたのを
静子はあらかじめ知っていたのです。

そして日中ではなく夜勤を選んだ理由も
他の店員が居ないよう計らう為。
客も居らず店員も居なければ、
復讐を邪魔する人は居ないですからね。

娘を襲った山田を、否応なく刃物で襲った静子。

「あなた、由里香、少しだけ待っててね。私もそろそろあなた達のそばへ行くから」

こう言ってた事から、静子は山田を殺した後、
自分もそこで自決するつもりだったのでしょう。
なんとも痛ましいエピソードです。

この後の惨劇は皆さんの想像にお任せいたします。

動画はこちら(^^♪
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