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[プロジェクト立ち上げKeynote.3] ある業界の変革の好事例:企業の働き方改革の足跡


3-1. チャートの紹介と説明

チャート

まずは、上記のチャートをご確認いただければと思います。
(少々文字が小さいですが、画像クリックで拡大いただけます。また適宜、「名前を付けて画像を保存」で別ファイルにしてお好みの大きさにしていただけますと幸いです。)

実は、でもないのですが、自分はプロとして役者をめざす道のりを歩みながら、生計維持のため事務系の派遣社員として長らく従事しており、一部上場企業にも複数社就業してきました(役者としての成果がそれほど挙がっていない現れなので、何の自慢にもなりませんが。。)。
そのため、企業の労働環境の今昔について、身をもって知っている部分が多いです。

オフィスワーク系の企業の働き方の不良さとその改善は、オフィスにおける労働環境の長らくの課題でした。
ですが、2021年現在の結果から申しますと、在宅勤務、リモートワークの広範な運用という形で、大きな環境改善が果たされるに至っています。

この事例は、課題~成果の獲得までの足跡を逆引きで追う事もできますので、企業の働き方改革の足跡を、「ある業界の変革の好事例」として紹介したいと思います。
(※注 この事例では、「働き方改革」の解決策としてリモートワークを採用していますが、稽古の仕方改革にあたっては、必ずしも「リモート稽古」を推奨しようという意図はありません。具体的手段はさておき、「ある業界が、課題をどう解決したか」の一例とご理解いただければと思います。)

3-2. 約10年前 – 実は問題だらけだった労働環境

・・ほんの10年ほど前まで、企業の労働環境はお世辞にも良好とは言えないものでした。結果として、様々な弊害が起こっていました。
精神的・肉体的な負担が大きく、心の病で休職・退職を余儀なくされる方は今よりかなり多かった実感ですし、
もっと全体を覆う事象として、朝早く出勤して夜帰る時間も遅い、という状況がかなり一般的で、平日は、自宅で「豊かな日常」と呼べるような生活は見込めないというのが、本当に当たり前でした。

そうした様々な弊害の大きな要因は、オフィスワークの殆どすべてのフェーズが、オフィスでないと行えない(行えたとしても、とても非効率)という部分にあったと言えると思います。
そうした状況を憂慮して、改善しようという動きが図られたのは、ある意味当然の流れだったように(今思うと)振り返られます。
改善の足跡を以下にまとめますので、引き続きチャートをご覧いただきながらお読みいただければと思います。

3-3. 働き方改革の足跡

◇上述のように、良好でない労働環境を憂慮し、労働者への過剰な負担を軽減できないかという試み=仮説は、当初は「負担を軽減できないだろうか」という漠然とした問題意識があるのみで、具体的にどんな方法が採れるかについては暗中模索であったであろうと想像されます。
<チャート左側、【仮説:第1段階】>

◇そもそも10年程前は、物理的にオフィスでないと仕事ができないのが実情でした。
自分が約10年前派遣で勤めていた上場企業でも、社員に配備されるパソコンはほぼ100%デスクトップPC、ネットは有線接続という状況で、それはつまり、オフィスでしか仕事ができないことを意味していました。
・・ところが、状況が徐々に変化しはじめます。
ノートPCの性能が向上し、デスクトップPCのスペックと遜色ない製品が世に出始め、またネット環境の面でも、より高速な通信が開発され、かつ通信料金も徐々に低価格化していきました。

労働環境の改善を試みた方々は、当然この辺の技術的進化に関する情報収集を行ったことでしょう。
その結果、「デスクトップ+オフィス板付き」でしか仕事はできないという状況から、脱却可能なのではという新たな仮説を得たものと思われます。
<チャート中央、【PCの技術的進化】【通信環境の進化】から、チャート左側【仮説:第2段階】まで>

ここで一つポイントとして言えることがあります。この新たな仮説は、【仮説:第1段階】の仮説≒問題意識を持つことで得られた、かつ、その問題意識を発端とした情報収集により得られた、状況が一歩進展した更なる仮説だという点です。
問題意識を持ち、何らかの行動をしない事にはたどり着かなかった地点である、という点を強調させていただければと思います。

◇上記までをふまえた段階として、労働環境に明確な変化が表れてきました。
一部の企業において、社員にその必要があった場合などで、在宅勤務が導入され始めてきたことです。
(森も、約7年前に初めて在宅勤務を取り入れている企業に接し、感心したことを覚えています。)
<チャート左側、【得られたフィードバック1】>

◇この段階では、在宅勤務をするかはその日・その都度の必要に応じて都度判断するといった限定的・部分的な運用が殆どでしたが、
それでも、働き方をフレキシブルな方向に転換する様々な可能性が芽吹く変化でした。
そのように、一部の企業が部分的・限定的に運用を開始した在宅勤務でしたが、その効用は、やがてオフィスワークをする業種・業界にあまねく共有されるようになります。
<チャート中央、【在宅勤務が導入可能と判明後の状況の変化】>

◇そして、2021年の現在地はというと…
<↓チャート左側、【得られたフィードバック2】>
パンデミックという外的要因が引き金となったことは事実ですが、非常に多くの人が在宅勤務をするまでに変化しました。もはや、「普及」したという言葉を使って全く差し支えない状況だと思われます。
結果として労働環境は、本当に様々な面で改善が果たされました。

改善されたことの大きなポイントを二つ挙げるとすれば、下記であると分析しています。
◎「通勤+オフィスでの長時間拘束」というかつては一択だった仕事の仕方が、どちらも必須のものではなくなった。
結果として、精神的・肉体的な負担は軽減し、それらが要因だった休職・離職のリスクも低減した。

◎様々な事情で「通勤+オフィスでの(長時間前提の)勤務」ができなかった方々=出産・育児に接する方、介護する方、その他何らかの家庭的・個人的の事情がある方は、旧来の働き方のままでは残念ながら「オフィス勤務はできない」と判断せざるを得ない可能性が高かったが、そうした方々が勤務できる可能性が大幅に向上した。

3-4. 働き方改革の足跡から学びえること

3-3までにまとめました働き方改革の足跡から、何を学びえるのか、まとめたいと思います。
企業の働き方に懸念を感じていた方々は、結果として下記のようなプロセスで改革に成功しています。

▼「状況を改善できないか」という問題意識を持ち、
▼問題改善のための「仮説」を立て、その手段となりうる情報を収集し、
▼情報収集により一定検証を得た、その手段を実績的に試してみて、
▼何らかの進展が少しでもみられたら、その進展した状況からフィードバックを得て、更に状況を変えられる手段がないか、更に情報収集する


問題の所在がどこにあるかも、どう行動すべきかもどちらも明確になる、とてもスマートな方法だと感じます。

一方、もし問題意識にも、問題解決のための手段の模索にも無頓着だった場合、どうなるでしょうか。
「在宅勤務なんて実現できないよ。」 …10年程前まで、こうした事を言う方に何人も接してきました。
そうした意識のままですと、改善策を得るため情報収集をするという行動に至りにくいでしょうし、当然、情報収集から何らかの解決の糸口を見つけるという事も見込みにくいでしょう。
<チャート右側全体、「変化に無頓着な場合/変化を期待しない場合」>

3-5. 演劇界の稽古のあり方が参考にできること

3-4までの内容をお読みになって、既にインスピレーションを受けた方もいらっしゃるのではないかと思います。
ここで改めて稽古の仕方改革に視点を戻し、企業の働き方改革から得られる結論を述べたいと思います。

「稽古の仕方改革」に際して、企業の働き方改革のように、明確な問題意識と具体的かつ有効な手段をもって臨めば、有効と言える新たな方法の糸口が、見つかると思うのです。
逆に、「稽古のあり方は今のままでいいでしょ。」「何も変えられないよ。」という意識のままですと、
これを申し上げるのは残念ですが、何も変わることはなく、上記チャートの「変化に無頓着な場合」のように、稽古の問題点は残存し続ける可能性が高いです。

3-6. まとめ & プロジェクトチームメンバー募集情報へ


・・上記のような考察も経て、稽古の新たな方法を模索するための組織として、「稽古の仕方改革 草の根プロジェクトチーム」を立ち上げようという思いに至ったものです。
それでは、次のセクションにて、当プロジェクトチームが想定している活動や、プロジェクトメンバーの募集情報についてお伝えしたいと思います。

▼NEXT
4. 「稽古の仕方改革 草の根プロジェクトチーム」(第1期Project) メンバー募集につきまして
https://note.com/union_shadows/n/nd19d44f105d7

▼上記以外のINDEX
1. はじめに_稽古の仕方改革の必要性について思うこと & 「稽古の仕方改革 草の根プロジェクトチーム」の立ち上げについて
https://note.com/union_shadows/n/nb8a59097e44b

2. 現状の稽古の仕方に感じられる課題、そこから引き起こされうるマイナス要素、改善された場合に見込まれるプラス要素

https://note.com/union_shadows/n/n6eb8fd66e84a

3. ある業界の変革の好事例:企業の働き方改革の足跡
(このページ)

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