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大河ドラマで注目!渋沢栄一「論語と算盤」紹介

初めに


2021年も年の瀬。大河ドラマ「晴天を衝け」も最終回を迎え、いよいよ年末を感じます。皆さんにとって、今年はどんな一年でしたか?
自分個人の目標に邁進できた人、できなかった人。大きな成功を収めた人、挫折に苦労した人。複雑な毎日を過ごしながらも、新年に向けて思いを馳せていることでしょう。

少し視点をかえて個人ではなく、「日本」に話題を移します。
「日本=オワコン」なんて言葉が叫ばれる今日この頃。少子高齢化は止まらず、コロナの追い討ちは激しい。IT化の遅れ、無限に続くデフレ。巷では「失われた〇十年」なんて言われますが、何年目?っていう話です。この、「なんとなくの停滞感」はいつから続いているんだ?我々大学生周辺世代は生まれてからずっと感じているのかもしれません。

そんな現代社会を生きる我々に個人として、そして市民としての「確かな大方針」を投げかけてくれるのが、今回紹介する名著「論語と算盤」です。日本産業界の父、渋沢栄一の魂の一冊。大河ドラマを見たあなたも、見ていないあなたもぜひこの記事で興味を持ってもらえると嬉しいです!


背景


   ■人物 渋沢栄一について


渋沢栄一(1840(天保11)〜1931(昭和6)年)は幕末から明治・大正・昭和までを生き抜いた実業家です。埼玉の深谷に生まれ育ち、蚕農家の息子として生まれ育ちました。
明治維新以降の大蔵省に入り国政を担うだけではなく、みずほ銀行や東京ガス、東京海上ホールディングス株式会社、帝国ホテル、キリンビールなど、日本を代表する企業の設立に関わったりと活動は多岐に渡りました。また、現在の一橋大学など多くの大学の前身の創設にも関わるなど、人材育成にも力を入れたのも特筆すべき点であると言えるでしょう。日本社会の礎を築いた内の1人といっても過言ではないでしょう。特徴的なのは、多くの企業の経営に携わったにもかかわらず「渋沢〇〇」とはせず、渋沢グループ化をしなかったということ。(渋沢倉庫という企業は例外的に本人の名前が入っています。)
自らの金儲けではなく、あくまでも公益のため。なおかつ実益も追い求める。そんな渋沢の思想は今でも多くの経営者、政治家、思想家などにも大きな影響を与え続けています。

   ■時代背景について


なぜ「論語と算盤」という名前なんだ?相反している概念なのでは?そうお感じになられている方のために、当時の時代背景に関して説明させていただきます。渋沢栄一の幼少期である幕末の時代は社会のインフラが整っておらず、物事の考え方は立派でもお金を稼ぐ力がなく幸せになれない人々が多く存在していました。いわゆる「論語」ばかりの状態。その後、明治維新が成立し、富国強兵の名の下に他国に負けないよう経済を豊かにしようと「算盤」が重視される時代が訪れます。
そんな時代背景の中、渋沢は「論語(=道徳や、仁義など人として大切なものの考え方)」と「算盤(=お金儲けの段取り。やり方。座組みの体系。)」の両立を追い求め成功を成し遂げていきました。なお、渋沢は論語を「古くから伝わり現代でも通じる普遍的なものの考え方」として重宝したようです。無宗教の人が多いとはいえ古来より儒教文化が根強い日本にも馴染みのある考え方だったのかもしれませんね!


    ■章立て

第1章 処世と信条
第2章 立志と学問
第3章 常識と習慣
第4章 仁義と富貴
第5章 理想と迷信
第6章 人格と修養
第7章 算盤と権利
第8章 実業と士道
第9章 教育と情誼
第10章 成敗と運命

2つの概念を渋沢が自らの人生経験、論語の思想の援用により紹介しています。

大胆さ、慎重さ、成功と失敗、身の丈にあうことを淡々とこなすこと。
最近のビジネス書で形を変えて紹介されてそうな内容が並んでいますが、あまりにも美しく普遍的な記述で紹介されています。
一見すると、正論すぎて退屈にも感じられそうな内容ですが、渋沢の生い立ち・あゆみを知った上で読むとより深みを増す言葉ばかりです。

・自分があの時代の日本に生まれたらあそこまで志を高く持てただろう              か、、、、、
・なぜここまで自分を、日本を信じることができたのであろうか?
・なぜこの人はここまでまっすぐかつ合理的なんだろうか?

そんな思いに耽ってしまう人も多いかもしれません。

ただ、渋沢も自らの「やりたいこと」を明確に立てた(=立志)したタイミングは意外にも30代に入ってからだとか。

若き日に悩んだ渋沢栄一の本だからこそ、人生の早い段階で読んでみたいですね!

■おすすめポイント

特に印象的な言葉として以下の文言があります

「自分を磨くのは、退屈ではない」
(第6章 人格と修養 より)

頭でっかちになるのではなく、まずは実際に取り組んでみること。
取り組みの過程を通じて人格を磨いていくこと。

それこそが、古今東西に渡り重要なことなのだと思い起こされた一文でした。

そのほかにも様々な物事の考え方が掲載されているのが「論語と算盤」です。
自分個人としてのあり方、国・世界などの大局観を持ちたい人はぜひ読んでみてください!


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