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根治不可なガン患者がネットで自分の病気を調べることについて

ガン患者自身の立場でネットで自分の病気を色々調べるようになってから感じた落とし穴などを書いていきます。

私は根治不可な悪性脳腫瘍の退形成性星細胞腫のガン患者です。

私は今年の11月のMRI検査で複数個所の再発が判明しました。(赤丸で囲った箇所)

担当医から告げられたのは、「再発した腫瘍の数や場所を総合して、手術や放射線治療といった積極的な標準治療が出来ない。様々な化学治療を併用しなければいけないところまで病状は進行している」という事実でした。

つまり現在の標準医療では再発の場合、アバスチンというガンの進行を一時的にでも抑える薬とテモダールという抗ガン剤を飲みながら少しでも長く生きられるようにする処置しか出来ないということです。

私は自分の病気についてネットでよく調べています。がんセンターのHPはもちろん、闘病ブログで同じガンで最期を看取られるまでの記事など様々です。

その中で感じたのが「ネットでは悪い情報が頭に入りやすい」という点です。

私が再発が判明してから静脈注射されているアバスチンという薬はネットでは「アバスチンはガンには効かない」と大々的に取り上げられています。

私が医師や薬剤師に受けた説明では以下の二点でした。

・アバスチンはガン自体を殺す薬では無く、ガンに繋がっている血管が作られるのを抑える薬

・アバスチンをテモダールと組み合わせることで抗ガン物質がガンに入ることを助ける役目がある


この情報で先行してネットで拡散されているのはアバスチン自体にはガンを殺す力が無く、延命の効果はないということです。

この単語だけ聞くと「じゃあやる意味がないじゃないか!」「高い薬剤費(月七万円)を払って無駄なことをしている」としか思えなくなります。

またアバスチンを始めた悪性神経膠腫の患者様のブログを見ると、その一年後ぐらいには亡くなっている場合が多く、絶望に突き落とされました。

不思議なもので、薬剤師や医師の方に言われた説明より、ネットの悲惨な情報の方が頭に強く刷り込まれます。

腫瘍ができる部位や体質によっても病気の進行具合は人それぞれなのに

どうしても最悪のケースを思い描いてしまいます。

どんどんドツボにハマっていって、何もする気の起きなくなるような「鬱」のような状態になってしまいます。

自分の病気のことを知りたくなるのは私を含め、しょうがないことなのかもしれませんが、余り根を詰めて調べてしまうと折角まだ生きている時間を暗く沈んたものに変えてしまうのかもしれません。

中にはそんな方の絶望に付け込んで怪しい民間療法に誘導する記事もネットでは散見しています。

通常の精神状態なら詐欺なのだと理解できますが、藁にも縋りたいような状態ではそれらに手を出す可能性は十分考えられます。

だから、もし根治不可なガンが発見された場合は、安易にネットの記事を鵜呑みにせずに医師と協力して病気と闘って下さい。

先進医療についても、聞こえはいいですが、まだ治療効果が実証されていないので医師と十分相談の上で試してみてはいかがでしょうか?

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