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東京ディズニーシーの作りこみがエグイという話

ポッドキャストの#1でも少し話したのですが、東京ディズニーシー(以下TDS)では世界観の作りこみが尋常ではありません(周知の事実かもですが)。
先日TDSに行く機会があったので改めて観察していたところ、どうやら接合部品にもこだわりがありそうだったのでまとめてみました。
その結果、ネモ船長が本当に天才科学者だということが分かったという話です。

#夏の自由研究

そもそも接合部品とは何か

接合部品とは端的に言うとボルトとナットやリベットといった物のことを指します。
要は金属同士を接合する手法で、ナットなどを用いた「機械的接合」と溶接などの「冶金的接合」があります。


TDSのテーマポートごとの接合部品

ここからは写真を踏まえて見ていこうと思います。

アメリカンウォーターフロント

20世紀初頭のニューヨークがモチーフとなっているエリアです。
ここの鉄橋が見やすかったので、これを見ていきます。

エレクトリックレールウェイの鉄橋

で、接合部品としてはリベットが多用されているのが見て取れます。
(橋の部材に規則的についている点のようなものがそう)

リベット接合は、あらかじめ穴をあけておいた金属板に1000℃くらいに熱したリベットを通し、先端をつぶすことで接合する方法です。
以前は鉄橋や航空機に使用されていましたが、重量が増加したり、空気力学的によろしくなかったり、見た目が悪かったりして現在ではあまり使用されなくなりました。

ホテルハイタワー(タワーオブテラーのホテル)のツアー開始が1912年だったはずなのでざっと100年前に作られたと思われます(設定ね、設定)。
現在リベットの代わりに多く使用されている高力ボルトはだいたい1930年頃、溶接が1880年頃から使用されていることを考えると100年前のニューヨークの街並みとしてはリベット(と溶接)が使用されているのはごく自然であると言えます。


ロストリバーデルタ

1930年代の古代文明発掘現場をモチーフにしたテーマポートです。

一応アメリカンウォーターフロントよりは後の時代ではありますが、発掘現場ということもあってありあわせの物で作っている感が凄いです。

ロストリバーデルタの四角ナット
ロストリバーデルタの釘

ここで注目すべきは四角ナットを使用しているという点です(上の画像)。皆さんが想像するように普段見かけるナットは六角形がほとんどです。

四角ナットが使用されている理由ですが、個人的には「工具が少なくて済むから」ではないかと思います。

六角ナットの場合、取り付けるにはボルトとナットの両方を固定する工具が必要になります。
対する四角ナットは溝にはめるなどして面や角を固定すればボルトを締めるだけで固定できます。つまり工具の数が半減する訳です。

考古学者たちがジャングルの奥地まで移動する際には荷物は少しでも軽いほうが良いでしょう。
そう考えると工具が少なくて済むというのは魅力的なことと考えられる訳です。

また、釘が多用されているのも同様の理由だと考えています。


ミステリアスアイランド

個人的にも大好きなテーマポート、ミステリアスアイランドですが正直ここはかなりぶっ飛んでいます。

引用:【公式】ミステリアスアイランドに関するちょっと細かいストーリー:その2|東京ディズニーリゾート・ブログ | 東京ディズニーリゾート,https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/210730/,閲覧日2022年7月21日

ミステリアスアイランドは画像の肖像画に描かれているネモ船長が火山島に築いた秘密基地という設定です。
そういう訳なので火山島に人の手を加えたような部分が多く見られます。

海底2万マイルの乗り場直前の天井

この写真は海底2万マイルの乗り場直前の人数聞かれるところの天井です。

一見するとアーチ状の部材をボルトで固定しているだけに見えます。
ただ、この場所が問題なのです。

引用:【公式】ミステリアスアイランドに関するちょっと細かいストーリー:その2|東京ディズニーリゾート・ブログ | 東京ディズニーリゾート,https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/210730/,閲覧日2022年7月21日

この場所はスロープをぐるぐる回りながら到着する、歩道より下の場所(写真で言うところの右下の奥の方)なのです。

地中に短いトンネルを掘って、そこを補強しているわけですが果たして通常のボルトで耐えられるのでしょうか?

これは個人の勝手な想像に過ぎませんが、ここで使用されているのは高力ボルトなのではないでしょうか。

ここでアメリカンウォーターフロントの時に述べたことを思い出してほしいのですが、高力ボルトは1930年頃から使われだした技術です。
そしてミステリアスアイランドは1870年頃の設定です。

そうです、アメリカンウォーターフロントの1912年よりも時代が古いのです。
つまりネモ船長はミステリアスアイランドの基地を建設した際に少なくとも60年は進んだ技術を有していたことになります。

ただ、これで驚いてはいけません。もっと凄いものがあります。


ノーチラス号

引用:【公式】ミステリアスアイランドに関するちょっと細かいストーリー:その2|東京ディズニーリゾート・ブログ | 東京ディズニーリゾート,https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/210730/,閲覧日2022年7月21日

それがこのネモ船長の座乗艦、「ノーチラス号」です。

この潜水艦はネモ船長とその部下以外は乗ることが許されていないらしく、外観を眺めることしかできません(実はパリだと乗れるらしい)。

で、その外観ですが明らかにリベット接合です。

一応WW2の頃まではリベットを使っていた潜水艦があることを考えるとそれ自体はおかしくありません。

ただ問題はその潜航性能です。

我々が乗るネプチューン号

アトラクションの海底2万マイルは途中でクラーケンに襲われたことでコントロールが失われた結果、未知の深海にたどり着くというストーリーです。
この時に注目してほしいのが、窓の上についている2つの計器です。

一方が残り酸素量、もう一方が深度を表しています(知らなかった方、次回乗る際に見てください)。
これらの計器はアトラクションに連動していて、どれくらいの深度にいるのかが分かるようになっているのですが、未知の深海にいる時に深度計の針が振り切れてしまっています。

で、肝心なのがその振り切った深度。
2700mです。

つまり、仮にネプチューン号(アトラクションで乗る潜水艦)がノーチラス号と同等の潜航性能を有していたと仮定すると、ノーチラス号はリベット接合で2700m以上潜ることが可能な潜水艦ということになります。

潜水艦なんだからそれくらい潜れるのではと思ったそこのあなた、現在の軍用潜水艦の潜航深度は400mくらいと言われています。

しんかい6500のような2700m以上潜航できる船もありますが、これが完成したのは1989年なのでネモ船長は日本の科学者より120年ほど早く、しかもリベット接合で2700m以上潜航できるノーチラス号を完成させていたことになります。

ネモ船長、恐ろしい……


まとめ

ここまでの内容をまとめると

  • TDSの作りこみは接合部品にまで及んでいるらしい

  • 接合部品の使用年代とストーリーを合わせて考察したらネモ船長の科学力がとんでもないということが分かった

  • TDSすごい

といったところです。

今回の考察はあくまで個人的に考えた主張なので公式なものでは無いのですが、こういう考察が出来るのもディズニーパークの良いところだと思います。
皆さんもパークに行った際には色々な考察をしてみてはいかがでしょうか?


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