【観戦後の雑感】2024 J2第11節 岡山×熊本

皆さん、こんにちは。
前節で、勝率が50%となった岡山。
うにがしらは、昇格争いのラインとして、勝率50%以上を一つの目安としています。今節は、その目安を考えると何とか勝利が欲しいところでした。
前節の秋田戦と今節の熊本戦の共通点として、「シュート数」、「ゴール期待値」、「ボール奪取位置」が、相手チームを下回ったと言えるでしょう。秋田戦については、全般的に相手に上回られた試合でしたが、今節の熊本戦は、結果的に勝利を掴むことができました。
試合の流れを作る要素として、ホームの雰囲気があり、そこから運が岡山側にあったという面を感じましたが、その中でも「連動性」が、今節はハマった印象があります。
そんな今節を振り返ります。


寸評

試合は、パスワークの熊本と縦に速い岡山という様相で進んだ。
熊本は、そのチームスタイルである流動的なポジションチェンジを軸としたパスワークで岡山陣内に攻め込む。岡山としては、相手コートで試合をするために、熊本の選手を捕まえたいところであったが、熊本の選手のスキルがそれを許さず、岡山はゴール前までボールを運ばれる場面が増える。しかし岡山も最終ラインで人数をそろえると、2024シーズンで見せている堅守をもってゴールを割らせない。
迎えた前半30分、岡山はカウンターを発動。No.8シャビエル→No.88柳貴博→No.9グレイソン→No.19岩渕とつなぎ、最後はNo.6輪笠がゴールし、先制に成功した。この試合、岡山は柳貴博とNo.17末吉が、中央側にポジションを取る形をたびたび取っており、おそらくこの形は、今後の形の一つとして準備してきたものだと思われる。その仕込みが結実したゴールだった。
先制された熊本もすぐに反撃を開始。前半34分には、ゴール前のNo.2の黒木のフリックにNo.13岩下が合わせて、あわや同点の場面の作るが、ボールはゴールを外れてしまう。また前半42分には、No.21豊田のミドルシュートが岡山のゴールポストを叩き、熊本は圧力を高めていく。しかし前半46分、ゴール前の攻防からNo.24藤田息吹→グレイソン→岩渕とつなぎ、岩渕が追加点を決め、岡山は突き放すことに成功する。
後半、熊本がボールを保持し岡山に攻め込む中で、岡山がカウンターでゴールを狙う構図は変わらず。岡山は、攻められる時間が長く苦しい状態であるものの、守備に人数を割くことができるため、冷静に対処していく。
一方で熊本は、選手交代を含め、反発力をより高めることや明確な優位性を作り出すことができず、そのままタイムアップ。
岡山が2-0で勝利した。

岡山で印象に残った選手

No.6 輪笠 祐士
復帰戦で、早速得点。2024ファジは、こういった「ここで、コトが起きると胸熱」というケースが、いつもより起こっているのが良いですね。
やはり、岡山のボランチ陣の中でも守備力が高い選手であり、特に左サイドのカバーで安定性をもたらしていたと思います。また時折見せるループパスは、ビルドアップでボールを下げがちな岡山において、変化を加えてくれそうです。

No.19 岩渕 弘人
とうとう岡山で初得点を記録。そして輪笠選手の得点のアシストも見事でした。決してよくつながるわけではないのですが、様々な場所に顔を出してワンタッチでボールをはたいていくプレーは、2024ファジにおいてやはり重要であることを、この試合で再認識しました。この得点で硬さが取れて、得点が量産されることを期待したいです。

No.49 スベンド ブローダーセン
後半24分の熊本の2連続シュートを防いだセービングは、スーパーでした。本日のクリーンシートは、この人の力で掴み取ったと言って良いでしょう。このタイミングで得点をされてしまうと、試合の行方は、わからなくなっていたと思います。「勝ち点を稼げるGK」を体現する働きでした。

熊本で印象に残った選手

No.21 豊田 歩
前半42分に、ゴールポスト直撃の度肝を抜くシュートを放つ。それだけでなく、あらゆる場所に顔を出し、熊本のパスワークの経由地そしてチームの中心として機能していました。最終ラインから、最前線までポジションを広く行き来するスタミナと正確なパスを供給する能力、そして前述で見せたキック力は、ボランチとして非常に魅力的なものだと思います。

No.24 江崎 巧朗
3CBの真ん中ながら、状況に応じてあらゆるポジションに顔を出していました。前半40分のシュートは、No.18田上がブロックして事なきを得ましたが、岡山にとって非常に危険なプレーだったと思います。押し込む場面、カウンターの場面で、積極的に上がるプレーは魅力的で攻撃力を感じるものですが、後半13分には、No.27木村の強烈なシュートを、ゴールライン上でブロックして失点を防いでおり、CBとしての能力の高さも感じます。

No.9 大本 祐槻
交代するまで、岡山の左サイドを脅かし続けていました。時折見られるクロスが可能性を感じるものだったので、末吉、No.15本山の裏を取る場面は、非常に脅威でした。熊本は、大本選手に限らずですが、ポジションにとらわれず、そのためのスキルを持ち合わせている選手で構成されているので、試合を観ている側も捉えにくいですね。背番号から考えると、本来的にはストライカーなのでしょうか。その能力が発揮される場面を作らせなかったことは、今節の勝因の一つでしょう。

終わりに ー今節の仕掛けが、次節以降も見られるのかー

冒頭に書いた通り、今節は、前節に続き、スタッツ上は、相手を上回れなかった試合でした。しかし得点シーンは、まさに「連動性」が発揮された形だと思います。
この試合、個人的に面白いと思ったのは、チームの組み立てとして2つの要素を入れていたことです。一つは、ボランチが最終ラインに落ちてビルドアップをすること、もう一つは、WBがサイドに張るのではなく、内側に入っていく形を積極的に使っていく形をとっていたことです。この2つの要素から、左右のCB、特に左の本山選手は、大外にポジションを取りつつ、SBのように高いポジションを取っていました。ポジションが流動的なのは、熊本だけではなく岡山も、という試合だったと思います。
特にWBが内側を取る形は、中盤のパスの経由地を増やすという点で、今節では、得点につながりました。前節の結果から、連動性を高めるために中盤の厚みをどのようにもたらすのか?という点が疑問だっただけに、解決の糸口を見た思いです。
ただ、これが対熊本の戦術、あるいは対戦相手が熊本だったから引き出されたのかは気になるところです。WBが内側にポジションを取る点については、今回意図的に行われたものだと思われますが、輪笠選手が最終ラインに入って、本山選手が上がっていくような形が、今後も見られるのか。それは相手のマークを外すことにつながると思いますが、それによって優位性を作ることができるのか。
ここまで書いたことは、2024の開幕から今までもトライしていたことだと思いますが、今節では、それがより頻繁になった印象です。この取り組みについては、今後の注目ポイントになりそうです。

次節は、首位清水との対戦。ここまで積み上げてきたものが通じるか。
楽しみに待ちたいと思います。

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