文末タイトル②
おっ、あかりが点いた。
俺はソワソワして、こっそり辺りを見渡した。やっぱりみんなもソワソワしている。
でも、こういう時は緊張で赤くなったり、青くなったりしては行けない。
真白く、つるんと、気高くツンと。
昨日は隣のヤツが選ばれたから、今日はきっと俺に違いない。
___ついにその時がきた。
頭の上の透明な屋根がパッカリとあき、じっと見つめられる。なんだか、黄身まで見透かされるような気分だ。
あまりの緊張にあやうく白身を飲みかけたところで、頭を掴まれた。初めて感じる浮遊感。そして、選ばれた事への高揚感。
屋根が閉じられる直前、みんなの方振り返ると鬼のような形相で睨まれた。
おいおい、そんなに顔をしかめると割れちまうぞ。
俺は熱々の白米の上で、勝ち誇った顔で笑った。
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【ショートショート】たまご
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