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【単語リクエスト④】雨上がり×鰯

4日ぶりに雨が上がった。

久々に顔を出した太陽がうんと日差しをよこすので、雨の膜が張ったアスファルトに日光が反射して目が痛いほどだった。

さっきたとんだ傘を左手にぶら下げて歩いていると、頭上からパラパラと雨粒が落ちてきた。お天気雨が降ってきたようだ。

お天気雨は虹が出来やすい。足を止めて、日光に照らされてきらきら光る雨をしばらく見ていると、次第にきらきらの中の銀色の光が増してきた。

不思議なことに、銀色の光が強くなると同時に雨粒もどんどん大きくなっているように見えた。

空をじっと見つめていると、目の前をスっと何かが通過りすぎて、足元でぴしゃん、と音がした。まさか、と思って足元を見ると、見間違いではなかった。

鰯だ。

元気な鰯が空から降ってきた。水たまりに落ちた鰯が水面を跳ねている。慌てて空を見上げると、無数の鰯が銀色の鱗を輝かせながら降ってきた。

刺さる…!

そう思って思わず目を閉じた。が、しかし不思議なことに何も起きなかった。そっと目を開けてみると、降ってきた鰯は体に当たる直前でぴちゅんと弾け、銀色に輝く小さな雨粒となってゆっくりと地面に舞っていく。

私の体に当たらず、水たまりに落ちた鰯たちは一度だけ水面を飛び跳ねると、パッと銀色の輝きだけを残して跡形もなく消えていった。

雨の上がった午後に、降ってきたいわし雨。鰯たちのキラキラとした輝きが、まだ目に焼き付いて離れない。

___この日の不思議な出来事は、私だけの小さな銀色の思い出。

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