【夢日記】箱庭
薄暗く、固い地面に立っていた。
見上げると、四角く切り取られた空が見える。私は妹とふたり、どこか地下深くに立っているようだった。
周りを見渡すと、暗い灰色のコンクリートの壁に囲まれている。学校の教室くらいの広さがあるように思うが、圧迫されているようでかなり息苦しい。
どうやら私たちはここから出たいらしい。四角い空を見上げたま、目の前の壁に手をかけた。
苔むした壁一面には、手と足を掛けられるくらいの四角い穴が空いている。その穴に手を入れると、指先が濡れる感触がした。
上へ上へと、しばらく無心で登っていたが、ふと手元を見て驚いた。
そこには世界があった。
四角い穴それぞれに世界があった。草木が生え、池があり、蝶が飛んでいた。空には虹がかかり、青々とした木々が日の光を浴び輝いていた。私が覗いたのは夏真っ盛りの、鮮烈な色を放つ広大な世界だった。
その世界から溢れた川の水が、コンクリートを湿らせ、苔を生やしていた。苔の先から雫となって滴り落ちていたのは、小さな世界に流れる大河の水だったのだ。
ここは、そんな世界が積み重なって出来た巨大な穴だった。
読んでいただきありがとうございます。とても励みになります。