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「将来の夢は?」って聞くのはやめよう〜やりたいことは探し続けるもの〜

-Unicul Laboratory法人化一周年にあたり-


「漫画家」「小説家」「新聞記者」「国連で働く」ーー「将来の夢は?」と聞かれて、なんと答えていたか、高校生くらいまで遡ると、いくつかの記憶があるような気がします。

しかし、上京し、大学生になると、将来の選択は思った以上に複雑であることに気づき、同時に自分の可能性も限界もそれまで以上に見えるようになり、「将来の夢は?」と聞かれても、いつのまにか答えることができなくなりました。

「将来の夢は?」という言葉に、年を重ねるごとに歯がゆさが増していくのは、「将来の夢とは、なくてはならない、崇高なものでなければいけない、一つに決めなければならない」という、周りからの無意識の押しつけと、一向に見つからないことに対する焦りが、滲み出ているからかもしれません。

「将来の夢」は、なくてはならないものでしょうか。
誰もがたった一つの崇高な夢を持ち、
それを追い続けなければならないのでしょうか。


6年前、人よりまともな大学生になるのが遅かったわたしは、21歳の大学2年生としてUniculで活動をはじめ、「Queque」というプログラムの作成に参画しました。「Queque」には、当時のメンバーが大学生や大学院生として進路に迷いながら感じていた、いろんな想いが詰めこまれています。

その想いの一つは、

「やりたいことは、探し続けるもの」


というメッセージだと思います。

「Queque」というプログラムは、社会の見方や人との出会い方を知り、自分自身を掘り下げる方法を知り、その上で「目的地を『一旦』決めて、そこまでの道筋を描いてみる」という構成になっています。


しかしながら、学校や地域でワークショップを実際に行うと、「『一旦』決める」という行為に戸惑いを覚える人が多いように感じます。


そこでわたしたちは、必ず(各々の言葉でなので、表現はばらばらですが)こんなことを伝えます。

「いま将来の夢を決める必要はない。『一旦』決めて、一歩を踏み出してみることが重要。歩みを進める中で、違うと思ったら、もう一回Quequeをやればいい」


そう背中を押しても、やはり「たった一つの崇高な将来の夢」に囚われてなかなか筆が進まない人もいますが、ホッとしたような顔で「いま思っている、とりあえず将来やってみたいこと」を書いてくれる人がいると、ちょっぴり嬉しい気持ちになります。

***

いま、Uniculの活動に参加してくれているメンバーには、それぞれ自分のこれまで歩んできた道のりや、これから進んでいく道のり、そしてそこに何らか働きかけようとする「キャリア教育」に対し、ポジティブなものでも、ネガディブなものでも、様々な想いや動機があるのだと思います。

わたしが少なくとも一つ、Uniculに関わり続けている理由をあげるとすれば、Quequeというプログラムの存在そのものが、日々を歩むわたしを大いに助けてくれているからだと思います。

わたしは、本当ははじめての場所はめちゃくちゃ緊張するし、人と仲良くなるのも苦手です(誰も信じてくれないだろうけど)。
それでも、「たった一つの崇高な将来の夢」と出会うことを願いながら、勇気を振り絞っていろいろなフィールドに飛び込んできましたが(Uniculに参画したのも、その一環です)、「これだ!」という何かには、まだ出会えていないままかもしれません。

結局、自分は何をやりたいんだろう?と、ふと立ち止まることがあります。
そんなとき、Quequeがあることで、「それでいい」と思うことができます。

やりたいことは、探し続けるもの。


Uniculの目指す「誰もが納得感とオーナーシップを持って、自分の未来を歩んでいける社会」では、そんな考え方が”あたりまえ”であれば良いな、と思っています。

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Unicul Laboratoryを、「えいや!」と法人化して1年。
相変わらず毎日どたばたしながらも、たくさんのメンバーを迎え、いままで以上にパワーアップして、次の1年のスタートを切れることを嬉しく思います。
メンバーのみなさんが、Uniculで活動していることを誇りに感じられるように、Uniculで活動していることが日々の一歩の支えとなるように、自分自身も邁進していきたいと思っています。


共同代表理事 永野あきほ

いただいたサポートは、より多くの中学生・高校生に私たちのキャリア教育を届けるために活用させていただきます。ぜひ応援いただければ幸いです。