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環境省が語る「ごみ問題」のいま。ユニ・チャームの未来へのアクション「使用済紙おむつの水平リサイクル」

みなさん、いま、環境省の後押しにより「使用済の紙おむつのリサイクル(再生利用)等」が進められていることをご存じでしょうか?

こちらのnoteでは、これまでにも鹿児島県 志布志市と大崎町の分別回収と先進的なリサイクルの取り組みについて、ご紹介してきました。

とはいえ、ここまでリサイクルが進んでいる自治体は決して多くなく、日本では一般ごみの8割近くは焼却処分されています。

では、日本のごみ処理はどんな問題を抱えているのでしょうか?

今回は日本の「ごみの問題」「使用済紙おむつのリサイクル」について、環境省 リサイクル推進室の湯山さん、佐藤さん、岩本さんにインタビュー! さらに、ユニ・チャーム 上席執行役員の城戸さんに、紙おむつのNo.1メーカーとして「紙おむつの水平リサイクル」の実現で目指すビジョンについてお聞きしました。


[環境省]「リサイクルで生まれた紙おむつが身近になる世の中に」紙おむつメーカーにかかる期待

環境省 リサイクル推進室の湯山さん、佐藤さん、岩本さんに「ごみの問題」と「使用済紙おむつのリサイクル」についてお話を聞きました!

環境省 環境再生・資源循環局 総務課 リサイクル推進室 湯山さん(写真上)、佐藤さん(写真左)、岩本さん(写真右)。

ー「使用済紙おむつのごみ」が増えると、何が問題なのでしょうか?

湯山さん「日本では多くのごみが焼却処分されており、“使用済紙おむつのごみ”もほとんどの自治体で焼却処分されています。

一方で、ごみを焼却処分する際には、大きく環境面と経済面での問題があります。環境面では、焼却により地球温暖化の原因となるCO2(温室効果ガス)が排出されることにより環境負荷がかかることが挙げられますし、焼却処理や埋⽴処分することは最終処分場のひっ迫につながります。また、経済面では、焼却炉の維持や新設にもコストがかかります。

高齢化が進む日本では、今後、大人用の使用済紙おむつのごみが増えていくと予測されています。紙おむつのごみは水分を含んでいるため、燃えにくく、より多くのエネルギー、コストが必要になります」

ー環境面・経済面の影響を考えても、焼却される「使用済紙おむつのごみ」を減らす取り組みが必要なんですね。環境省の『使用済紙おむつの再生利用等の促進プロジェクト』についても教えてください。

湯山さん「まず、紙おむつのような使用量を減らしたり、長期利用・再利用を行うのが難しいごみの量を減らすためには、『リサイクルできるものは再資源化する』ことが重要です。ですが、“使⽤済紙おむつのごみ”はリサイクルが難しいとされているもののひとつです。自治体様ごとに紙おむつのごみに対する課題を認識していても『リサイクルできるとは知らなかった』など、解決方法が分かっていないという現状の問題があります。

使用済紙おむつのごみを資源として捉えて、リサイクルに取り組んでいただくためにも、これまで環境省では『使⽤済紙おむつ再⽣利⽤等のガイドライン』の策定や、『使⽤済紙おむつの再⽣利⽤等の促進プロジェクト』の中で今後の取組を検討するなど、政府として後押しを進めている状況です」

2023年度(令和5年度)「使用済紙おむつの再生利用等の促進に関するプロジェクト(検討結果取りまとめ)」参照。

ー『使用済紙おむつの再生利用等の促進プロジェクト』は、報道発表やチラシなどで周知されています。自治体への広まりについてはいかがですか?

湯山さん「2022年度(令和4年度)のデータ(※)によると、『使用済紙おむつ再生利用等のガイドライン』は、半数以上の自治体に認知されています。一方、『存在を知らなかった』と回答した自治体は37.4%になり、周知には課題があることがわかりました。今後、自治体や関連企業への周知を広めることを目標としています」

※「使用済紙おむつ再生利用等のガイドラインの自治体における認知度について」地方自治体を対象にしたアンケート(有効回答数:793)より

ー紙おむつのリサイクルに取り組む企業に期待することは?

湯山さん「紙おむつのリサイクルは社会的意義があることです。関係者が広く関わる取り組みであり、企業のみなさまの協力が不可欠。自治体の課題解決に向けて、引き続き協力を期待しています」

岩本さん「紙おむつのリサイクルは、環境省策定のガイドラインで4つの企業を紹介しており、それぞれ特徴があります。各自治体で、紙おむつのごみの発生量、焼却炉の稼働状況やコストなどの状況は異なりますので、各自治体の状況に適したリサイクル技術を取り入れていくことが必要です」

佐藤さん「一般生活者の方は『紙おむつのリサイクル』に心理的な抵抗感があると思います。そういった意味では『安全にリサイクルができている』事例を情報発信していくことも重要だと考えています

ーユニ・チャームのRefFプロジェクトによる「紙おむつの水平リサイクル」に期待することは?

湯山さん「紙おむつの水平リサイクルは高度なリサイクル技術として認識しています。リサイクルから生まれた紙おむつを高齢者施設で販売し、地域に貢献されている。このような積極的な活動は素晴らしく、多くの自治体で取り入れていただくことでリサイクル活動の普及にもつながります。

ペットボトルから生まれたペットボトルが販売・購入されているように、リサイクルで生まれた紙おむつも身近なお店で購入できる世の中になればよいと思っています

[ユニ・チャーム]「紙おむつをつくる企業としての責任」使用済紙おむつの水平リサイクルを目指して、未来へのアクション

ユニ・チャーム 上席執行役員であり、RefFプロジェクトの立役者でもある城戸さんに「紙おむつの水平リサイクル」の現在、そして未来に向けて目指すところをお聞きしました!

上席執行役員 Recycle事業推進担当の城戸さん。RefFプロジェクトのメンバーを紹介するこちらの記事にも登場。

ー2020年に環境省から「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」が発表されました。ユニ・チャームはどのように関わっているのでしょうか?

城戸さん「ガイドライン発表の約半年前、環境省からお声がけがあり、ユニ・チャーム RefFプロジェクトが取り組む『使用済紙おむつの水平リサイクル』についてご説明しました」

ー環境省は「一般廃棄物に占める紙おむつの割合が2020年の約5%から、2030年には約7%になる」と発表しています。紙おむつのリードカンパニーとして、どのように受け止めていますか。

城戸さん「世の中でリサイクルが進むにつれて、一般ごみの中での使用済紙おむつのごみの割合は高まっていきます。例えば、RefFプロジェクトが実証実験を行う、鹿児島県志布志市と大崎町はリサイクル意識の高い地域。両地域では、一般ごみの中で紙おむつごみの割合は20%を超えています。

私自身、大崎町の埋め立て処分場で、自社・他社製品ともに紙おむつのごみの山を目にして強い衝撃を受けました。紙おむつメーカーだからこそ、紙おむつのリサイクルの課題解決に取り組む責任があります

ー「紙おむつメーカーとしての責任」について詳しく教えてください。

城戸さん「現在、ユニ・チャームを含め、4社が紙おむつのリサイクルに取り組んでいます。ユニ・チャームは唯一、紙おむつの供給も行うメーカー。だからこそ『紙おむつから紙おむつをつくる水平リサイクル』の技術開発を行い、社会実装し、サーキュラーエコノミーの実現に挑戦していく必要があります

ー「紙おむつの水平リサイクル」を進める際、国や自治体、同業他社との共創で期待することは?

城戸さん「新しい技術であり、環境省をはじめ、国や行政と連携して、垣根を越えて取り組むことが必要不可欠です。また、紙おむつのリサイクルに取り組む各社が連携し、各自治体のニーズや実情に合わせて、適材適所で紙おむつのリサイクルを進めることで、社会実装のスピードは増すと考えています。

自治体の方々とやり取りする中で『紙おむつをリサイクルして生まれるのが、紙おむつだからこそ価値がある』という声もいただいており、紙おむつのリサイクルへの関心は高いと感じています」

ー未来に向けて目指すところを教えてください。

城戸さん「環境省が発表した『2030年までに100の自治体で、紙おむつの再生利用等の検討・実施を目指す』という数値は、現在の3倍の拡張規模となります。これを踏まえて、ユニ・チャームでは、環境省が示した『情報の提供の支援、自治体への支援、事業者への支援』を活用し、2030年には10の自治体での拡張を目指していきます。

また、現在、水平リサイクルが実現している『パルプ』に加え、『プラスチック』『高分子吸収体(SAP)』での水平リサイクルの実現に取り組んでいきます」

あとがき

今回、あらためて感じたのが「紙おむつはリサイクルできる」ことを、一般生活者の方に広く知ってもらうことの大切さです。

これまでにも、九州エリアの介護施設で「RefF紙おむつ」が使われていることなどをご紹介してきました。こうした情報をnoteで発信し続けることで、より多くの方に「紙おむつは安全にリサイクル」できることをお伝えしていきたいです!

みんなにも読んでほしいですか?

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