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淑やか別れる夏の如く

 愛されたいと願うことでその季節は来る、らしい。パスポートとか諸々の公的な手続きを放置していたツケが回ってきて、いま母の故郷に帰っています(もう関西に帰るけどね)。ずっと知り合いに貸してた母の実家を改装するから、倉庫にしまってたアルバムや色々が運ばれてきた。中でもアルバムは母やおばが赤ん坊だった時の写真や、お婆ちゃんの大学生時代の写真までたくさんあった。みんな嘘みたいに幸せそうで、みんな健やかな笑顔だった。でね、私の大好きだった景子おばさんの写真がたくさんあったの。動物園に行ってたくさん動物を撮ってた。海に行ったり、…。本当は生きてて欲しかったし、私は本当はもう誰にも死んで欲しくないんだなぁって思った。嫌な感情だ。感情は、愛情はめんどうだ。それがあることで全てが厄介になる。景子おばさんの好きだったもの、私は全然知らなかったみたいだ。少しずつ過去を補完していく作業。景子おばさんが友達に書いたままで、出していなかった手紙が出てきたので読んでしまった。それは銀色夏生のつれづれノートや、真心ブラザーズのライブに行ったことで3枚綴りがビッシリ埋められていた。全然知らない一面を覗けて単純に嬉しかった。この歳になってまでずっと景子おばさんの背中を追っている。弱い。死んだら私は地獄に行くし、みんなに会えないから、この世のうちに目に焼き付けて死ななければならない。この写真みたく笑ってよ。今だけひとしきり泣けばいいよね、さよならも言わずに。

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