睡眠学習の効果

ある年齢以上の方々は、記憶にあるのでは有りませんか？
雑誌の裏表紙などに載っていた「睡眠学習装置」の広告。受験生の体験談等で、その効果を謳う。学習と言っても「暗記」に限定した効果でした。

私には兄が二人いて、当時は「据え置き型オーディオ機器」(一般にステレオと呼ばれた)を手に入れる前段階として「ラジカセ」を親に買って貰うのが、男子の通る道筋でした。私は経験上「ラジカセ」お下がり有る説を支持してましたので「ラジカセ」を買って貰う年齢で「短波ラジオ」を手に入れました。海外からの放送も受信可能な、ジャイロアンテナを搭載したクールな奴です。
海外放送は勿論、深夜放送・小粋な音楽を流すFM放送等、世の中には、たくさんの電波が飛び交っていると実感する毎日でした。その中でも、お気に入りは「落語」
名人と呼ばれる噺家さん達の芸を、寝入りばなに聴きながら「寝落ち」する小学生です。お気付きでしょうか？私が無意識に行っていた習慣、これが「睡眠学習」です。ならば、噺のひとつも暗記しているのではないか？残念ながら「反復しない睡眠学習」では、記憶の定着には到らないようです。
何も効果は無いのか？と言うと、それも違います。無意識下に刻まれた物が、確実にあります。それは、現在の私を少しだけ悩ませています。恐らく、名人の芸が巧み過ぎたのでしょう。八っあん・熊さん・ご隠居・番頭さん・お神さん、様々なキャラクターが、しばしば私の脳内に現れるのです。サプライズ出演が常です。コントロール不能です。私が、様々なものに「落ち」を求めてしまうのも、彼等の影響でしょう。緊迫したシリアスな状況でも彼等はやって来ます。ひとしきり、やり取りを終えると「お呼びでない？お呼びでない様なので、これにて…」と去って行きます。私の脳内演芸場を観覧されていたら人生終わりそうな場面も一度や二度ではありませんでした。

「睡眠学習」に一定の効果は認められる。しかし、その対象選定には注意を要する。それを誤ると、弊害と成りうる。
「いやぁ、昨夜○○しながら寝落ちしちゃってさぁ…」生活をしている貴方、うっかり学習しちゃってませんか？