今こそ、触媒的資本が求められる時。「フィランソロピー×スタートアップ」イベントを11月7日に実施します!
こんにちは!パブリックアフェアーズ事業部の一柳です。
11/7(火)「IPO起業家が挑む、インパクト投資の限界を補完する『フィランソロピー』の価値」(主催:名古屋市)をオンラインにて開催します。
この記事では、イベントに参加いただくに当たってぜひ知っておいてもらいたい「フィランソロピー」「起業家の3タイプ」について解説します。
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1. イベントについて
株式会社UNERIでは、「時代の1.5歩先を描く」をミッションに掲げています。
今回のイベントを企画するにあたって、私たちが向き合ったのは「インパクト投資の限界はどこにあるのか。何がその限界を補完するのか」という問いでした。
昨今、「インパクト投資」という言葉を耳にする機会が増えてきたと思います。インパクト投資は国内外で拡大傾向にありますが、あくまで高い財務的リターンが期待される事業への資金提供が中心となっています。
インパクト投資の担い手であるVCは「投資家から資金を集めて投資し、その利益を返還する」というビジネスモデルであるため、高いリスクを取りきれない側面があるためです。
もちろん様々な試行錯誤があるとは捉えていますが、起業家の多様なあり方を考えた時に、社会的意義はあるものの短期的な収益化が困難であるイノベーティブな事業への資金供給は不足しているのが実情ではないかと考えています。
そのような「インパクト投資がフォローしきれない領域」へ資金供給をもたらす取り組みに関して、近年、起業家たちがIPOやM&Aで得た資金を原資に、社会に新たなインパクトや資金の流れを生み出している「新しいフィランソロピー」と呼ばれる動きが生まれ始めています。
フィランソロピー(*1)は前例のないイノベーティブな事業への資金供給を促す呼び水になり、返済期限がなく見返りを求めない性質のお金であることから、起業家を生み出すエコシステムの多様化に大きく寄与すると考えられています。
このフィランソロピーの拡大こそが、イノベーティブな企業が多様な投資を受け入れ可能になるまでの初期段階や、短期的な収益化が困難な課題を追い求める事業のあり方を支えるために必要なのではないかと考えます。
今回のイベントでは、「フィランソロピー」の担い手である一般財団法人Soil代表理事の久田さんをゲストにお迎えして、フィランソロピーの意義について探求していきます。
久田さんは、名古屋大学在学中の2007年に株式会社Speeeを学生創業し、キャピタルゲインを原資に非営利スタートアップへの資金提供を行うSoilを立ち上げられた方です。
イベントでは、弊社代表の河合と久田さんのクロストークを実施し、Soilを立ち上げた背景や課題意識について深掘ります。また、東海地方で生まれ育った1人の起業家として久田氏個人のストーリーにフォーカスし、現代社会で求められる起業家の役割と在り方を探求していこうと考えています。
クロストークの後には、社会課題解決型スタートアップ2社の公開メンタリングも実施予定です。
公開メンタリングでは、ジークス株式会社CEOの村上さんと、株式会社Nocnum代表取締役CEOの大森さんよりピッチをしていただきます。2名の起業家に対する、久田さんによるメンタリングの様子をご覧いただけます。
2. 3つのタイプの起業家
現在の社会システムでは、多様なイノベーターが自分の道を追求することが難しい状況があるのではないかと考えています。資本主義に基づく市場経済では、課題解決ではなく利益最大化にインセンティブが向けられています。
特に「社会起業家」の領域においては、一次顧客から利益を得ることが難しい構造があることが特徴です。課題解決に最適化した事業に対しては資本が集まりにくい構造があり、思うような意思決定を行うのが難しいケースも存在しています。
UNERIでは、この問題に対処するために、資金調達をする起業家を次の3つのタイプに分類しています。
①シード期より運用期間10年のVCから資金調達することに抵抗がある「出資型企業群」
②事業領域やパーパスとの親和性を考慮しEXITを強要されない資金調達をしたいが、該当するVCが数社のみである「融資型企業群」
③本来であれば行政などの税金で解決すべき領域を、補助金・助成金・寄付等でマネタイズしている「寄付型企業群」
など、社会課題にアプローチする企業を支える企業と一口に言っても、その性質は様々です(そのほか、資金調達を行わず、自主財源のみで事業を行う法人もあります)。
インパクト投資がフォローできるのが、①と②の一部の企業ではないかと考えています。この区分からも、「社会的意義はあるものの短期的な収益化が困難であるイノベーティブな事業」への資金供給が十分ではないことが読み取れるのではないかと思います。
3. フィランソロピーについて
弊社では「フィランソロピー」を、アントレプレナーに対するイノベーション創出を企図した戦略的な寄付・助成行為であると定義しています。
例えば、2020年にはミクシィ創業者の笠原氏が「みてね基金」を、2021年にメルカリ創業者の山田氏が「山田進太朗D&I財団」をそれぞれ設立しました。 34歳のCEOが資産のほぼ全てをフィランソロピーに回した「Canva財団」のような事例もあります。
フィランソロピーは元々20世紀中盤に慈善活動としてアメリカで生まれました(フィランソロピー1.0)。
その後、1990年代のドットコムバブルで富を得たIPO起業家により発展してきました(フィランソロピー2.0)。このスタートアップ創業者たちがもたらした第2世代で発達したのが「ベンチャーフィランソロピー」であり、従来の恵まれない人への事前活動ではなく、経営支援・課題解決を企図したものです。
そこから21世紀に入り、触媒的で柔軟な資金提供によって、既存ではお金が流れない領域が資金を獲得する呼び水となる性質の資金提供がなされる「新しいフィランソロピー」(フィランソロピー3.0)が登場します。これは、フィランソロピーを通して社会課題の解決・社会的インパクトの創出を目指し、イノベーションを誘発するものです。
多様な発展を遂げているフィランソロピーですが、本イベントで取り上げるのは、こちらの「新しいフィランソロピー」になります。
先述のように、インパクト投資ではその資金の性質上、どうしても支えきれない課題領域があります。
その点、フィランソロピーであれば投資家がかけにくい時間をかけたり、投資家が取れないリスクを取り、企業の初期段階の成長を支えることができます。
フィランソロピーがもたらすのは、単なる点の資金提供だけではありません。フィランソロピーの資金がハブとなって次の投資を呼び込み、戦略的に社会変革を起こす触媒的(キャタリック)な役割が期待されているのです。
もっと知りたい方は、イベントへぜひご参加ください!
イベント概要
▷日時:2023年11月7日(火) 18:30-20:00
▷場所:オンライン(Zoom)
▷参加費:無料
▷定員:100名(先着順受付)
▷タイムテーブル
18:30-18:35|オープニング
18:35-19:05|対談「新時代のフィランソロピーを体現する~Speee上場を経てSoil創設に至るこれまでとこれから~」
ゲスト |久田哲史 氏/ 一般財団法人Soil 代表理事
モデレーター|河合将樹/ 株式会社UNERI 代表取締役CEO
19:05-19:15|質疑応答
19:20-19:55|名古屋地域のスタートアップ2社のピッチ及び公開メンタリング
ピッチ対象者|村上嘉一 氏/ ジークス株式会社CEO
大森美紀 氏/ 株式会社Nocnum代表取締役CEO
19:55-20:00|クロージング
▷主催:名古屋市経済局イノベーション推進部スタートアップ支援室
▷運営:Nagoya Innovation Gateway運営事務局(株式会社UNERI)
参考
『フィランソロピーは最大のリスクマネー』(SIIFインパクト投資オフィサー 田淵良敬)
『新しいフィランソロピーを発展させる エコシステムに関する調査 -富裕層の意志ある資産を社会に生かす-』(一般財団法人社会変革推進財団)
『Catalytic Capital 触媒的資本』(一般財団法人社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ)