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君たちは全裸でどう生きるか
文雄くん、いま君は大きな苦しみを感じている。
なぜそれほど苦しまなければならないのか。
それはね、文雄くん、君が正しい道に向かおうとしているからなんだ。
「チンポを出したい」と思うほど自分を責めるのは、
君が正しい生き方を強く求めているからだ。
中年男性ってものの、あるべき姿を信じているからだ。
さあ、文雄くん、いまこそ答えを見つけよう。
おじさんのノートを最後まで読んでくれれば、
きっと君は、自
モスクワ発戸塚経由ペトゥシキ行
酒を飲む、酒を飲み続ける。だが酩酊の中で冷静な自分がこちらを見つめている。たまらず飛び乗った列車の優先席に転がり込む。クレムリンを探してモスクワ中を歩き回り、ようやくスギ薬局で見つけたバスクリンを、向かいのゆで太郎の寸胴にぶち込んで店員に張り倒され、這々の体で逃げてきた。冗談ではない、冗談じゃないんだよ。息継ぎ代わりに吐き出した言葉で、往年の漫才師が福富町に開いた焼肉屋でチンポを出した記憶がよみ
もっとみる失業の門 (Vor die Arbeitslosigkeit)
失業の前に門番が立っている。
この門番のところへ一人の中年男性がやって来て、失業の外に出たいと頼む。
しかし、門番は「今はそれを許可することは出来ない。」と答えた。中年男性はしばらく考えたのち、もう少し経てば出れるのかと問う。
「可能性はあるかもしれん。」「だが、今はだめだ。」門番は言った。
失業の門はいつも開いており、門番は横に立っているので、中年男性は身をかがめて門の外を覗き込む。
それに気