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マックカフェ、そういえばフランスのマックであったこと。忘れないからな。

 マックでフルーツフラッペが出た、ということで地元のマックに行った。

 最寄りのマックは行列ができるほど混んでいて、昼時のマックってこんなに混んでるんだ……と思って別の店舗に行ったらそちらも混んでいた。どうしようもない。仕方なく並ぶ。

 そこでメニューを見る。
 「……いま、アイスっぽいのってこのカルピスなんとかだけですか?」
 「?はい」
 「……(長考)あ、じゃあダブルチーズバーガーのセットで(逃避)」
 フルーツフラッペってないんですか?と聞けるコミュニケーション能力は残念ながら持ち合わせていなかった。後ろも並んでいたし。

 後から分かったのだけど、「マックカフェ」のメニューの提供がある店舗でしか注文ができないらしい。サイトをよく見ると「※McCafé by Barista限定商品です」と小さく注意書きがあった。分かりづらい。
 調べたら意外と近くにマックカフェがあったため、帰りに寄ってフルーツフラッペをいただいた。美味。

 そういえば、「マックカフェ」とかいうマック版スタバ、ずいぶん増えてきた気がする。雰囲気は「マック版スタバ」だけど、マックにもスタバにもないような珍しいメニューも多い。特にマカロンは美味。どうでもいいけどマカロン食べたくなって銀座のデパ地下で買ったのと変わらない味してる。

 私が初めてこの「マックカフェ」に出会ったのは、ずいぶん前の話だが、家族旅行先のフランスだった。おフランスの話題なので、以降言及するときはマックカフェはMcCaféとしよう。

 フランス旅行の印象は、「思ったよりも人が優しい」ということだった。

 ルーヴル美術館の近くで明らかに出勤中の女性に片言の英語で道を尋ねると、なんとか道を教えようとして、別れた後も心配そうにこちらを見ていた。ただ、彼女は片言中学英語の私以上に英語を話さなかった。フランス人にとっては「フランス語>英語」だからフランス人は英語を話さない、というのは本当なのかもしれない。脱線。彼女が親切だったことには変わりない。

 事前情報では「タクシーでもチップは必須」とあったが、イケメンタクシードライバーはチップを固辞したし、レストランのシェフは満面の笑みで英語もフランス語も話せない私たちを歓迎した。どうしてもクールベの《世界の起源》が見たくて「くーるべ!くーるべ!」と連呼する私の最悪な発音もミュージアムスタッフはなんとか聞き取ってくれた。
 「パリ症候群」なんて言葉があるが、落書きだらけのパリはかえって非日常感があって高揚したし、それでいてモネが描いた通りに残るサン=ラザール駅に感動したりした。それでも、それでもだ

フランスのマックであったこと。忘れないからな。

 この出来事は私のフランスへの印象を圧倒的に悪くしたし、楽しいフランス旅行の一点の曇り、陰として黒々と残るのだ。それってあなたの感想ですよね?そうですが。以下は全て私の主観です。

 確か、ルーヴル美術館内のマクドナルドだった。世界的観光地のマクドナルドだ。それでも、マクドナルドだ。気軽に行ける部類だろう。
 ただ、それは甘い幻想だった。まず、店員の態度が横柄すぎる。「あ?フランス語じゃねぇと対応しねぇぞ」っていうのが顔に出ていて、注文が届かない。確かにそれは他の店でも感じた。スーパーなどに行くと、レジのおばちゃんは同僚と雑談して列を作らせるわ商品は投げるように扱うわで、まともに接客しようとしない。言葉が通じないとなおさら、事務的に済ましてしまう。それはいい。それはいいんだ。
 それに比してもフランスマックの店員の接客は酷すぎた。老舗の鰻屋か?ってくらいの横柄さ。本当にマクドナルドか?いや、日本の「スマイル0円」のニコニコマックが異常なのかもしれない。もともと接客どうこうを求める場所じゃないだろう。それでもフランスのマックの接客は(略)

 そしてなんとか注文しても、レシートが間違えている。絶対に注文していない、「Patate」みたいなのが印字され、余分に金を取られている。ポテトでしょ。これ。わざわざフランスに来てマックポテトは注文しないって。
 近くで店内を清掃していた黒人のおにいさんにレシートを見せながら「あの、これ買ってないんですけど」みたいなことを言ったら、本当に困ったような顔をされてしまった。どうやら、フロアと厨房・レジで完全な分業がされているようで、おにいさんはレジの方を指差した。面倒で厄介払いされた可能性もある。

 家族は動こうとしない。「だって英語話せないもん」私だって話せない。とにかく、ここで引き下がるのは癪だ。なんとかして無駄に払ったポテト代を取り戻したい。私はレジに向かった。

 レジは鬼のように混んでいた。ちょっと声をかけたくらいだとことごとく無視される。無視され続けて、やけくそになってレシートを見せながら「これ!ポテト!頼んでない!お金!返して!」とカタコトイングリッシュの私。今思い出したけど、この時の私は中学生か高校生だ。蛮勇を讃えてほしい。
 無視され続けること5分以上。「金!返せ!」の1人シュプレヒコールを続ける私。ついに痺れを切らしたのか、マツコデラックスそっくりな店員が人数分のポテトをボン、と渡した。
 違う、そうじゃない。

 家族はまあ仕方ないよね、みたいな反応だった。せめてケチャップは付けて欲しかった。「あー、フランス。なんか日本のポテトと違うね」みたいなことを言い合ったけれど、今振り返るとどう考えても日本のポテトと同じ味です。

 で、McCaféだ。そのポテトマックに併設されてMcCaféがあったのだ。まだ日本では見なかったため、マクドナルドのマカロンなんかも珍しく、帰りに食べてみるか、なんて言っていたのだ。
 ただ、ポテトLサイズをがっつり詰め込んだ腹はもうマカロンを受け付けず、仕方なくマックを後にしたのだった。

ピスタチオ味

 そんなマカロンも日本のマクドナルドでも食べられるようになった。いい時代だ。ただ、フランスのマックであったこと。忘れないからな。

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