🏛️エレンコス〜問答　📌2024 9/28 “付いて行けてる？”

📌2024 9/28  “付いて行けてる？”

“流行”の過剰な加速化に付いて行けない今日この頃。温故知新的に上手い漢字の当て嵌めであるなぁ、と。“流れ”に付いて行けない、それは急流の如く。

“情報”の過剰増大と流出速度の加速化がもう尋常ではない様に思える。それが役立つ事もまた多いのだが。

パッと察知して少し経った後、“何だこれは？フェイクか⁈”と。それが非常にうざったい。そういうのが次第に多くなっていて、今からもっとこの先加速するのだろうか？と不安に…

不安に…

情報の豊富で的確なのが、逆に生身の人間にとって負担となってはいまいか？

利便性の追求が、“不安”という概念を惹起させ始めている？編集柳井はつとにそう感じる。

ここで音楽を例に取り上げる。

以前は、ヒット曲や流行歌はいちクリエイターで1年に1曲、大スターで2曲もあれば大変な当たり方だ、と。つまりヒット曲1作で年間を回れて、年の暮れに紅白や他暮の歌謡祭、と。そういうセオリーで通っていた。

もう今では相当に違う。春にヒットした曲は暮の歌謡祭に披露されてもいつ流行った曲なのか、逡巡してしまう。半年前、そんな近接的過去が1年前だったのかそれとも2年前の事だったのか…

大谷の側近の通訳の事件はいつの事だったのか…
ジャニーズという会社があった、そしてその闇が開かれたのは、いつの事だったのか…
お笑い芸人の裏の性加害に纏わるあれやこれは、果たしてどの芸人のどういった内容だったのか…

ほんの半年程前の話。

一方で、まあ上記のセレブの方にもそうで、ここに取り上げるとネガティブな印象を与えてしまうのでファンの方には申し訳ないが、桑田佳祐というミュージシャンには脱帽する。今年、何曲シングルカット出しているのだろうか？速い、兎に角速い。そして多い。創作力が尚盛んになっているかの様。

桑田佳祐、という人はこの時代の急流に乗っているのだ。流石、“波乗り”だね。受け手のこちらが付いて行くのに覚束ない。

音楽クリエイトに関しての、創作作業に於ける効率化も相当に進んで作り易くなっているのか、作ってから形にして発表するまでの過程が過スムースであるのか。

編集柳井に限った事なのだろうかどうなのか、残念な事に、この桑田佳祐の創作発表速度と頻度に付いて行けてない。つまり…

サザンのあの曲、いつの曲だっけ…と

うろ覚え…になるか。これは何か自分の自信みたいなものを失くす。創造性において桑田佳祐と対抗するとか云々ではなく、自分の“記憶力”という生身の人間的な部分に自信が揺らぐ。要するに、“痴呆症”的というか。

これはだから今後、それに捉われない意識を持った方がいいな、と。又の要するに、で“んなもんいつ流行ったかどうかなんてどうでもいいじゃん”、と。そう反概念に気を落ち着ければ、流行、というかメディア発の売り出し物に右往左往する事なく。

“コントってのはさ、パッと出て来てパッと終わんのがいいのよ”  志村けん

“俺の（※ラジオ）はよう、あー面白かった！で、お終い。（後に何も残らない）それが俺の目指す所だよ”  高田文夫

“映画なんてさ、観終わって、それで、お腹減ったからレストランで美味しい物食べようっと、でそんな物だよ”  山田洋次

さすが一角のエンターテイナー、皆言葉が潔く。だがこの現代、“パッ”の速度が違う。

ほんの少し前に松田優作のAI加工のCMが流れたが、本当に、実に、真に、パッと出てパッと見なくなった。この速度にどこか機械的な残酷さすら感じ。優作の醸し出す味、彼の発する残響や余韻、残像などが生じる間もなく消えて。これでは彼の作り上げた過去作に遡る気を若者には催させない。

音楽など殊更、音楽が好きな方なら尚更、エコーや余韻まで愛する。一個の動物である人間が愛でるそこがどんどん省かれて。このトータルな情報の加速化と増大が、作家の腕前である“味付け”を殺してしまっている。

今の若い人達、ピンク・フロイドの『エコーズ』聴けるだろうか？30分間。現代のスピードに付いて行けてない編集柳井は大好きでパッと消える事なく聴き続けていて、多分人生この先も何かの節にきっと聴くアルバムだ。