生きる。

ハッピーバースデートゥーユー。

ワタナベさんの目に輝きが宿る。

死を宣告されてからはじめて、生き始めるその人の姿は眩しげに映った。

その人が死んで、何かの教訓を得たように見えた周りの人たちは、改革の兆しを見せたのもつかの間、また変わらない、日常へ戻っていく。ここがリアル。

黒澤明監督の映画「生きる」を観て、4年前の私は歯がゆかった。

映画の感想には、

「やる気さえあれば、人を憎む暇もなく、何でもできるのに、多くの人はそれを諦める。私もその多くの人になるのではないかという気がして怖くなった。」

と記述している。

そして、私はまだその恐れの中にいる。

青いのか、甘いのか。かっこつけたことを言いながら、自分の道さえろくに決められない私は、ワタナベさんにもなれず、ワタナベさんの周りの人たちにもなれていない。

誰に褒められずとも、幸せだと思えるものは?

生きる意味とか考えるから人間は面倒くさいんだけど、

面倒くさいことを考えることは時に自分を鼓舞する力になるし、

新年度だから、という理由をつけて、もう少しなんとか気持ちを込めたいと思って、明日も「生きる」


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