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22.Amsterdam(アムステルダム)でも色々ありました(その2:大柄な厚化粧のおねえさんたちの正体)

同じ日の夕暮れ時に、後輩とレストランを探して運河から一本内側の路地を歩いていたら、橋のたもとに何人か大柄な(失礼ながら)厚化粧のお姉さん方がたむろしているのを見かけました。
 
それほど長くはない路地をある程度行ったところで、暗くなり始めたこともあり、途中で見つけておいたビストロが一番良さげだったので、そこへ引き返す道すがら橋のところでまたその大きなお姉さんたちに遭遇しました。
 
きっと勤務先のお店の開店時間を待ってるんだろうなと思いつつ、横眼で眺めながら通り過ぎる時に向こうの2-3人がこちらに手を振るので、ついこちらも手を振って、
「でも流石にあんな大きなお姉さんたちの店には行きたくはないよなぁ」
なんて言いつつ、こちらはまだそれほどお客さんの居ないビストロに入って食事を始めました。


ボクは店内の内側の方を向いた席で、後輩が外の路地が見える席に座っていたのですが、しばらくするとその後輩が、
「センパイ、ちょっと振り返って見てください。あ、でもそおっと。」
というので訝しく思いつつもゆっくり後ろを見ると、ビストロの向いのお店はバーだった様で、先ほどの大柄なお姉さんたちが立ち飲みしているのが見えました。
 
「おー、さっきのお姉さんたちだねぇ。」
と言うと、
「違いますよ。良く見てくださいよ。あの人達、おっさんですよ。」
 
さっきすれ違った時は暗くてわからなかったのですが、向かいのバーのライトに照らされている皆さんのお顔を改めて伺うと、大きな厚化粧のお姉さんだと思っていたのは女装のゲイの方々で、それを取り巻く様に同様の嗜好の方々がバーをはみ出して路地にまで跋扈しておりました。
 
若干こちらの食欲も減退する様な光景でしたが、しばらくすると後輩が「ひえぇぇ!」と声を出すので何事かを訊ねると、
「い...今、通りの真ん中でヒゲのじい様同士がチューしてるんですぅ。」
 
もう今まで飲んだワインの酔いもすっかり醒め、怖々後ろを振り返ると路地は色んな種類のゲイの方々で埋め尽くされている状態。
 
「どうしよう。ボクたち、さっきあの人たちに手を振っちゃったよなぁ。…でも、ずぅっとここに居るわけにもいかないし。... 店を出る時に『せーの』で二手に分かれてダッシュしようか。」
「え?その場合どっちがどっちに行きますか。」
「センパイのボクがホテルの方向に行くに決まってるでしょ。」
「あー、それはズルいですよ。ここは公平にジャンケンしましょう。」
「ヤダよ。なら店を出た瞬間にキミを連中の方に突き飛ばして、ボクは逃げるよ。」
「そんなぁ。」
 
まあ、最終的には支払いの時に状況を察したビストロの人が(こういう事態には慣れているようで)店の外まで一緒に出てきてくれました。
 
“Hahaha, it happens every Monday night.”
(ははは、これ、毎週月曜の夜のことなんですよ。)
そうして、ホテルの方向に向かう我々にスペースを作ってくれたので無事生還出来たのでした。


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