読書メモ:バフェットの経営術
何の本??
ウォーレンバフェットの上場株の投資ではなく、買収した会社のマネージメントに焦点を当てた数少ない本。非常に学びが多くいかに、数少ないプリンシプルで組織を動かを考え抜いているのが印象的。
人の行動原理をよく理解し、少しの後押しと方向づけで買収先が動いている様はおおよそ合気道の達人の技を見ているような錯覚に陥る。
メンタルモデルの構築
バラバラの事実を自分なりに考えて紐づけようと思っても無駄。事実は理論に基づいて枠組みに当てはめて初めて見えてくる
その当てはめ方やロジックの組み方のバラエティを持つ。数学、化学、物理、生物、経済、確率、行動心理学などを元に自分自身のメンタルモデルを構築していく
組織由来の旧習
組織はどんな変化に対しても抵抗を示す
時間がある限り業務が増えて行くように、資金がある限り事業計画や買収は進む
リーダーの要望はそれがいけてなくても、部下の用意する分析により正当化される
同僚者の行動は、買収や報酬制度などなんでも真似したがる
それらを如何に、徹底的に排除していくかを考えていくのが重要。
組織由来の旧習を徹底して避ける
ただ命令しても従業員が従うことは期待できない。彼らが自らの動機で動くように仕向けなければ行けない
事業に関わると、元々の思考と乖離して自己の利益を重視した独自の力学が生まれる
また、ざっくりとした目標は持つが経営計画のような精緻なものは作らない
この問題は経営者の知性とは関係なく、考え方や思考回路の問題であり、投資資産の配分の判断においてどういうバイアスや旧習が影響しているかを意識する必要がある
買収前に一度関わってしまうと、強くバイアスがかかってしまう。基本的には関わる前に徹底して調査し、関わることを決めてからコミュニケーションを取る
資本を抽象化して捉える
資産を用いて生み出されるキャッシュフローの現在価値として資本を捉える
子会社の経営者にもそういった考えかたを根付かせる(給与の仕組み)
オーナーズマニュアル
自分達はあくまでパートナーで株主たちから預かったお金を運用させていただいてるという形
従って、一株あたりの利益の成長率で自分たちのパフォーマンスを測っている。自分の報酬や事務所の大きさは財務基盤とは連動していない
経営者の「ほしい物リスト」に株主のお金を使わない。あくまでROICの最大化
結果に対する崇高な思いを定期的に確認する。留保利益が一定期間後に元の価値以上を株主に還元できるか(1ドルに対して1ドルの利益)
株主には変に曲解する数字は伝えない。しっかりとありのままを伝えることで適切な株価がつくように努める
子会社へのボイド(数少ないルール)
報酬は行動の内面的責任を負うという原則:
自分の権限の中で出した成果に対してのみ評価を行う。また、事業環境を加味して市場がよかっただけ、的な経営者を過度に高く評価しないように自己の利益は、成長ではなく資本収益率を志向する;
業務に投資する資本が大きくなると、追加資本に対しては高い金利を課すが、放出する資本に対しても大きな金利を払う。資金が簡単に手に入ると規律に反した行動につながる傾向が高い。最適な資本を全額維持して、超過分はバフェットに送る:
追加コストで閾値以上の利益を出した場合にはそれはボーナスにつながるが、それ以下の場合にはバークシャーと経営者がかぶる形になる。したがって、自分であまりうまく使えないなと思う分はバークシャーに送るインセンティブにつながる。経営者が問題を抱えても、そこに資本は無闇に投下はしない
コアコンピタンスに集中する
コアコンピタンスとは理解でき重要な領域(理解できない重要な領域を知ってると勘違いしない)
真実とその背後の動き、それらを紐づけるロジックが確認できたものを理解しているとし、逆の過程を辿って別の結論に戻るかを確認する。判断を後から確認し、フィードバックをかけコアコンピタンスを磨き込んでいくことが重要
物事を逆の順序で考えることが大事。それでストレステストを常にかけていく。例えば、日本人の生産性を増やす方法を考える際には、逆に意識的に増やさない方法も考えてみる
将来のキャッシュフローの上がり方と、その上がり方の確度の高さが、価値の源だがそこを正しくジャッジできなければコアコンピタンスとは言えない
幻想のコアコンピタンス
後知恵や過剰な自信。
確証バイアス。複数のモデルを用意してストレステストをかけないといけない。
しくった時のフィードバックが何よりも大事。モデルをチューニングしていく
一度した成功が他でも適応できると思わない
金額の多寡などではなく、本質的なリスクとのバランスで見えるようにする(価格ではなく価値に対してジャッジする)
自分はこう思った
自分の意識(スタートアップをどのように評価しがちか?どういう会社を是としているか?)を全然言語化しきれていないと反省した。その上で、レバレッジを効かせるというのは単に任せれば良いということではなく、徹底的に仕組みを考え抜いた上でそのコースの上を自由に走ってもらえるように権限を移譲する問うことに尽きるのだと思った。
スタートアップも五十人あたりから社長が全員の状況を把握することは困難になり権限委譲を進めていく必要があるがそんさいにこの本を読んでみるとヒントが多いのではと感じた
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